Fool & the Gag

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ボラット

2007-05-26 23:42:57 | パッシヴアタック
いよいよ公開した『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』を、渋谷シネアミューズにて初日に観てまいりました。

【ご注意】これから見る予定がある方は、あまり予備知識を持たない方がよいと思われ、以下、読まないほうがいいかもしれません。たいしたことは書きませんが【ご注意】

いや、非常にクオリティの高いコメディでした。スケッチが筋にいやらしくなく絡み、場面が変わる度ごとに笑いがおこる。常識をひっくり返す作法にモンティ・パイソン以降の伝統的風味もあったり、疑似ドキュメンタリー的方法は『the Office』を連想させたり。ロードムービー的展開に『水曜どうでしょう』の「アメリカ横断」も連想され。いちいち「間」がいいし、小さなクスグリも効いてて、細部まで凝りに凝っている。が、その凝り具合が、さりげない。その余裕が、ちょうどいい。笑いました。

 スクエアに、政治的に正しい態度を貫こうとすれば、もちろん笑えない訳(例えば、カザフスタンの身になれば)ですが、それはあまりに無粋というものでしょう。

 『ボラット』と『アリG』を同じ人物が演じているとは信じがたく、サシャ・バロン・コーエンの演技力を実感。海外の良質なコメディ映画がこうして観られるのは嬉しい限り。どんどん入ってくるといいなあ。

サシャ・バロン・コーエン

2007-05-23 22:50:44 | パッシヴアタック
 タイトルは英国のコメディアンの名前。サシャ・バロン・コーエン演じる「ボラッド」が大暴走する映画『ボラット~栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』が公開間近。ボラッドはカザフスタン国営放送局のジャーナリストという設定、アメリカで突撃レポートで無礼の限りを尽くすという内容のようです。キャラはフィクションでやることはガチというこでしょうか。これは楽しみ。

 サシャ・バロン・コーエンといえば、映画『アリ・G』で見せた、頭悪いが愛らしい、勘違いヒップホップ系ストリート野郎「アリG」の怪演が思い出されます。映画の前半で、頭悪いカスタムを施した車に乗り込み、カーステから流れるミュージック(ドラムンベース前夜のジャングル?)にテンションが上がりきり、ハンドルにぎりながらの「ダンス」は何度観ても、涙がこぼれるほど笑える、グッとくる。走る車の中という半端なプライベート空間で上がるテンションを爆発させるアリGと、車窓からみえる庭いじり、バザー、ミニ機関車、川を泳ぐ白鳥などという牧歌的風景の妙なマッチングが、個人のささやかな享楽といいますか「リアル」を剥き出しにします。

(これと似たシーンは、映画『陰謀のセオリー』にもあって、メル・ギブソン演じるパラノイアックなタクシードライバーが、街角でパーカッションの演奏を耳にして、ハンドルをバンバンたたきながら体をゆらしテンションを上げます。これも名シーンです。)

 映画『アリ・G』はどこか、クリス・ロックの映画『ヒップホップ・プレジデント』にも似たところもあったり、『カーウォッシュ』とか『バーバーショップ』などの映画特有のユルーい空気も若干ですが流れていて非常に好みの映画でした。ちなみに『the office』のティム役、マーティン・フリーマンも出演。

 調べてみたら、サシャ・バロン・コーエンは名門「フットライツ」の舞台に出演の経歴ありのようで。さあ『ボラット』ではどんだけ笑かしてくれるでしょう。5月26日よりロードショー。

アサッテの人

2007-05-08 21:40:34 | パッシヴアタック
すげえ。諏訪哲史「アサッテの人」が傑作。いいなあこういう小説。面白い! 単行本が出たら絶対買うので、できることなら書き下ろしの短編とか+αがあったりするとなお嬉しい。なぜなら文芸誌に掲載される小説は追いかけて全部読んでしまうと思うので。どう傑作なのかというのは、ちょっと本屋に行って確かめていただきたい。

現在発売中の『群像』に新人賞当選作として巻頭に掲載。