Fool & the Gag

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初連載小説@新雑誌『エクス・ポ』

2007-12-23 22:36:16 | 雑記
批評家・佐々木敦氏が編集の新雑誌『エクス・ポ』が「HEADZ」より創刊されました。僕はなんと、その『エクス・ポ』で小説を連載させていたいております。コンテンツ、圧縮率、デザイン(そのレイアウトも勿論のこと、プロセス4色+ニス版での印刷を効果的に活かす大胆かつ細やかなデザインワークに脱帽)や、それ自体のありようや販売経路をひっくるめ、とびっきり新しい雑誌です。その瞬間に立ち会えたことをハンパなく幸福に思います。オンライン注文し現物が届きましたが、これ、凄い圧縮率で、ふだん、紙の大きさに対し標準的につまっている文字を読む時間の感覚が、圧縮のために、紙に流れる時間が大きくずれ、ゆさぶられて、くらくらします。いま、読んでいますが、16ページなのに、予想以上に読みきるのに時間がかかります。へんな感覚です。

『エクス・ポ』の詳細は、佐々木敦氏のブログ「How It Is」に。
http://unknownmix.exblog.jp/d2007-12-14

購入はヘッズオンラインショップで。
http://www.faderbyheadz.com/onlineshop/shop_index.html
僕も数冊、買いました。
上記サイトで販売されている『VECTORS』等も必読。

「早稲田文学」と「WB」以外でやったことは、これまで(自分の作風等を顧みれば当然なのですが)まったく無かったので焦りました。が、小説を書ける機会というのはそう多くない(というか、イイ小説を書く人がたくさんいる)ので、こういう機会は大切にしないきゃいけません。「¥OUR VOICE」と題し、以前から仕込んでいたネタを下敷きに書きました。楽しんでいただけたら幸いです。ある意味では、拙作「ユキチ・コード」(『早稲田文学0』掲載)の「つづき」です。よろしければ『早稲田文学0』もあわせてお願いいたします。

『エクス・ポ』は新創刊で、はじめて目にする誌面だったので、文字の大きさ等がようやく把握でき、この誌面で出来ることと出来ないことが見えてきました。次回なにかもっと面白いことができたらいいなと思います。この誌面でしかできないことがきっとある筈なので。


雑誌名:エクス・ポ/ex-po
発行:HEADZ
編集発行人:佐々木敦(HEADZ)
デザイン:戸塚泰雄(nu)
定価:1000円(税込)
2007年12月20日創刊(隔月刊)

《創刊号の内容(25コンテンツ)》

●連載
古川日出男「異種格闘技連続対談フルカワヒデオプラス」「第1回:iLL aka ナカコー(中村弘二,exスーパーカー)」
吉田アミ&雨宮まみ「アミ&まみのお悩み相談室」
西島大介「マンガっちはアニメが大好き」
中原昌也「親指王子ケイ勺イ日記2」
松江哲明「あんにょん由美香」
鈴木謙介「うろ覚えの"J"ポップ時評」
福永信「福永信の、この常設がすごい!」「福永信の、この饒舌がすごい!」
ジムオルーク「シネマ・ユリイカ」
冨田明宏「アニソン〈裏〉入門」
大谷能生「さよならの言い忘れ」
青山真治「3弦と4弦の間にバスタムを」
生西康典「中心の行方」
藤井仁子「また歌うために」
岡田利規「チェルフィッチュ岡田利規の超口語批評」
豊崎由美×仲俣暁生×佐々木敦「新刊小説書評鼎談プロフェッショナル読者論」

●連載小説
荻田洋文「¥OUR VOICE」
富永昌敬「シャーリー・テンプル・ジャポン・パート7」
円城塔「後藤さんのこと」

●スペシャル
山本精一「画展]誌上ギャラリー
宮崎誉子「ランダムケータイレビュー」
榎本俊二(『ムーたち』)インタビュー
七里圭(『眠り姫』『ホッテントットエプロン・スケッチ』『マリッジリング』)インタビュー
渋谷慶一郎×東浩紀×佐々木敦「音楽、モダン、ポストモダン」

●マンガ
スズキロク「アンドハニー」
宇波拓/泉智也「クレーターに咲く花」

第六回文学フリマ

2007-11-11 23:59:00 | パッシヴアタック
文芸誌では「新潮」で渡部直己「日本小説技術史」が始まり、「文學界」には川上未映子「乳と卵」が発表される黒田晶の新作もあったりで、にぎやかなる「文化の秋」なこのごろ(「日本小説技術史」早くも2回目が楽しみです)。文学フリマに行ってきました。いやぁ。ほぼ毎回行っているのですが、大人の文化祭というムードで楽しいです。今回は噂のオーラル・クリティック・マガジン『VECTORS』と『佐々木敦ティーンエイジ赤面作品集』(限定20部)と『スポンジスター』と『書評王の島』を入手すべく午前中に秋葉原入り。いろいろ面白そうなの買いました。

『VECTORS』(大谷能生×木村覚×佐々木敦)
『佐々木敦ティーンエイジ赤面作品集』(佐々木敦)
『スポンジスター』(ブルボン小林編集)
『書評王の島』(豊崎由美×書評講座受講生)
『吉田アミは書きました』(吉田アミ)
『$HYPER』(小笠原鳥類、村上子、泉智也)
『木曜日No.23』(上野ゼミ同人誌)
『リブリレvol.10』(早稲田大学現代文学会)
『M@DAGE』(幸田龍樹、田高利、麹弘人)
『文芸誌の一年』(森田真功、佐藤克成)

『VECTORS』はおおむね読みましたが、話題が音楽、演劇、コンテ、美術、文学、現代詩などなど多岐にわたり風通しがよくて面白いです。しかしこのボリューム、文字起こしや校正はハンパなく大変だったろことが容易に想像できます。『佐々木敦ティーンエイジ赤面作品集』と併せ、がしがし読みます。HEADZのブースで『$HYPER』と『吉田アミは書きました』も購入。『スポンジスター』は金剛地武志インタビューとブルボン小林の長編評論が面白そう。『書評王の島』を買おうとしたらなんとブースに豊崎由美ご本人がおられて、サインとかチョロ欲しかったのですが自分、シャイなオッサンなので無理でした。会場でお会いした河村さんにご挨拶し、お世話になっている「早稲田文学」ブースの学生スタッフのみなさんにご挨拶して、2Fを後にして1階へ。

上野ゼミ『木曜日』のブースで見本を手にとったら「あ、去年も一昨年も買ってくれた人だー」と、いち購買者である私を覚えていてくれたらしく、なんとなく嬉しい気分で最新号を購入。私、あんまし特徴のない人間なんですが。文学フリマこういうのがいいっすよねぇ。

でいろいろなブースをグルグル見てまわっていたら「50円」という値札を出しているブースがあって、どんだけ謙遜してんのか、どんだけ読んで欲しいのか知らないけど、とても「50円」では刷れそうにない冊子であったので「50円じゃ赤字じゃないの?」とブースのメンズにうかがったら「はじめから儲けは考えてないのでいいのです」と爽やかなレスポンス。表紙の人なつこい感じにひかれて購入したのが『M@DAGE』という同人誌。これが説明しすぎだったりするのだけど、好きな風味の小説ばかりで、なかなか良い同人誌だと思いました。

昼過ぎに、やたらおなかが空いてしまったので秋葉原をあとに。家の近くで、中華を食べた。で、家帰って「d.v.d」のDVDを観たら、のけぞった。ぐわぁ。おもしろい!

パフューム ~ある人殺しの物語~

2007-11-01 00:20:29 | パッシヴアタック
『パフューム』のDVDをレンタルで。ひじょうに整っていて判りやすい。何しろ笑えるし官能的。日本の野球界に「ハンカチ王子」と称されるスターがいらっしゃいますけれど、この映画にでてくる「ハンカチ王子」のことも、ぜひ知っておいていただきたい。彼のハンカチのひと振りがもたらす、ライヒ的な?事態ったら。ちなみに、原作の小説は未読です。面白そうですね。

(以下、ネタバレ警報)

 嗅覚のすぐれた男が、究極の香水を求めて起こす連続殺人。嗅覚のすぐれた男は、匂いによって世界をとらえている。ある日、運命的な匂いにめぐり合う。匂いによって世界をとらえている彼にとって、それはいわば初恋なのだが、匂いを嗅ぐことを女性に拒絶され結果、殺めてしまう。殺めた後で、彼はその匂いを必死に嗅ぎ(後にその匂いは消えてしまうことになる)それを保存したいと切望し、香水職人へご奉公。

 で、ある日、彼は自身が無臭であることに気付くが、これは自分というものが他者によって規定されるというようなことであって、それが匂いであっても同様。まあ普通、自分の鼻の穴の匂いって判らないものだし(むかし、ビートたけしのギャグにそういうのがあった)。つまり彼には他者がおらず、まるで透明な、いや、彼が世界をとらえる作法に従えば、まるで無臭な存在であると認識するにいたる。

 で、おもしろいのが、まるで無臭のような存在という彼自身の認識が、アクロバティックに周りにも共有され、じっさいに、彼は透明人間のようにふるまえるようになれる。無臭なだけで、彼はどこへでもしのびこめたりするから面白い。この辺をリアリティー云々で批判するのは、あまりにも不粋と思います。

 究極の香水を手にした彼は神のような存在となって、他者を得て、そこでようやく、観念的に初恋が成就する(群衆が彼の初恋を代行します)。神となった彼は、自らが生まれた貧困と腐敗が蔓延するパリに戻り、究極の香水の力を借りて自らが食物となって人々へ施しを与える。。。

 と言うような、ヒューマンなラストに見えますが、彼は「施しを与えること」や「救済」を選んだのではなく、「排泄物となること」を選んだのだと考えられます。究極の香水の力を借りることなく、匂いを自己主張するために、彼は人に食われることで「排泄物」になることを選びとって、自己回復。エゴ大噴出なラスト。匂いの王様ですね。

 全体的には、なんだかミケランジェロやダ・ヴィンチらの宗教絵画(審判とか晩餐)を裏返したような印象です。なにより、オープニングの鼻のアップであるとか、執拗にクンクンするのや、クンクンによって馬でにげる標的を追跡する映像などが、エレガントでもありながら、変態っぽくトチ狂っててひじょうに笑えました。

くりぃむナントカ/ビンカン選手権

2007-10-30 00:16:20 | パッシヴアタック
くりぃむナントカ、ビンカン選手権がまた面白い試みをみせてくれた。以前やった最初の叙述トリックほどの驚きはない(2回目だからしょうがない)ものの「じつは100台のカメラで撮影していた」という面白い結末。ビースティーボーイズのライブフィルムで、オーディエンスにハンディカメラを手渡して、何台ものカメラで一つのライブを撮影したものを編集したのがあったが、それを連想。いやぁトンガってる!

向井豊昭個人誌『Mortos』(2号)

2007-10-29 20:21:23 | パッシヴアタック
向井豊昭氏の個人誌『Mortos』(2号)をお送りいただきました。創刊号をご紹介しようと、こちらがグズグズしているうちに2号目が我が家に届けられました。奥付けの日付を見てみると、創刊号から一月。『Mortos』は月刊誌なのだろうか? この向井氏の筆の勢い。作品も勢いを増し、跳ねています。創刊号同様、小説とエッセイがそれぞれひとつずつに「あとがき」が添えられています。

 小説「パッパッパッパッパッパッ」。類型や亜流の装いを捨て去った果てに獲得したしたのは向井氏独自の「装い」を背負って立つ「パッパッパッパッパッパッ」という祈りにも似た新しい「言葉」。

 エッセイ「日本国憲法第二十一条」。大げさなタイトルとは落差がありユーモア満載。「下品」や「乱れ」を排除しようとするムードとたたかう向井作品のよき理解者である「妻」が選んだ、向井氏のプロフィール写真。それは、正面を向いておらず風で髪の乱れた写真。「パパの小説には、ピッタリの髪でしょう」。この髪の乱れこそ、向井氏独自の「装い」であり、「表現の自由」なのだという力強い表明。

 そして「あとがき」もユーモアに満ちていて、向井氏の豊かなサービス精神に読者は最後まで包まれます。あぁ、なんとグレイトな小説家。また同じこと書きますけど私だけがこそこそ読んでいるのは本当に本当にもったいないです。できうるかぎり、ひろく読まれる機会に恵まれることを祈らずにはおれません。

向井豊昭個人誌『Mortos』(創刊号)

2007-10-29 20:15:59 | パッシヴアタック
向井豊昭氏の個人誌『Mortos』(創刊号)をお送りいただきました。なんと、すべて向井氏の手書きによるコピー誌。内容は小説「熊平軍太郎の舟」と、エッセイ「やあ、向井さん」の二つに「あとがき」が添えられています。「あとがき」よれば『Mortos』は全部で三十部らしく。その一冊を私へお送りいただいたようです。読者に選ばれたことを光栄に思わずにはいられませんでしたが、たまたま向井氏に選ばれた私などが、こそこそ読んでいるだけでは、大変に大変にモッタイナイと思うのです。このモッタイナさをどうすればいいのか? ああ、モッタイナイ。手書きによる文字たちに、表情といいますか、筆圧や筆記の速度を感じ、向井氏の、おそらくはシャープペンシルを持っているのであろう手が白い紙の上で踊るその勢いすら見えてくるようです。

「熊平軍太郎の舟」。「熊」の書き換えられるもとの姿を取り戻す。いとなみをのせた船を川へながし海へかえす。いつもの、愛敬と無骨さのブレンドされた向井節がさえわたっています。キュートとたくましさ。神話にあかるい文芸批評家の方に読んでいただいて、その方面からも感想をうかがってみたい、そんな作品であります。

「やあ、向井さん」は、「平岡篤頼先生」への思いが綴られています。ヌーヴォー・ロマン(と、ひとくくりに語ることはできないものであるけれど)は、まるきりそのままではないにせよ、フォームを変えながら、向井豊昭氏の小説のなかに脈打ち続けているのかもしれません。

お台場、トリオフォー、修悦体

2007-10-22 04:24:20 | パッシヴアタック
トリオフォーのプレゼンツで、修悦体(佐藤修悦氏によるガムテープ文字)のイベントが、なんと、お台場で開かれると聞き、重たい腰をあげてゆく。さいたま市と同じゆとり表記のりんかい線で。で、で、で、ゼップ上の会場まで行ってトリオフォーの面々が喋っているのが目の前にあったのに、入り口にいたオネイさんに「当日はもうありまへん、さっさと帰れこの豚野郎」的なセリフを吐かれ、チェっと言って帰った。オネイさんはアッカンベーしながらカーテンを閉めた。大人なんだから前売り買っておけばよかったな。最悪です。でもイベントは大人気だったようだ。良かった、良かった。それ以外、お台場にすこしも用はなかったので、しっぽを巻いて帰った。

帰りに新宿の本屋で、横田創氏の新作が載ってる「すばる」と、あと「ギンザ」と「グリッター」を買って帰宅。トムヤムクン的なアジアンな麺を食いながら、トリオフォー某氏に薦められた「殺人の追憶」のDVDを観る。グレイト。いっしょにレンタルした「東京ダイナマイト」の新しいDVDも。これもグレイト。

しかし、本当に最近このようについてない(私がバカなだけという話もあるが)。ハードディスクレコーダーがローディングをやめないところをみると、たぶん壊れている。あと、もろもろ機械類の調子が悪い。

そんな中で、ちょっとだけ幸せだったのは、みうらじゅん×いとうせいこう「スライドショー」が観れたこと(笑ったうえに、むかし泊まった「ホワイトハウス」という京都のホテルが出てきた)。近所の古本屋で、後藤明生と残雪の本を数冊購入したこと。フリーペーパーWBリニューアルして、川上未映子氏の対談や、なんといっても福永信氏の連載が始まったこと。あと、極めつけは向井豊昭氏が30部だけ発行している手書き個人誌『モールトス』の読者に選ばれたこと(これすごいのでまた後日、ご紹介したいと思います)。

守屋文雄/シナリオ『おじさん天国

2007-08-10 20:55:34 | パッシヴアタック
中野BWをパトロール中、タコシェで『また、どこかで─いまおかしんじシナリオ集─』を見つけて購入。これが、いまおかしんじの書き下ろし小説も載っており激しく面白いのだが、なかでも『おじさん天国』がめっぽう面白かった。面白すぎた。そう。そういえば、『おじさん天国』については劇場での上映時、知人から誘われたものの見逃していたことを思い出した。ああぁぁ。観ておけばと激しく後悔。DVDになっているようだからとりあえずそれみる。でも劇場でみれば良かったなあ。『おじさん天国』のシナリオを書かれている守屋文雄の噂は、彼の演劇が面白いというのを以前から耳にしていて、いちど観てみたいと思っていたのだけれど、なるほどぉぉ。守屋文雄の今後の動向は要チェックだなあ。とりあえず、レンタルしてるか判んないけど『おじさん天国』を探しに、今からビデオ屋に走ります!

夏フェス?

2007-08-04 00:31:43 | パッシヴアタック
いまごろ新宮は「熊野大学」の真っ最中。シンポジウムの一部も終わり、台風すらふきとばすような、熱い議論や、ともすれば、アルコールの影響で小学生の口喧嘩のようになりがちな議論がひと晩じゅう続いていることでしょう。まあこれ、はやい話が文学の夏フェスのような(←いや、違うなあ)。とにかく、すばらい催しです。

初めて参加したときに自主映画をやっているという方二人と同室になったのですが、話してみれば一人は友人の村松正浩監督の映画の現場を手伝っていたり出演していたり、もう一人も僕の知人の自主映画を手伝っていたりと、世間の狭さを実感。お二方とはその後も仲良くさせていただいていています。

その後、お一人の監督されたホラー映画が劇場公開されました。『死づえ~噂霊~』という作品です。このときは熊野で知り合った仲間で観に行きました。諸江亮監督『死づえ~噂霊~』はDVDにもなっておりますので、先日リリースされた村松正浩監督「橘くんのバカ。」収録の『ハヴァ、ナイスデー』ともども、よろしくお願いいたします。両方ともぜんぜん違うけど本当にオモシロイ!

このように熊野大学では、たくさんの交流があり、新しい親交が生まれます。台風が接近していますが今年の「熊野大学」はどうでしょうか? といって、今回、僕は諸事情あって不参加なのですが(涙)

その代わりではないのですが、先日、同居人がどうしてもビースティが観たいと強固に主張するのでフジロックに。MIKA、ソウルフラワーなどをハッピーに音浴。ジョナリチ、FRICTIONを見逃したのが悔やまれ。疲れ。ヘトヘト。おっさんだからねぇ。正直、もう無理ですわ。

フェスってば、いろんなアーティストが出てスゴイのだけど、先日お招きいただいたtaichimasterさんのウェディングパーティー、これはもう、フェスでした。とにかくすばらしいパーティーで超感動いたしました。

あと近頃、山下陽光さん(トリオフォー)のブログが激熱い。路上観察直系の、路上のフォント=工事現場ガムテープ文字のリポートは圧巻です。文字・書体フェチの方は要チェック。

けものがにげる/村松正浩監督

2007-07-20 22:36:33 | パッシヴアタック
個人的には、諏訪哲史氏と川上未映子氏のダブル受賞を祈っていた芥川賞でしたが。うーん。むーん。でも、まあこれしかし、今回あつまった候補作のことを思うと、読書がどんどん面白くなってくる予感。これから諏訪氏や未映子氏をはじめ、面白い小説がどんどん出版されるのだから、そういった意味では、うきうきしますな。

私のうきうき気分は、もう一つ。先日縁あって、なんと脚本家のブルースカイ氏とお話する機会が! お話っていっても一方的に、いかに私がブルースカイ氏のファンであるかをまくしたてただけなのですが(恥)。そうとう、キョドりました(汗)。だって、ちょっとまえに公演した『レミゼラブ・ル』なんて、座席がずっと震動してたんですよ。マッサージチェアでもないのに。その場だけをハジけさせる一瞬の笑いではなく、シチュエーションそのものがオカシイので、観客の笑いがぐぐぐーんと長引くのです。ブルースカイ氏の笑いは。いやあ、ナンセンスの神が目の前にいて舞い上がりましたよ。なんか仙田学氏と似たムードをたたえてて。その仙ちゃんもまたシュールな小説の神ですが。

で、もう一つ。映画観たら、うきうきしましたよ。村松正浩監督の最新短編映画『けものがにげる』がPFFの招待作品に。これはデジタルではなく、なんとフィルム作品。どうやら若手作家育成プロジェクト(だっけかな?)なるものが生んだ映画らしく。文化庁の援助のもとに、制作されたとか。デジタル全盛のいま、フィルムの灯火をたやさぬよう監督や技術者の育成とは文化庁、すばらしいですわ。作品自体もこれ、1日だけの上映ではもったいないくらいで。こういう有意義な活動はもっともっとアッピールすべきすよぉ。もっと何回も、映画館で観るチャンスが欲しいです☆ 観客の育成もどうか、お願いいたします☆

父親と兄が暮らす家へ弟夫婦も集い、兄の婚約者を迎えるささやかな祝宴の日、兄がひそかに飼っていた「けもの」が逃げ出して…というストーリー。監督が、現代的なある種のユルさをたたえたリアリティーのなかにしのばせる奇妙な「けもの」は、どこかカフカの「オドラデク」も連想させたり。「けもの」と「焦げついた角煮」とを、変わらぬ存在感でえがけるのは村松監督ならでは。ファンタジーどっぷりにもならない、が、ただのリアリズムではない微妙な、稀有な世界が、隅々まで神経の行き届いた設計の、監督自身による脚本で実現されてました。フィルム特有の美しい画とともに、驚くべきキャストによって、センスあるユーモアも交えながら、日本の新しい「情緒」が綴られ。でもって音楽がこれまたイカしてるんですな。「侘美秀俊」という、僕が目にしたうちでもっとも美しいと思う名前を持つ方らしいのですが、グッとくる音楽を提供してます。邪悪かつキュートな特殊造形の「けもの」は、毛むくじゃらのメタファーで。男の黒いピーターパン的部分で。こういう映画って実際、あんま観たことないかな☆ 超グレイトでした。