Fool & the Gag

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ケータイ小説

2009-01-06 00:26:10 | パッシヴアタック
早いもので、2009年。
川上未映子氏朗読&ビュトールの豪華DVD付「早稲田文学2」も出たよ!同誌掲載の仙田学氏の「乳に乾くpart2」が気に入った方は熊野大学文集「牛王vol.5」に掲載の「乳に乾く」もぜひ!! 併せて読むとなお面白いですよ!! というか必読です!!

しかし昨年は公私にわたり盛りだくさんの一年でした。「文藝」に「早稲田文学1」に「エクス・ポ(第一期)」に「テルテルポーズ1、2」。僕なんかにしてみれば、とんでもなく恵まれたありがたい事態でありました。「エクス・ポ」ではイベントにまで声をかけていただき、「こいつ誰なんだ感」丸出しのまま厚顔無恥にも出演させていただきました。昨年お世話になった皆様、ありがとうございました。そして本年もよろしくお願いいたします。

昨年は、ギャグマンガの王様こと赤塚不二夫の訃報を耳にした後で、思い切って無い金はたいてモンティの舞台「Spamalot」をロンドンまで見に行き、またその際、現地のHMVのDVDコーナーでコメディーの豊富さ(新宿TakashimayaのHMVと比べれば6倍!!)に驚き、また、路上で目にしたBanksyのグラフィティ、ロケーションも含めた過激さとトロンプイユを利用したユーモアにうちのめされ、漱石さながらにショックを受けて帰国。秋には第1回したまちコメディ映画祭で日本では当たりずらいアダム・サンドラー主演映画がちゃんと上映されたりして、いよいよ「コメディ」と「笑う」についてきちんと考えないといけないと思った。すると年末にトリオフォーの山下陽光さんから連絡があった。

それは個展の報せで「じゃましマンの限界演芸」展なるものでした。
「じゃましマン」とは山下さんと同じトリオフォーのメンバーでこのトリオフォーというのが何と言えばいいのか、お笑いともアートともキュレーションともカテゴライズ不能の活動をしている集団で、駅工事のガムテープ文字「修悦体」を世に送り出したと言えば判りやすいがそれだけではないので、詳しくは先頃刊行された福住廉さんの『今日の限界芸術』で山下さんがChim↑pom(卯城氏)と対談しているので読んでもらうほかないです。で、この「じゃましマンの限界演芸」展というのが福住廉さんの企画なのでした。

トリオフォーのパフォーマンスは数えるほどしか見た事のない私ですが、書き出すときりがないので、機会があるときにまた書く事にしますが、山下さんやじゃましマンさんのほかにもとんでもなく面白いメンバーが控えています。で「じゃましマンの限界演芸」展に足を運んで目にしたのもカテゴライズ不能なもの。トリオフォーがしていることは10年とか100年先になってやっとカテゴライズできる「何か」なのかもしれないし、その時点でもまたカテゴライズ不能かもしれません。ただ現時点で間違いなく言えるのは、それが面白いということ。いま、トリオフォーから目を離してはいけません。

トリオフォーの山下陽光さんは昨年オモシロ講義で京都精華大の教室をブイブイいわせたらしいですが、なんと1/9(金)、慶応大学湘南キャンパスで、倍率ドン更に倍!のオモシロさで講義なさるようですので時間のある方、ぜひぜひ!! 
(詳細は山下さんのブログ「場所っプ」参照)

で、1/20(火)は新宿眼科画廊にて「山下陽光チョロイズムshop」と題して、山下陽光さん&じゃましマン改めショボシマンさんがパフォーマンス。なんと、私もお手伝いで参加させていただきます!! めざせ「恋空」の呪文とともに、私、ケータイ小説に初挑戦。山下陽光さん&ショボシマンさんのパフォーマンスをリアルタイムケータイ小説化する予定です。号泣ならぬ改行する準備はできていたテイストで、
改行
改行
改行で、今年最初(で最後?)のケータイ小説をライブで発表予定。お暇な方はぜひ遊びにいらしてください!!


■ 新宿眼科画廊 〔OPE〕フェス
■ 2009年01月16日(金)~22日(木) 〔7日間/スペースO〕
  1月20(火)14:00~21:30「山下陽光のチョロズムshop」
■ 1500円/1day


新宿眼科画廊
http://www.gankagarou.com/s-ope.html

山下陽光さんのブログ「場所っプ」
http://blog.goo.ne.jp/bashop/


『十』と『エキストラ』

2008-03-16 01:34:43 | パッシヴアタック
最近買った本、雑誌。
『小説の設計図(メカニクス)』(前田塁氏著)
『絶対安全文芸批評』(佐々木敦氏著)
『ニートピア』(中原昌也氏著・サイン本!)
『エクス・ポ2』
『イルクーツク2』
あと、文芸誌全般。

最近頂戴した本、雑誌。
『レビューハウス』(仙田学氏の短編小説掲載!)
『たんぺん』(麻田圭子氏著・私家版)

今日は久しぶりに土曜が休み。といっても午前に仕事済ませてから、午後一に新宿へでる。タワレコで『エクス・ポ』のイベント見学し、久々に新宿を徘徊してDVDを物色。BBCコメディー『エキストラ』のシーズン1,2とオリエンタルラジオの初DVD作品集『十』をゲット(BBCものでは『IT課』もみっけたが1巻目がなかったので今日は買わず。後で絶対に買う)。

とりあえず、オリエンタルラジオの『十』は何だろう、うまく言えないが受け取る感覚が新しい。傑作と言ってもいいんではないでしょうか。何の番組だったか、三木聡氏とオリラジ中田氏が対談してるの観てから、DVD作品集が出たら絶対買おうと思ってましたが、これは買いです。「天才・神崎の交渉」「情熱列島」「あの夏年の夏はよく思い出せない」「エンゲージリング」(ボルト祭はヤバし☆)などが印象深いっす(他のも面白いですが)。お笑いのDVD(最近の)で「享受」なんて言葉は初めて耳にしました。なんかBABY-Qのスタジオが映ってます。

『エキストラ』は、さすがのBBCコメディー。『the Office』のリッキー主演、エキストラ止まりの中年役者の冴えない感じ、苦笑い、ビタースイートサンバな感じが、ドキュメントともドラマともスケッチともシチュエーションコメディーとも違うというか、そのすべてのごった煮状態の手法で描かれてて。BBCコメディーはかなり進んでいます。しかも、なんかゆったりしてるのに、毒がある。「よゆう」が漂ってます。ウィル・フェレル×ニコール・キッドマンの『奥様は魔女』とか思い出したり。

じゃんじゃん入って来て欲しいブリティッシュ・コメディーです。ブリティッシュコメディーかどうかわからないうえに、名前もあってるかどうかも判りませんが『ヤング・ワン』とかいうコメディー番組がめっぽう面白いと聞きます。これも観たいです。

4月の「どん底」、5月の「シティーボーイズ」を楽しみに春をすごします。

『WB』Vol.11

2007-12-30 17:04:47 | パッシヴアタック
さあさあ、タダで読める愉しい文学『WB』Vol.11。巻頭に蓮實氏インタビュー、もう一つの巻頭、川上未映子氏の連載対談のゲストには『ムーたち』の漫画家・榎本俊二氏。『早稲田文学1』、来春に太田出版よりの発行を記念した『新現実』5(太田出版)に続きが掲載される柄谷行人氏×大塚英志氏の対談ありの盛りだくさん。同人誌『イルクーツク2』にも期待大の福永信氏をはじめ各連載も絶好調。向井豊昭氏の「日本国憲法十二条」(タイトルおおげさですが、ユーモアたっぷりのエッセイ)が、向井氏が「BARABARA書房」名義で発行する手書きコピー個人誌『Morts』より転載。以前、ここでも紹介しましたがキュートで面白いです。

『Morts』はすでに3号目が発行されております。月刊かなと、油断していたら、2号と3号の間は1カ月ありません。すごい刊行ペースです。読む方が追いつきません。これが向井氏のパワーなのか。。。凄いです。後でじっくりご紹介する予定です。

そう、そう、早稲田文学の仲間、不気味な、ユーモアと色気のエクリチュールでお馴染み仙田学氏が、新創刊予定の『Review House』という批評雑誌に小説を寄稿するらしいです!アーティストのドローイングとコラボだとか。これは見逃せないですぜ! 詳しい情報が入り次第またお知らせいたします。乞うご期待!!!

『WB』、『新現実』、『イルクーツク2』、『Morts』、『Review House』、『エクス・ポ』等、規模や色は様々ながら、面白い(これから刊行になるものについては面白そうな)新雑誌が増えてる気が。『hon・nin』という雑誌もあって古川日出男氏や天久聖一氏の小説が読めるし。2008年は、もっと増えたりしたら楽しい。

で、しつこいようですが『エクス・ポ』よろしくお願いいたします。できる限り多くの方に、読んで欲しいです。お求めはヘッズオンラインショップだけでなく、一部書店でも入手可能らしいです。以下、佐々木敦氏のブログより。

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エクス・ポは以下のショップでもお買い求めになれます。

ブックファースト(置いてある店と無い店がありそうなので各店にお問い合わせください)
ジュンク堂書店(池袋店、新宿店)
青山ブックセンター(本店と六本木店)
LIBRO(渋谷店、池袋店、六本木店)
紀伊國屋書店新宿店
立川オリオン書房ノルテ店
吉祥寺百年
円盤
タコシェ
ナディッフ(置いてある店と無い店がありそうなので各店にお問い合わせください)
京都大垣書店
京都ガケ書房
京都恵文社一乗寺店
京都SHIN-BI
仙台ストア・ジューゴノヴ
タワーレコード(新宿、渋谷店)
ディスクユニオン(置いてある店と無い店がありそうなので各店にお問い合わせください)
Lilmag
ONTONSON

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ブルーマングループ

2007-12-24 23:23:57 | パッシヴアタック
この三連休も仕事に追われ24日だけ休み。22日に行く予定だった三谷の舞台のチケットもイイ席だったけど手放す結果に。24日の今日は「ブルーマングループ」の公演を観に六本木のインボイス劇場へ。「ブルーマングループ」はこれ、ずっと観たかった。ようやく観ることができ感無量。アイデアのアウトプットの作法がチャーミング。笑いも最初はベタばかりなのかなあと思っていたら、ナンセンスもシニカルもあったりで。素晴らしかった。

観た後、クリスマス模様の六本木をぶらついて、ヒルズとミッドタウンを偵察し、ABCで川上未映子氏の新刊をゲットして帰宅。近所のケンタにありえないほどの長蛇の列。なんか楽しい気分に。

で、佐々木敦氏のブログを拝見すると「エクス・ポ」の寄稿者のブログ一覧が載ってて。円城塔氏のブログを拝見したら「エクス・ポ」に寄稿されている「後藤さんのこと」の読み方ガイドがあって、なるほど、これが凄い。本文が黒と赤で構成されているのだけれど、「黒+赤」、「黒のみ」、「赤のみ」と、その三通りの読み方が可能だと。面白いなあ。むかし福永信氏が「リトルモア」誌上で本文に数色を使った作品を発表していたけど、あれも面白かった。円城氏のはより複雑でしょうか。「石蹴り遊び」とか、浅暮氏の実験小説『ぬ』(のどれか)とかも思い出したり。なにしろ、ナンセンスだから好き。また、読み直してみよっと。というか「エクス・ポ」まだ全部を読めてない。まだまだ読むところがたくさんあると思うと楽しみです。ちなみにスズキロク氏、最高っス。

新雑誌『エクス・ポ』のお買い求めは
ヘッズオンラインショップで。
http://www.faderbyheadz.com/onlineshop/shop_index.html
たくさんの方々に読んでいただきたいです☆

第六回文学フリマ

2007-11-11 23:59:00 | パッシヴアタック
文芸誌では「新潮」で渡部直己「日本小説技術史」が始まり、「文學界」には川上未映子「乳と卵」が発表される黒田晶の新作もあったりで、にぎやかなる「文化の秋」なこのごろ(「日本小説技術史」早くも2回目が楽しみです)。文学フリマに行ってきました。いやぁ。ほぼ毎回行っているのですが、大人の文化祭というムードで楽しいです。今回は噂のオーラル・クリティック・マガジン『VECTORS』と『佐々木敦ティーンエイジ赤面作品集』(限定20部)と『スポンジスター』と『書評王の島』を入手すべく午前中に秋葉原入り。いろいろ面白そうなの買いました。

『VECTORS』(大谷能生×木村覚×佐々木敦)
『佐々木敦ティーンエイジ赤面作品集』(佐々木敦)
『スポンジスター』(ブルボン小林編集)
『書評王の島』(豊崎由美×書評講座受講生)
『吉田アミは書きました』(吉田アミ)
『$HYPER』(小笠原鳥類、村上子、泉智也)
『木曜日No.23』(上野ゼミ同人誌)
『リブリレvol.10』(早稲田大学現代文学会)
『M@DAGE』(幸田龍樹、田高利、麹弘人)
『文芸誌の一年』(森田真功、佐藤克成)

『VECTORS』はおおむね読みましたが、話題が音楽、演劇、コンテ、美術、文学、現代詩などなど多岐にわたり風通しがよくて面白いです。しかしこのボリューム、文字起こしや校正はハンパなく大変だったろことが容易に想像できます。『佐々木敦ティーンエイジ赤面作品集』と併せ、がしがし読みます。HEADZのブースで『$HYPER』と『吉田アミは書きました』も購入。『スポンジスター』は金剛地武志インタビューとブルボン小林の長編評論が面白そう。『書評王の島』を買おうとしたらなんとブースに豊崎由美ご本人がおられて、サインとかチョロ欲しかったのですが自分、シャイなオッサンなので無理でした。会場でお会いした河村さんにご挨拶し、お世話になっている「早稲田文学」ブースの学生スタッフのみなさんにご挨拶して、2Fを後にして1階へ。

上野ゼミ『木曜日』のブースで見本を手にとったら「あ、去年も一昨年も買ってくれた人だー」と、いち購買者である私を覚えていてくれたらしく、なんとなく嬉しい気分で最新号を購入。私、あんまし特徴のない人間なんですが。文学フリマこういうのがいいっすよねぇ。

でいろいろなブースをグルグル見てまわっていたら「50円」という値札を出しているブースがあって、どんだけ謙遜してんのか、どんだけ読んで欲しいのか知らないけど、とても「50円」では刷れそうにない冊子であったので「50円じゃ赤字じゃないの?」とブースのメンズにうかがったら「はじめから儲けは考えてないのでいいのです」と爽やかなレスポンス。表紙の人なつこい感じにひかれて購入したのが『M@DAGE』という同人誌。これが説明しすぎだったりするのだけど、好きな風味の小説ばかりで、なかなか良い同人誌だと思いました。

昼過ぎに、やたらおなかが空いてしまったので秋葉原をあとに。家の近くで、中華を食べた。で、家帰って「d.v.d」のDVDを観たら、のけぞった。ぐわぁ。おもしろい!

パフューム ~ある人殺しの物語~

2007-11-01 00:20:29 | パッシヴアタック
『パフューム』のDVDをレンタルで。ひじょうに整っていて判りやすい。何しろ笑えるし官能的。日本の野球界に「ハンカチ王子」と称されるスターがいらっしゃいますけれど、この映画にでてくる「ハンカチ王子」のことも、ぜひ知っておいていただきたい。彼のハンカチのひと振りがもたらす、ライヒ的な?事態ったら。ちなみに、原作の小説は未読です。面白そうですね。

(以下、ネタバレ警報)

 嗅覚のすぐれた男が、究極の香水を求めて起こす連続殺人。嗅覚のすぐれた男は、匂いによって世界をとらえている。ある日、運命的な匂いにめぐり合う。匂いによって世界をとらえている彼にとって、それはいわば初恋なのだが、匂いを嗅ぐことを女性に拒絶され結果、殺めてしまう。殺めた後で、彼はその匂いを必死に嗅ぎ(後にその匂いは消えてしまうことになる)それを保存したいと切望し、香水職人へご奉公。

 で、ある日、彼は自身が無臭であることに気付くが、これは自分というものが他者によって規定されるというようなことであって、それが匂いであっても同様。まあ普通、自分の鼻の穴の匂いって判らないものだし(むかし、ビートたけしのギャグにそういうのがあった)。つまり彼には他者がおらず、まるで透明な、いや、彼が世界をとらえる作法に従えば、まるで無臭な存在であると認識するにいたる。

 で、おもしろいのが、まるで無臭のような存在という彼自身の認識が、アクロバティックに周りにも共有され、じっさいに、彼は透明人間のようにふるまえるようになれる。無臭なだけで、彼はどこへでもしのびこめたりするから面白い。この辺をリアリティー云々で批判するのは、あまりにも不粋と思います。

 究極の香水を手にした彼は神のような存在となって、他者を得て、そこでようやく、観念的に初恋が成就する(群衆が彼の初恋を代行します)。神となった彼は、自らが生まれた貧困と腐敗が蔓延するパリに戻り、究極の香水の力を借りて自らが食物となって人々へ施しを与える。。。

 と言うような、ヒューマンなラストに見えますが、彼は「施しを与えること」や「救済」を選んだのではなく、「排泄物となること」を選んだのだと考えられます。究極の香水の力を借りることなく、匂いを自己主張するために、彼は人に食われることで「排泄物」になることを選びとって、自己回復。エゴ大噴出なラスト。匂いの王様ですね。

 全体的には、なんだかミケランジェロやダ・ヴィンチらの宗教絵画(審判とか晩餐)を裏返したような印象です。なにより、オープニングの鼻のアップであるとか、執拗にクンクンするのや、クンクンによって馬でにげる標的を追跡する映像などが、エレガントでもありながら、変態っぽくトチ狂っててひじょうに笑えました。

くりぃむナントカ/ビンカン選手権

2007-10-30 00:16:20 | パッシヴアタック
くりぃむナントカ、ビンカン選手権がまた面白い試みをみせてくれた。以前やった最初の叙述トリックほどの驚きはない(2回目だからしょうがない)ものの「じつは100台のカメラで撮影していた」という面白い結末。ビースティーボーイズのライブフィルムで、オーディエンスにハンディカメラを手渡して、何台ものカメラで一つのライブを撮影したものを編集したのがあったが、それを連想。いやぁトンガってる!

向井豊昭個人誌『Mortos』(2号)

2007-10-29 20:21:23 | パッシヴアタック
向井豊昭氏の個人誌『Mortos』(2号)をお送りいただきました。創刊号をご紹介しようと、こちらがグズグズしているうちに2号目が我が家に届けられました。奥付けの日付を見てみると、創刊号から一月。『Mortos』は月刊誌なのだろうか? この向井氏の筆の勢い。作品も勢いを増し、跳ねています。創刊号同様、小説とエッセイがそれぞれひとつずつに「あとがき」が添えられています。

 小説「パッパッパッパッパッパッ」。類型や亜流の装いを捨て去った果てに獲得したしたのは向井氏独自の「装い」を背負って立つ「パッパッパッパッパッパッ」という祈りにも似た新しい「言葉」。

 エッセイ「日本国憲法第二十一条」。大げさなタイトルとは落差がありユーモア満載。「下品」や「乱れ」を排除しようとするムードとたたかう向井作品のよき理解者である「妻」が選んだ、向井氏のプロフィール写真。それは、正面を向いておらず風で髪の乱れた写真。「パパの小説には、ピッタリの髪でしょう」。この髪の乱れこそ、向井氏独自の「装い」であり、「表現の自由」なのだという力強い表明。

 そして「あとがき」もユーモアに満ちていて、向井氏の豊かなサービス精神に読者は最後まで包まれます。あぁ、なんとグレイトな小説家。また同じこと書きますけど私だけがこそこそ読んでいるのは本当に本当にもったいないです。できうるかぎり、ひろく読まれる機会に恵まれることを祈らずにはおれません。

向井豊昭個人誌『Mortos』(創刊号)

2007-10-29 20:15:59 | パッシヴアタック
向井豊昭氏の個人誌『Mortos』(創刊号)をお送りいただきました。なんと、すべて向井氏の手書きによるコピー誌。内容は小説「熊平軍太郎の舟」と、エッセイ「やあ、向井さん」の二つに「あとがき」が添えられています。「あとがき」よれば『Mortos』は全部で三十部らしく。その一冊を私へお送りいただいたようです。読者に選ばれたことを光栄に思わずにはいられませんでしたが、たまたま向井氏に選ばれた私などが、こそこそ読んでいるだけでは、大変に大変にモッタイナイと思うのです。このモッタイナさをどうすればいいのか? ああ、モッタイナイ。手書きによる文字たちに、表情といいますか、筆圧や筆記の速度を感じ、向井氏の、おそらくはシャープペンシルを持っているのであろう手が白い紙の上で踊るその勢いすら見えてくるようです。

「熊平軍太郎の舟」。「熊」の書き換えられるもとの姿を取り戻す。いとなみをのせた船を川へながし海へかえす。いつもの、愛敬と無骨さのブレンドされた向井節がさえわたっています。キュートとたくましさ。神話にあかるい文芸批評家の方に読んでいただいて、その方面からも感想をうかがってみたい、そんな作品であります。

「やあ、向井さん」は、「平岡篤頼先生」への思いが綴られています。ヌーヴォー・ロマン(と、ひとくくりに語ることはできないものであるけれど)は、まるきりそのままではないにせよ、フォームを変えながら、向井豊昭氏の小説のなかに脈打ち続けているのかもしれません。

お台場、トリオフォー、修悦体

2007-10-22 04:24:20 | パッシヴアタック
トリオフォーのプレゼンツで、修悦体(佐藤修悦氏によるガムテープ文字)のイベントが、なんと、お台場で開かれると聞き、重たい腰をあげてゆく。さいたま市と同じゆとり表記のりんかい線で。で、で、で、ゼップ上の会場まで行ってトリオフォーの面々が喋っているのが目の前にあったのに、入り口にいたオネイさんに「当日はもうありまへん、さっさと帰れこの豚野郎」的なセリフを吐かれ、チェっと言って帰った。オネイさんはアッカンベーしながらカーテンを閉めた。大人なんだから前売り買っておけばよかったな。最悪です。でもイベントは大人気だったようだ。良かった、良かった。それ以外、お台場にすこしも用はなかったので、しっぽを巻いて帰った。

帰りに新宿の本屋で、横田創氏の新作が載ってる「すばる」と、あと「ギンザ」と「グリッター」を買って帰宅。トムヤムクン的なアジアンな麺を食いながら、トリオフォー某氏に薦められた「殺人の追憶」のDVDを観る。グレイト。いっしょにレンタルした「東京ダイナマイト」の新しいDVDも。これもグレイト。

しかし、本当に最近このようについてない(私がバカなだけという話もあるが)。ハードディスクレコーダーがローディングをやめないところをみると、たぶん壊れている。あと、もろもろ機械類の調子が悪い。

そんな中で、ちょっとだけ幸せだったのは、みうらじゅん×いとうせいこう「スライドショー」が観れたこと(笑ったうえに、むかし泊まった「ホワイトハウス」という京都のホテルが出てきた)。近所の古本屋で、後藤明生と残雪の本を数冊購入したこと。フリーペーパーWBリニューアルして、川上未映子氏の対談や、なんといっても福永信氏の連載が始まったこと。あと、極めつけは向井豊昭氏が30部だけ発行している手書き個人誌『モールトス』の読者に選ばれたこと(これすごいのでまた後日、ご紹介したいと思います)。