日曜日の「バンキシャ!」を観ていたら,秋葉原連続通り魔事件の報道をしているとき,元検察の河上さんが「裁判員制度のもとでは,被告人の生育歴といった事情は考慮できない。制度の見直しが必要ではないか」などとコメントしていました。
まだ施行されてもいないのに,早くもマスコミから見直し論議が起こる制度って一体・・・。
今回の記事は,その裁判員制度批判に関するものですが,ここでは被告人の権利とか適正な裁判といった問題とは別に,費用対効果という点で「裁判員制度の導入」という政策の妥当性について検証してみようと思います。
裁判員制度には,現時点の段階でも多額の税金がつぎ込まれています。聞くところによれば,裁判員制度に関する広告宣伝費だけでも,最高裁で年間13億円,法務省で年間3億円くらいつぎ込んでいるらしいです。
また,全国の裁判所で裁判員用の法廷を作らなければならないので,裁判所の改修費も馬鹿にならないでしょうし,全国の市町村に裁判員候補者名簿を作って,候補者を呼び出したりする事務手続き上のコストも相当なものでしょう。
それに加え,現在各地の裁判所で,裁判員制度に備えた模擬裁判が頻繁に開かれていますが,裁判官と検察官は,公然と勤務時間中に模擬裁判やその演習・準備をしますから,社会秩序の維持には直接何の役にも立っていない模擬裁判も,国の税金で運営されていることになります。
ここで「裁判官と検察官は」と書きましたが,同じ模擬裁判の参加者であっても,公務員であり収入の心配をしなくて良い裁判官や検察官と異なり,弁護士は模擬裁判に参加しても別に給与や手当はもらえません。全くの手弁当です。
裁判官や検察官は,仮に内心裁判員制度に対し不満を抱いていようが,国の方針に従って着々と模擬裁判の準備を進めていけば,その間本物の裁判の仕事をしなくても給料はもらえるし,特に大声で反対論を唱える必要性も感じないでしょう。しかし,弁護士はそうは行きません。
弁護士が模擬裁判に参加すれば,本番はもちろんその準備や打ち合わせにもかなりの時間と労力を割かれることになりますが,これに対する報酬はなく,逆にその間仕事ができないので,かなりの経済的負担を覚悟しなければなりません。
それでも,裁判員制度下の裁判に対応できるスキルを身につければ将来の収入アップにつながるというのであれば,まだ参加する意欲も沸くかもしれませんが,相変わらず国選弁護事件の報酬は安く,刑事事件はお金にならない事件の代表選手のようなものです。
最近の修習生の中には,「刑事弁護をやる弁護士は負け犬」と公言してはばからない人もいるそうですが,仮にそうだとすると,模擬裁判に参加している弁護士は,自分にとって何の役にも立たないイベントに,見事なまでのボランティア精神と自己犠牲精神のもとでの参加を余儀なくされていることになります。
このような,弁護士にとっての裁判員制度のコストは,地域によって温度差があり,例えば東京弁護士会では,裁判員制度に対応できる200人の弁護士を養成することを目標に,裁判員裁判の実技演習を企画しています。
もっとも,一回こっきりの実技演習を体験したところで,裁判員裁判への対策にいくらでも時間を割ける検察とまともな勝負ができるとは思えないのですが,東京弁護士会の会員は既に5000人を超えていますから,そのうち模擬裁判の類に参加するのは全体の5%にも満たないことになります。
黒猫は,もとより刑事事件好きでもありませんから,このような研修に参加しようとも思いませんが,東京の弁護士の大半は,このように自ら望まなければ裁判員裁判とも無縁でいられるのです。
これに対して,弁護士の数が少ない地方の単位会では,裁判員裁判も持ち回りで半強制的に参加させられることになりますし,模擬裁判も同様でしょう。会員たちが揃って,裁判員制度への不満を爆発させる機会が,東京近辺と比べ格段に多いといえます。
新潟県弁護士会では,たしか殺人事件の模擬裁判で,裁判員役の女性が,被告人が愛人というだけで求刑13年を上回る量刑を主張し,被告人役の女性弁護士が「では,もし私が本妻だったら量刑はどうなるのですか」と聞いたところ,「それなら正当防衛で無罪」という答えが返ってきて,激昂した弁護士たちが裁判員制度延期要求の決議をしたと聞いていますが,このようなことが起こるのも,背景には裁判員制度の準備に対する負担の重さがあるのではないかと思います。
裁判員制度に関する,一般市民の負担も軽視できるものではありません。
裁判員候補者に選ばれたら,書面での辞退が認められない限り,裁判員等選任手続のため,平日の昼間の指定された時間に裁判所へ出頭しなければなりません。
裁判員候補者が,正当な理由なく期日に出頭しなければ,10万円以下の過料に処せられます。また,仮に裁判員になりたくないなどの理由で,裁判所から送られてくる質問票に虚偽の記載をした場合には,50万円以下の罰金に処せられます。
裁判員候補者として呼び出しを受けても,必ず裁判員に選任されるわけではなく,何の理由もなく選任されないこともあるわけですが,一度裁判員候補者として呼び出しを受けて不選任になっても,1年経ったらまた呼び出しを受ける可能性があります。
そして,一度裁判員に選任されたら,例え何日かかろうが審理終了まで裁判に立ち会わなければならないほか(裁判手続が3日で終わるという保証はどこにもありません),評議の秘密や職務上知りえた秘密は一生漏らしてはならず,違反すれば最高6か月の懲役刑に処せられます。
労働者が裁判員となった場合,労働基準法7条により公民権行使の保障は受けられることになっていますが,仮に使用者がこの規定に違反し,裁判員となった者が使用者から不利益な取扱いを受けても,裁判所にそれを取り締まる権限はありません。労働事件の問題は労働基準監督署に行けといわれるだけです。
それに,労働基準法7条によっても,裁判員としての職務を行っている期間を有給休暇扱いにする義務はありませんから,裁判員となった日数分の給料を減らされても法律上文句は言えません。
自営業者の場合は,何の保障もありませんから事態はさらに深刻です。経済的理由による辞退事由は「その従事する事業における重要な用務であって自らがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがあるものがあること」といった不明確なものしかありませんから,裁判官の判断によっては,辞退事由が認められずに不合理な出頭ないし過料を強制されてしまうおそれがあります。
被告人として裁かれる人にとっても,裁判員制度は大きな負担となります。なにしろ裁判員による裁判は辞退が認められていないので,対象事件で起訴された場合には,素人判断で何が起こるか分からない(しかも,平均的には重罰化傾向のある)裁判員裁判で裁かれることを余儀なくされます。
普通の国選弁護人では,裁判員裁判に対応できない可能性がありますから,借金してでも裁判員裁判に長けた弁護士を雇わなければならないかもしれませんし,裁判員の負担を理由に,証人なども制限されるでしょうし,被告人質問の時間もおそらく十分には与えてもらえません。しかも「核心司法」の裁判ですから,要するに犯行をやったか否かだけが重要であり,犯行に至った経緯などは考慮してもらえない可能性があります。
このように,裁判員制度は,この財政難の時代によくこんなことをやれると思うほど国の税金をつぎ込んでいる上に,裁判員制度に関わる弁護士や一般市民,被告人にかかるコストも重いものですが,それに見合うベネフィット(利益)があるのかというと,別にこれといったものはありません。
そもそも,裁判員制度自体,別に世論の要求によって出来た制度ではなく,単なる学者の思いつきで作られた代物に過ぎず,導入の決められた一番もっともらしい理由が,「欧米には一般市民が裁判に参加する制度があるが,日本にはない」というものです。
裁判に国民主権の理念を徹底させるといっても,別に裁判員を選挙で選ぶわけではなく,一般国民から無作為抽出で選ぶだけですから,真の意味で国民主権の理念が徹底されているわけではなく,単に裁判員の存在がいい加減な判決の正当化に利用されるだけです。
裁判員制度によって,刑事裁判が公正なものになるわけではないことは,同じ事件の模擬裁判をやっても判決がばらばらになることで既に実証されていますし,裁判員裁判における刑事弁護が弁護士のボランティア精神頼みというのでは,刑事弁護の実効性はこれまで以上に薄くなるとみて間違いないでしょう。
要するに,ほとんど何の意味もなく,多額の税金を投入して多くの国民に迷惑をかけまくるのが裁判員制度の本質なのです。法の民と言われた古代ローマ人ならともかく,「和を以て貴しとなす」日本人に裁判員制度なんて向きませんよ。
裁判員制度に限らず,司法制度改革審議会の意見書で示された改革というものは,例えば法科大学院にはろくでもない質の教育しかできないところにも多額の私学助成金をばらまいて,ろくな法律知識もない「法務博士」を粗製濫造するなど,およそ正常な経済感覚がないものが目白押しなのですが,政府は,後期高齢者医療制度でこれだけ支持率を下げて首相の問責決議まで叩きつけられながら,中止するのに何の支障もない裁判員制度の実施にいつまでこだわり続けるのでしょうか。
民主党は,今のところ裁判員制度に反対している形跡はない(法律の制定時には,裁判員制度自体は推進するものの,法律案の中身には批判的な立場だった)けれど,施行日が近づいて世論の批判が高まってきたらコロッと態度を変えて反対に回るのかなあ。
まだ施行されてもいないのに,早くもマスコミから見直し論議が起こる制度って一体・・・。
今回の記事は,その裁判員制度批判に関するものですが,ここでは被告人の権利とか適正な裁判といった問題とは別に,費用対効果という点で「裁判員制度の導入」という政策の妥当性について検証してみようと思います。
裁判員制度には,現時点の段階でも多額の税金がつぎ込まれています。聞くところによれば,裁判員制度に関する広告宣伝費だけでも,最高裁で年間13億円,法務省で年間3億円くらいつぎ込んでいるらしいです。
また,全国の裁判所で裁判員用の法廷を作らなければならないので,裁判所の改修費も馬鹿にならないでしょうし,全国の市町村に裁判員候補者名簿を作って,候補者を呼び出したりする事務手続き上のコストも相当なものでしょう。
それに加え,現在各地の裁判所で,裁判員制度に備えた模擬裁判が頻繁に開かれていますが,裁判官と検察官は,公然と勤務時間中に模擬裁判やその演習・準備をしますから,社会秩序の維持には直接何の役にも立っていない模擬裁判も,国の税金で運営されていることになります。
ここで「裁判官と検察官は」と書きましたが,同じ模擬裁判の参加者であっても,公務員であり収入の心配をしなくて良い裁判官や検察官と異なり,弁護士は模擬裁判に参加しても別に給与や手当はもらえません。全くの手弁当です。
裁判官や検察官は,仮に内心裁判員制度に対し不満を抱いていようが,国の方針に従って着々と模擬裁判の準備を進めていけば,その間本物の裁判の仕事をしなくても給料はもらえるし,特に大声で反対論を唱える必要性も感じないでしょう。しかし,弁護士はそうは行きません。
弁護士が模擬裁判に参加すれば,本番はもちろんその準備や打ち合わせにもかなりの時間と労力を割かれることになりますが,これに対する報酬はなく,逆にその間仕事ができないので,かなりの経済的負担を覚悟しなければなりません。
それでも,裁判員制度下の裁判に対応できるスキルを身につければ将来の収入アップにつながるというのであれば,まだ参加する意欲も沸くかもしれませんが,相変わらず国選弁護事件の報酬は安く,刑事事件はお金にならない事件の代表選手のようなものです。
最近の修習生の中には,「刑事弁護をやる弁護士は負け犬」と公言してはばからない人もいるそうですが,仮にそうだとすると,模擬裁判に参加している弁護士は,自分にとって何の役にも立たないイベントに,見事なまでのボランティア精神と自己犠牲精神のもとでの参加を余儀なくされていることになります。
このような,弁護士にとっての裁判員制度のコストは,地域によって温度差があり,例えば東京弁護士会では,裁判員制度に対応できる200人の弁護士を養成することを目標に,裁判員裁判の実技演習を企画しています。
もっとも,一回こっきりの実技演習を体験したところで,裁判員裁判への対策にいくらでも時間を割ける検察とまともな勝負ができるとは思えないのですが,東京弁護士会の会員は既に5000人を超えていますから,そのうち模擬裁判の類に参加するのは全体の5%にも満たないことになります。
黒猫は,もとより刑事事件好きでもありませんから,このような研修に参加しようとも思いませんが,東京の弁護士の大半は,このように自ら望まなければ裁判員裁判とも無縁でいられるのです。
これに対して,弁護士の数が少ない地方の単位会では,裁判員裁判も持ち回りで半強制的に参加させられることになりますし,模擬裁判も同様でしょう。会員たちが揃って,裁判員制度への不満を爆発させる機会が,東京近辺と比べ格段に多いといえます。
新潟県弁護士会では,たしか殺人事件の模擬裁判で,裁判員役の女性が,被告人が愛人というだけで求刑13年を上回る量刑を主張し,被告人役の女性弁護士が「では,もし私が本妻だったら量刑はどうなるのですか」と聞いたところ,「それなら正当防衛で無罪」という答えが返ってきて,激昂した弁護士たちが裁判員制度延期要求の決議をしたと聞いていますが,このようなことが起こるのも,背景には裁判員制度の準備に対する負担の重さがあるのではないかと思います。
裁判員制度に関する,一般市民の負担も軽視できるものではありません。
裁判員候補者に選ばれたら,書面での辞退が認められない限り,裁判員等選任手続のため,平日の昼間の指定された時間に裁判所へ出頭しなければなりません。
裁判員候補者が,正当な理由なく期日に出頭しなければ,10万円以下の過料に処せられます。また,仮に裁判員になりたくないなどの理由で,裁判所から送られてくる質問票に虚偽の記載をした場合には,50万円以下の罰金に処せられます。
裁判員候補者として呼び出しを受けても,必ず裁判員に選任されるわけではなく,何の理由もなく選任されないこともあるわけですが,一度裁判員候補者として呼び出しを受けて不選任になっても,1年経ったらまた呼び出しを受ける可能性があります。
そして,一度裁判員に選任されたら,例え何日かかろうが審理終了まで裁判に立ち会わなければならないほか(裁判手続が3日で終わるという保証はどこにもありません),評議の秘密や職務上知りえた秘密は一生漏らしてはならず,違反すれば最高6か月の懲役刑に処せられます。
労働者が裁判員となった場合,労働基準法7条により公民権行使の保障は受けられることになっていますが,仮に使用者がこの規定に違反し,裁判員となった者が使用者から不利益な取扱いを受けても,裁判所にそれを取り締まる権限はありません。労働事件の問題は労働基準監督署に行けといわれるだけです。
それに,労働基準法7条によっても,裁判員としての職務を行っている期間を有給休暇扱いにする義務はありませんから,裁判員となった日数分の給料を減らされても法律上文句は言えません。
自営業者の場合は,何の保障もありませんから事態はさらに深刻です。経済的理由による辞退事由は「その従事する事業における重要な用務であって自らがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがあるものがあること」といった不明確なものしかありませんから,裁判官の判断によっては,辞退事由が認められずに不合理な出頭ないし過料を強制されてしまうおそれがあります。
被告人として裁かれる人にとっても,裁判員制度は大きな負担となります。なにしろ裁判員による裁判は辞退が認められていないので,対象事件で起訴された場合には,素人判断で何が起こるか分からない(しかも,平均的には重罰化傾向のある)裁判員裁判で裁かれることを余儀なくされます。
普通の国選弁護人では,裁判員裁判に対応できない可能性がありますから,借金してでも裁判員裁判に長けた弁護士を雇わなければならないかもしれませんし,裁判員の負担を理由に,証人なども制限されるでしょうし,被告人質問の時間もおそらく十分には与えてもらえません。しかも「核心司法」の裁判ですから,要するに犯行をやったか否かだけが重要であり,犯行に至った経緯などは考慮してもらえない可能性があります。
このように,裁判員制度は,この財政難の時代によくこんなことをやれると思うほど国の税金をつぎ込んでいる上に,裁判員制度に関わる弁護士や一般市民,被告人にかかるコストも重いものですが,それに見合うベネフィット(利益)があるのかというと,別にこれといったものはありません。
そもそも,裁判員制度自体,別に世論の要求によって出来た制度ではなく,単なる学者の思いつきで作られた代物に過ぎず,導入の決められた一番もっともらしい理由が,「欧米には一般市民が裁判に参加する制度があるが,日本にはない」というものです。
裁判に国民主権の理念を徹底させるといっても,別に裁判員を選挙で選ぶわけではなく,一般国民から無作為抽出で選ぶだけですから,真の意味で国民主権の理念が徹底されているわけではなく,単に裁判員の存在がいい加減な判決の正当化に利用されるだけです。
裁判員制度によって,刑事裁判が公正なものになるわけではないことは,同じ事件の模擬裁判をやっても判決がばらばらになることで既に実証されていますし,裁判員裁判における刑事弁護が弁護士のボランティア精神頼みというのでは,刑事弁護の実効性はこれまで以上に薄くなるとみて間違いないでしょう。
要するに,ほとんど何の意味もなく,多額の税金を投入して多くの国民に迷惑をかけまくるのが裁判員制度の本質なのです。法の民と言われた古代ローマ人ならともかく,「和を以て貴しとなす」日本人に裁判員制度なんて向きませんよ。
裁判員制度に限らず,司法制度改革審議会の意見書で示された改革というものは,例えば法科大学院にはろくでもない質の教育しかできないところにも多額の私学助成金をばらまいて,ろくな法律知識もない「法務博士」を粗製濫造するなど,およそ正常な経済感覚がないものが目白押しなのですが,政府は,後期高齢者医療制度でこれだけ支持率を下げて首相の問責決議まで叩きつけられながら,中止するのに何の支障もない裁判員制度の実施にいつまでこだわり続けるのでしょうか。
民主党は,今のところ裁判員制度に反対している形跡はない(法律の制定時には,裁判員制度自体は推進するものの,法律案の中身には批判的な立場だった)けれど,施行日が近づいて世論の批判が高まってきたらコロッと態度を変えて反対に回るのかなあ。
で、座してこのまま見過ごすのか、ですが、僕らの間では、裁判員制度が「現代の徴兵制」と言われていることから、「徴兵制に対する良心的兵役拒否」とパラレルに、「人を裁きたくない」という真っ当な庶民の思想・信条を擁護すべく「裁判員制に対する良心的裁判員拒否者を支援するセンター」を地元弁護士会内に作ろうとしています。「過料」の立て替えもイメージしていますので、どうなることやら。
まあ、創意工夫で出たとこ勝負ですね。 「当番弁護士制度」もそうやって出来たものですし。
今後も先生のスパッと鮮やかな論旨を期待しています。励みになりますから。
では、また。
その政党に所属する弁護士たちは上の決めたことに反対できず、沈黙を守るのみ。上の方も、賛成した手前、引っ込みがつかず、今更反対の声を上げることもできず悶々としている状態。この調子だから六〇年もベルリンの壁が壊れなかった訳だ。焼け野原になってからやっと腰を上げるつもりのようだ。情けない限り。その罪は重い。
しかも、司法取引を繰り返し、被告人の同意のもとで実施されるもので、日本の裁判員制度とは大きく異なっております。
日本の裁判員制度は、被告人の裁判を受ける権利を侵害しているのではないか、とも思えるのですが・・・・。どうして、こんな馬鹿な制度を創ろうとと考えたのか、理解不能です。
ようやく外国並みになったってこと
これからはそんな甘えは許されない。
日本の弁護士は,今まで,他の先進国の弁護士に比べて
3分の1程度の安い報酬しかもらえず
苦役のような国選弁護を強いられてきました。
外国並みにするなら,労働に見合った報酬を
国は弁護人に払わなければなりませんが
法テラスがそんな報酬を払うとは考えられません。
昔も今もこれからも,国選弁護は苦役でしかありませんよ。
現在の無茶な名目的報酬では、こんな手間のかかるものに関わってしまえば、生きていけないからです。
それは、弁護士を何万人増員しようが同じこと。
実施しても、引き受け手が足りない、引き受けても手抜きが目立つのは目に見えており、真実の見えないマスコミは、「弁護士が足りないから」と批判するでしょう。そこから大増員してもやはり結果は同じことが判明し、となってから、ようやく裁判員裁判は廃止されるでしょう。火の車でかつ硬直化した財政の下では、裁判員裁判に必須の条件である、適正な最低限の報酬を弁護士に支払うことなどできないのですから。
しかし、廃止までには、20年はかかり、その間、日本の刑事司法は混乱と責任の擦り付け合いに終始する暗黒時代に突入するものと考えています。
制度推進者には、制度設計を行う最低限の見識が欠けていたといわざるを得ません。
黒猫先生のご意見を賜りたく…。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080619-00000014-yom-soci
法治国家と自力救済の次元の問題ではないかと考えますがどうでしょうか?
だが、5年と持たないだろう。
なにせ、制度創設で高名を得ようとした学者と官僚以外、実質的に支持する者は誰もいないのだから。
ホントに批判だけするのは簡単ですよ。利用しやすい司法制度について対案を述べてほしいものです。自分に利益のあることだけをすれば良いと考えている人達ばかりで世の中進歩するんですかね。
自分達弁護士の負担増が嫌なのが本音なのに,国民の負担増反対などと綺麗ごとを言わないでほしいところです。
いちいち一般国民にわかりやすく説明するのは面倒くさいし自信がない。
裁判員に時間を取られるくらいなら他の事件で金が欲しい。
といったところが本音でしょうか。法曹関係者ならかなり早くから裁判員制度について知っていたはずで,制度開始秒読みの今頃になって裁判員に反対する弁護士会ってなんなんだろう?国民の負担という不安を煽るやり方といい,腑に落ちません。弁護士会は本当に日本の司法について真剣に考えているのでしょうか。結局利己的に行動してるとしか思えないです。
それこそ弁護士会の質の低下では?
私は,時代の流れへの柔軟性を持つロー卒生に期待しますよ。
やる気のない弁護士は受けなけりゃいいのです。
代わりはいくらでもいます。
本当に実力のある弁護士は裁判員制度を歓迎してますよ。
ちなみに同じ事件でも意見がバラバラになるのは当然でしょ。裁判官がやってもそれは同じ。だからといって裁判の公正さがないとは必ずしもいえないでしょう。
あと,裁判員を選挙なんかで選んだらそれこそ多数派の意見が反映されて,少数者の人権が害されてしまうではないですか。無作為抽出なのは当然です。
最後に,最初から完璧な制度なんてありゃしませんよ。制度の廃止を神に祈るよりどうすればより良くなるか考える方が生産的ですし,大人です。
>本当に実力のある弁護士は裁判員制度を
>歓迎してますよ。
このコメントは、①冤罪救済を生き甲斐に収入を度外視して刑事ばかりをやっているごく少数の特殊な弁護士や、②報酬の多い私選の刑事事件を取り扱っているヤメ検の弁護士に関しては当たっている部分もあるのかもしれませんが、日本の刑事事件の大多数を占める国選事件に関しては的はずれです。
残念ながら、国選事件で支払われる微々たる報酬額を考えれば、一般的な弁護士は刑事事件などあまりやりたがらないものです。もともと代わりの担い手などいないのです。
もしかしたら、裁判員制度の導入に伴う種々の改正はその傾向を助長させるかもしれません。ロースクール卒の弁護士が参入したところで、経済的にみて不合理な仕事であれば、わざわざ時間を割いて国選の否認事件や重大事件に取り組む人などでてこないでしょう…コンビニでバイトした方ががマシと言うことにもなりかねませんから。。
ただ、一方で、私には従前の制度がよかったとも思えないので、裁判員制度に積極的に反対する気持ちもあまりありません。「最初から完璧な制度などない」という点には同感です。
弁護士ばかりではありません。
裁判所や検察庁は組織として批判できませんが
個々の裁判官や検察官からは,
「裁判員裁判なんかやりたくない」との声しか
聞いた事がないんですけれど。
偉いある裁判官は,一連の司法改革はすべて改悪だ
と言っていますよ。
弁護士だけが変なことを言っているのでは
ありませんので,あしからず。