Fool & the Gag

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The Last Laugh

2007-07-09 00:03:35 | 雑記
さあさあ。三谷幸喜「笑の大学」のイギリス版=「ラスト・ラフ」。ロンドンに先駆けての日本公演だそうです。久々に舞台のチケットを取りました。最近あんまり舞台を観てなかったなあ。思えば、ヤン・ファーブル、後藤ヒロヒト、それと、天才ブルースカイの「レミゼラブ・ル」と、あとは毎年恒例のシティーボーイズぐらいしか観ていなかったのですが、ひさびさに、これ楽しみです。なんてったって、役者のひとりがマーティン・フリーマンだかんね。「The Office」のティム役の人ね。これは観るしかない!

おそらく、いい意味で超ウェルメイドな舞台だと予想。構築と技術。しかもそれが目立たないくらいに自然な。と、観る前から期待しまっくってます。でも、その期待がなかったら、舞台のチケットって買えない。だって高価ですから(面白かった場合は、安いと思うんすけどね)。舞台のチケットに払うのは、お金でなくて「信用」です。つって、わたし、ぜんぜん英語わかんないんですけど(恥)。とにかく、肉眼でマーティン・フリーマンが観てみたいのです☆ 楽しみだ。

で、イギリスでの舞台といえば。

聖杯伝説にはさほど興味はないものの、すこし前に公演していた(今もしている?)舞台「SPAM ALOT」。これ、是非観たい。日本公演なんかあったら、すごく嬉しいのだけど、まあイギリスまで行かないとダメかしらん。じっさい、うちのコメディ・マニアの同居人はイギリスまで観に行ってたし。Tシャツやらスパムやらのグッズを買ってきてくれたけど、嬉しいような悔しいような。ステンシルも生で観たって言いながら、Banksyの写真集を買ってきてくれたが、これも、うらやましいほうがでかかった。

ゴンドリー/恋愛睡眠のすすめ

2007-06-11 19:27:48 | パッシヴアタック
【ネタばれ注意】

ミシェル・ゴンドリー監督の映画『恋愛睡眠のすすめ』をシネマライズで。すごく可愛らしいラブ・ストーリーでありながら、とんでもなく滑りしらずな「笑い」にあふれたコメディーでもありました。いやあ笑った。思いついたアイデアを力ずくで繋ぐ際にでる無理が、一種、ふわっ、とした驚きをお話にあたえてて心地よく。極力VFX(CG)を排したアナログな表現の選択に「アニメーション愛」とともに「かわいい反逆」を感じました。種を巧みに隠した手品がVFXなら、ゴンドリーさんの表現は種が露出した手品=「マギー司郎的映像」といいましょうか。VFX(CG)映像を長いフリに、アナログな表現で巨大なオチをつけた松本人志監督の『大日本人』なども(もちろんぜんぜん違うのですが何故か)連想したりして。つくり物を「つくり物」として撮ることの果てに見えてくる世界では蛇口からセロファンの「水」が流れます。アナーキー・イン・ザ・セロファン! てことで『恋愛睡眠のすすめ』はオススメです。


あと映画関連でいいますと、村松正浩監督の最新作『けものがにげる』が、第29回ぴあフィルムフェスティバルの招待上映作品に決定した模様。これは観に行かねば☆

第29回ぴあフィルムフェスティバル 
招待作品部門 - 自由な日本映画たち
若手映画作家育成プロジェクト作品
『けものがにげる』
監督・脚本:村松正浩
出演:田中哲司、斉藤陽一郎、河井青葉、藤田陽子、不破万作
日時:7月19日(木)16:45~
会場:渋谷東急

ボラット

2007-05-26 23:42:57 | パッシヴアタック
いよいよ公開した『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』を、渋谷シネアミューズにて初日に観てまいりました。

【ご注意】これから見る予定がある方は、あまり予備知識を持たない方がよいと思われ、以下、読まないほうがいいかもしれません。たいしたことは書きませんが【ご注意】

いや、非常にクオリティの高いコメディでした。スケッチが筋にいやらしくなく絡み、場面が変わる度ごとに笑いがおこる。常識をひっくり返す作法にモンティ・パイソン以降の伝統的風味もあったり、疑似ドキュメンタリー的方法は『the Office』を連想させたり。ロードムービー的展開に『水曜どうでしょう』の「アメリカ横断」も連想され。いちいち「間」がいいし、小さなクスグリも効いてて、細部まで凝りに凝っている。が、その凝り具合が、さりげない。その余裕が、ちょうどいい。笑いました。

 スクエアに、政治的に正しい態度を貫こうとすれば、もちろん笑えない訳(例えば、カザフスタンの身になれば)ですが、それはあまりに無粋というものでしょう。

 『ボラット』と『アリG』を同じ人物が演じているとは信じがたく、サシャ・バロン・コーエンの演技力を実感。海外の良質なコメディ映画がこうして観られるのは嬉しい限り。どんどん入ってくるといいなあ。

サシャ・バロン・コーエン

2007-05-23 22:50:44 | パッシヴアタック
 タイトルは英国のコメディアンの名前。サシャ・バロン・コーエン演じる「ボラッド」が大暴走する映画『ボラット~栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』が公開間近。ボラッドはカザフスタン国営放送局のジャーナリストという設定、アメリカで突撃レポートで無礼の限りを尽くすという内容のようです。キャラはフィクションでやることはガチというこでしょうか。これは楽しみ。

 サシャ・バロン・コーエンといえば、映画『アリ・G』で見せた、頭悪いが愛らしい、勘違いヒップホップ系ストリート野郎「アリG」の怪演が思い出されます。映画の前半で、頭悪いカスタムを施した車に乗り込み、カーステから流れるミュージック(ドラムンベース前夜のジャングル?)にテンションが上がりきり、ハンドルにぎりながらの「ダンス」は何度観ても、涙がこぼれるほど笑える、グッとくる。走る車の中という半端なプライベート空間で上がるテンションを爆発させるアリGと、車窓からみえる庭いじり、バザー、ミニ機関車、川を泳ぐ白鳥などという牧歌的風景の妙なマッチングが、個人のささやかな享楽といいますか「リアル」を剥き出しにします。

(これと似たシーンは、映画『陰謀のセオリー』にもあって、メル・ギブソン演じるパラノイアックなタクシードライバーが、街角でパーカッションの演奏を耳にして、ハンドルをバンバンたたきながら体をゆらしテンションを上げます。これも名シーンです。)

 映画『アリ・G』はどこか、クリス・ロックの映画『ヒップホップ・プレジデント』にも似たところもあったり、『カーウォッシュ』とか『バーバーショップ』などの映画特有のユルーい空気も若干ですが流れていて非常に好みの映画でした。ちなみに『the office』のティム役、マーティン・フリーマンも出演。

 調べてみたら、サシャ・バロン・コーエンは名門「フットライツ」の舞台に出演の経歴ありのようで。さあ『ボラット』ではどんだけ笑かしてくれるでしょう。5月26日よりロードショー。

アサッテの人

2007-05-08 21:40:34 | パッシヴアタック
すげえ。諏訪哲史「アサッテの人」が傑作。いいなあこういう小説。面白い! 単行本が出たら絶対買うので、できることなら書き下ろしの短編とか+αがあったりするとなお嬉しい。なぜなら文芸誌に掲載される小説は追いかけて全部読んでしまうと思うので。どう傑作なのかというのは、ちょっと本屋に行って確かめていただきたい。

現在発売中の『群像』に新人賞当選作として巻頭に掲載。

ワセブン復刊☆

2007-04-27 20:20:38 | パッシヴアタック
さあさあ「早稲田文学」復刊準備号☆

川上未映子の初の中編を巻頭に、青木淳悟、青山真治、鹿島田真希、斎藤美奈子、スガ秀実、仙田学、寺山修司、中原昌也、久松健一、向井豊昭、森達也、横田創、渡部直己ほかの執筆者。W表紙のリバーシブル?なZineのデザインも面白いです。限定1000部だとか1500部だとからしいので、なくなる前に。黄金週間を前に。

早稲田文学HP
http://www.bungaku.net/wasebun/

ハルムス! 福永信!

2007-04-27 18:35:35 | パッシヴアタック
待ってました! オベリウの中心人物、ダニイル・ハルムスの邦訳本『ハルムスの小さな船』(長崎出版、2007)が出た! まとまった形での翻訳本ははじめてでは? 私がハルムスの翻訳を読んだのは、風間賢二『快楽読書倶楽部』(創拓社、1995)に収録されていた3篇(「ブルー・ノートブックNo.10」「落ちていく老女たち」「レジ係」)で、その初期の中原昌也の短編に近似した、乱暴で可愛い感じに、やられる。

以降、事あるごとに探すも、翻訳本はあまり見つからず、わずかに絵本『ウィリーのそりのもがたり』(セーラー出版、1996)と、雑誌『飛ぶ教室』(光村図書、2007冬No.8)に収録された3篇(「トルボチュキン教授」「おとぎ話」「ある男の子に尋ねました」※レイアウトが良い!)が見つかったのみでした。

『ハルムスの小さな船』には23篇が収録されています。また、イラスト(西岡千晶)やフォントやレイアウト、紙や造本などデザインも非常に凝っていて、モノとしても魅力的。長崎出版のまわしものではないですけれど、これは買いです。とにもかくにも、長崎出版に心をこめてありったけの感謝を伝えたいです。こんな本を待ってました! ありがとうございます。

また、福永信の単行本『コップとコッペパンとペン』(河出書房新社、1996)も出た! こういう本が読めるのはほんとうに幸せ。

※あと、翻訳待ちの物件は、
(1)マグナス・ミルズ「Three to see the King」。
DHCから出ている翻訳本『フェンス』と『オリエント急行戦線異常なし』がやたらと面白かったので。あと、
(2)マーティン・ミラー『Suzy, "Led Zeppelin" and Me』。
2002年に出ている『ミルクから逃げろ!』(青山出版)が面白かった。2005年に出た『ニューヨークに舞い降りた妖精たち』(ソニー・マガジンズ)のほうは未読ですが。

と、あれこれ本を待ちつつ、暮らす楽しさ。

ユキチ・コード

2007-04-26 19:17:09 | 奇人作家
小説「ユキチ・コード」
(「早稲田文学」第十次0号、2007年4月)

日本の紙幣にまつわる自作「都市伝説」。
「早稲田文学」復刊0号に掲載。


早稲田文学HP
http://www.bungaku.net/wasebun/

追悼・バックウォルド

2007-01-26 04:04:49 | 雑記
 アメリカのコラムニスト、アート・バックウォルド氏が死去していたのをニュースサイトで知った。ユーモア交えながらの、政治や社会を風刺したコラムは一級品でした。ささやかながら、追悼のために『バックウォルド傑作選1~5』(文芸春秋)をぱらぱら再読。やっぱり間違いなく名著ですよ、これ。

 たとえば、バックウォルドは「だれがアメリカ大陸を発見したのか」という問いの代わりに、すでにその大陸に先住していたうちの「だれがコロンブスを発見したか」という問いを「発見」します。(コロンブスの上陸を先住民のだれが目撃したのかという意味です)

 ユーモアとインテリジェンスはほとんど同じ言葉のような気がしてきます。いま、ひろく読まれて欲しいバックウォルドです。

『THE L.A. RIOT SHOW』

2006-12-09 13:01:17 | パッシヴアタック
昨日。渋谷で、ロス暴動を材にしたコメディ映画『THE L.A. RIOT SHOW』をレイトショーで。これがめちゃめちゃオモロい。上映前に「いとうせいこう×スチャダラパー」のトークが。ネタバレ回避のために、ふんわりトークでハードル下げ、ミス・リード。最近はまってるゲーム、元失恋レストラン邸、キムタク武士映画の話など。こんなオモロい映画について、絶対それ自体を語らないというのは、この映画にたいする「愛」☆

やっぱりモチーフがロス暴動とかだと、笑いもハジケまくる。字幕監修が、いとうせいこう氏ということも手伝って、いやあ笑った。『ケンタッキー・フライド・ムービー』とか、いい時期の『サタデー・ナイト・ライブ』のような感触もあって。なにより、いちばん喜劇的なのは、現実に起きたロス暴動だろう。そこから現在の世界のありようが始まっている(と映画の作り手はみている)。歴史は繰り返す、一度目は悲劇として、二度目は喜劇として。じゃあ、今まさに目の前にある、三度目以降の「歴史」の反復はいったい何なのさ?