なんてことはない

つまらないことことですが

五徳

2016年02月19日 | 日記

七輪用に作った五徳(土器)ですが、灯油ストーブやガスコンロでも使用しています。使用中のコンロ類に対応できて上下で火力の伝わり方が変わるよう形状を作ってあります。

お鍋にゆっくりと火を通す場合の必需品。灯油ストーブが室内暖房なので火力を下げると私が凍えてしまいます。それで、これでお鍋を遠火の弱火にしています。こんなつまらないものですが、とても重宝します。売っていないので直火用陶芸粘土をこねて七輪で焼いたものです。一度、コンクリートの床に落として割れましたのでアルミ針金で締めていますが・・これは、少し強度が足りません。これを作ってから、別の用途の土器(金属や樹脂ではダメなので)を作るときにことですが、いくつか試作してもなか十分な強度が出せずにうまくいかない。当時のこと、それで縄文土器を参考にしようと博物館などにも通いました。すると通ううちに縄文人が気の毒の思ったのでしょう、教えてくれました・・? ようやくそれで低温で焼いても強度のあるものが出来ましたので、もしも、これから七輪陶芸などおやりになる方のご参考までにその要点を2つほど記します。

1)粘土が乾燥すると縮みますが、それが均一に進まないと折角何度も叩き締めても乾燥途中で内部と表面には密度ムラができてしまうので割れやすい。最悪はクラックが走るので焼いたときに割れてしまう。このため粘土の保湿性を高めて、ゆっくりと均一に乾燥するようにしなくては強度のあるものが出来ません。縄文人もそのことを知っていてそのために粘土鉱物を配合していました。わざわざ遠い場所から粘土鉱物の砂を採取して配合して作られているものまであります。そこで私もバーミュキュライト(園芸用土壌改良材の粘土鉱物)を配合したところこの問題が解決できました。縄文土器の中には、砕いた土器を再利用しているものもありますが、恐らくはこれもそのための再利用だと私は思っています。恥ずかしながら、プロの陶芸家さんが色々な土を配合して作る理由の一つがこれでやっと理解できました。私が知らなかっただけでした。

2)縄文土器にはその特徴である縄目模様があります。粘土内の空気を追い出して均一化するために叩き締めしますが、その時に縄で編んだ布を利用したことで付いた文様だろうと思います。棒板だけで叩きお締めをすると粘土は液状化して飛び散ります。縄布はこれを防いで同時に粘土の均一化を良くします。大きな壺などを良く見てみると、縄目が付いて平面の連続した曲面になっています。これは縄布をあてて上から棒板で叩いた、または縄を巻いた棒板で叩いた痕跡です。そのまま布を残して焼いたのかは分かりませんが、表面の調湿にもこの縄目文様が重要な機能を発揮していると思います。飾りで付けたものもあるとは思いますが、この縄文文様は機能的な理由で結果として付いたものだと私は思います。縄文の文様がないものも多く作れていますが、薄手のものは縄文技法を加えているものが多いように思いますし、厚手のものは1の粘土鉱物の配合により乾燥ムラを解決することだけ丈夫に作ることが可能になったからなのでしょうか?これは、どうなのでしょうか?

ともあれ、これで低温の七輪陶芸でも割れずに実用強度が得られる土器が出来ます。あらためて縄文人の知恵と創意と工夫、すごいなあと感心した次第です。しかも、こうした技術革新をしながら土器を作っていたこと、さらに、それが縄文人の間で広まっていたのですから情報交換の高度なコミュニケーションネットワークも出来ていたことになります。そして、その結果としてまた技術革新もどんどん進むことになるのですから、縄文時代の土器や勾玉を見ていてそのことに本当に驚かされます。だからなのでしょう、博物館の縄文人の高度な匠の技で作られた遺物に私は魅了されてしまいます。




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