Fool & the Gag

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けものがにげる/村松正浩監督

2007-07-20 22:36:33 | パッシヴアタック
個人的には、諏訪哲史氏と川上未映子氏のダブル受賞を祈っていた芥川賞でしたが。うーん。むーん。でも、まあこれしかし、今回あつまった候補作のことを思うと、読書がどんどん面白くなってくる予感。これから諏訪氏や未映子氏をはじめ、面白い小説がどんどん出版されるのだから、そういった意味では、うきうきしますな。

私のうきうき気分は、もう一つ。先日縁あって、なんと脚本家のブルースカイ氏とお話する機会が! お話っていっても一方的に、いかに私がブルースカイ氏のファンであるかをまくしたてただけなのですが(恥)。そうとう、キョドりました(汗)。だって、ちょっとまえに公演した『レミゼラブ・ル』なんて、座席がずっと震動してたんですよ。マッサージチェアでもないのに。その場だけをハジけさせる一瞬の笑いではなく、シチュエーションそのものがオカシイので、観客の笑いがぐぐぐーんと長引くのです。ブルースカイ氏の笑いは。いやあ、ナンセンスの神が目の前にいて舞い上がりましたよ。なんか仙田学氏と似たムードをたたえてて。その仙ちゃんもまたシュールな小説の神ですが。

で、もう一つ。映画観たら、うきうきしましたよ。村松正浩監督の最新短編映画『けものがにげる』がPFFの招待作品に。これはデジタルではなく、なんとフィルム作品。どうやら若手作家育成プロジェクト(だっけかな?)なるものが生んだ映画らしく。文化庁の援助のもとに、制作されたとか。デジタル全盛のいま、フィルムの灯火をたやさぬよう監督や技術者の育成とは文化庁、すばらしいですわ。作品自体もこれ、1日だけの上映ではもったいないくらいで。こういう有意義な活動はもっともっとアッピールすべきすよぉ。もっと何回も、映画館で観るチャンスが欲しいです☆ 観客の育成もどうか、お願いいたします☆

父親と兄が暮らす家へ弟夫婦も集い、兄の婚約者を迎えるささやかな祝宴の日、兄がひそかに飼っていた「けもの」が逃げ出して…というストーリー。監督が、現代的なある種のユルさをたたえたリアリティーのなかにしのばせる奇妙な「けもの」は、どこかカフカの「オドラデク」も連想させたり。「けもの」と「焦げついた角煮」とを、変わらぬ存在感でえがけるのは村松監督ならでは。ファンタジーどっぷりにもならない、が、ただのリアリズムではない微妙な、稀有な世界が、隅々まで神経の行き届いた設計の、監督自身による脚本で実現されてました。フィルム特有の美しい画とともに、驚くべきキャストによって、センスあるユーモアも交えながら、日本の新しい「情緒」が綴られ。でもって音楽がこれまたイカしてるんですな。「侘美秀俊」という、僕が目にしたうちでもっとも美しいと思う名前を持つ方らしいのですが、グッとくる音楽を提供してます。邪悪かつキュートな特殊造形の「けもの」は、毛むくじゃらのメタファーで。男の黒いピーターパン的部分で。こういう映画って実際、あんま観たことないかな☆ 超グレイトでした。

The Last Laugh

2007-07-09 00:03:35 | 雑記
さあさあ。三谷幸喜「笑の大学」のイギリス版=「ラスト・ラフ」。ロンドンに先駆けての日本公演だそうです。久々に舞台のチケットを取りました。最近あんまり舞台を観てなかったなあ。思えば、ヤン・ファーブル、後藤ヒロヒト、それと、天才ブルースカイの「レミゼラブ・ル」と、あとは毎年恒例のシティーボーイズぐらいしか観ていなかったのですが、ひさびさに、これ楽しみです。なんてったって、役者のひとりがマーティン・フリーマンだかんね。「The Office」のティム役の人ね。これは観るしかない!

おそらく、いい意味で超ウェルメイドな舞台だと予想。構築と技術。しかもそれが目立たないくらいに自然な。と、観る前から期待しまっくってます。でも、その期待がなかったら、舞台のチケットって買えない。だって高価ですから(面白かった場合は、安いと思うんすけどね)。舞台のチケットに払うのは、お金でなくて「信用」です。つって、わたし、ぜんぜん英語わかんないんですけど(恥)。とにかく、肉眼でマーティン・フリーマンが観てみたいのです☆ 楽しみだ。

で、イギリスでの舞台といえば。

聖杯伝説にはさほど興味はないものの、すこし前に公演していた(今もしている?)舞台「SPAM ALOT」。これ、是非観たい。日本公演なんかあったら、すごく嬉しいのだけど、まあイギリスまで行かないとダメかしらん。じっさい、うちのコメディ・マニアの同居人はイギリスまで観に行ってたし。Tシャツやらスパムやらのグッズを買ってきてくれたけど、嬉しいような悔しいような。ステンシルも生で観たって言いながら、Banksyの写真集を買ってきてくれたが、これも、うらやましいほうがでかかった。