花咲く丘の高校生

平成時代の高校の授業風景を紹介したり、演歌の歌詞などを英語にしてみたり。

初恋、一声、戸隠の山

2017-05-21 | 日記
 半世紀以上も前の出来事。高2の夏、学校登山で戸隠山に登った。
男女共学になってまだ3年しかたっていない我が高校は、2年生300名のうち女子生徒は25名しかいなかった。

私は級友たちが『マドンナ』と呼んでいた6組の紀子に淡い恋心を抱いていたが、当時は異性と話したりすることは御法度だった。 

 戸隠山の「蟻の戸渡り」を渡り切って、山頂近くの岩場を4~5名ずつのパーテイで鎖を頼りに上っていた。

女子のパーテイの最後尾に紀子がいた。紀子は、岩場の下にいるいる私の20メートルほど上をのろのろと登っていた。私は思い切って声を掛けた。

「お~い、早く登れよ~!」
心とは真逆の乱暴な口調になってしまった。

「ゆ~君こそ、ぐずぐず言ってないで早くおいでよ~!・・・確かに紀子の声だった。


嬉しかった。僕の名前を知っていてくれたことと、声を掛けてくれたことと。それに・・・あの甲高い声。

 ただそれだけだった。そんな時代だった。
・・・そして、次に彼女と言葉を交わしたのは30年後の同期会だった。
コメント (2)
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