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都響第999回定期演奏会Aシリーズを聴きに行く

2024年06月02日 | クラシック音楽

都響、第999回定期演奏会Aシリーズを聴きに行ってきた、場所は東京文化会館大ホール、シルバー割引でA席4,800円、19時開演、21時終演、当日券も含めて完売、井上人気か、大ホールを平日夜に満席にできるのだから大したものだ、男女の別なく幅広い年齢層が来ていた

指揮

井上道義(1946年生まれ)

井上氏は、新日本フィル音楽監督、京都市交響楽団音楽監督兼常任指揮者、大阪フィル首席指揮者、オーケストラ・アンサンブル金沢音楽監督などを歴任したベテラン。2014年4月病に倒れるが、同年10月に復帰を遂げた、ショスタコーヴィッチについては2007年にショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会を成し遂げた、本年12月にて指揮活動の引退を公表している、今回は都響とのラスト・セッション

曲目

ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 op.68《田園》
ショスタコーヴィチ:交響曲第6番 ロ短調 op.54

《田園》は、1807年から1808年にかけて作曲された。私の大好きな交響曲の一つだ。同じ1808年に完成され、初演も同じ日になされた交響曲第5番とともに、この頃の彼の革新的な姿勢が様々な面でみられる曲だが、曲のイメージが全く異なるこの2つの交響曲が同時期に作曲されたというのが驚きだ

都響の曲目解説では、《田園》で注目されるのは標題的な特性を備えていることで、各楽章につけられている題はベートーヴェンによる元の表記を初版発行時に出版社の意向で修正され、それが広まっていたが、原典版が出たことにより近年は原典表記が普及してきたとある、具体的には

  • 第1楽章「田舎に着いた時の愉快な気分のめざめ」⇒「田舎に着いた時にめざめる喜ばしい快活な気分」
  • 第4楽章「雷鳴、嵐」⇒「雷雨、嵐」
  • 第5楽章「牧人の歌。嵐の後の喜ばしい感謝の気持ち」⇒「牧人の歌。嵐の後の神への感謝に結び付いた慈愛の気持ち」

第1楽章と第4楽章はそれほど大きな修正ではないと思えるが、第5楽章はかなりの修正であろう。手許の4つの「田園」のCD(ワルター版、フルトヴェングラー版、ベーム版、トスカニーニ版)を見ると、第4楽章は既に原典表記になっているが、第5楽章はすべて出版社表記だった

今日の田園の演奏だが、ホールに注意書きで、この曲では指揮者の希望により、ホール内を通常の公演時より暗くしてある、と書いてあった。井上のこの曲にかける思いがあるのだろう。

今日の演奏は第4楽章までは自分が思い描く田園の演奏と一致していた、また、第5楽章は自分の好みの演奏とは若干違ったがよかった、特に最後の1分くらいだろうか、通常の演奏速度と比べると少し遅いペースで演奏し、静かに、上品に、消入るように終わったような気がした、これが大変良かった、井上の指揮者人生の終わりに万感の思いを込めて演奏を終わらせたのではないかと感じた、オケ全体も気持ちがこもっていたのがよくわかった、原典表記の「嵐の後の神への感謝に結び付いた慈愛の気持ち」をまさに演奏していたのではないかと思った。素晴らしい指揮者と演奏だった

ショスタコーヴィチ(1906~75)の交響曲第6番は、レーニンに捧げる交響曲との構想を語っていたが、1939年に完成した作品はレーニンとは何の関係もなく、3楽章からなる小ぶりな作品だったため、かなりの失望を与えた。ショスタコーヴィッチは、「この曲は気分の点でも情緒的緊張の点でも第5交響曲とは対照的である、物思い沈んだ情緒的な第1楽章に続き、青春の歓び、若々しさを伝える二つの楽章が演奏される」と語っている。ちなみにレーニン交響曲は、最初6番として構想され、やがて7番になり、最後に12番で実現した。

ムラヴィンスキー指揮のレニングラード・フィルによって行われた初演は、前作のような成功ではなかったものの、それによって作曲者が窮地に追い込まれるほどの失敗でもなかった。

この曲は初めて聴く曲だが、確かに第1楽章と第2、第3楽章の対比が面白かった。

さて、今日の公演について若干の気付き事項を書いてみたい

  • 田園の演奏で、トランペット奏者(トロンボーンもあったかも)が数名、第3楽章か第4楽章の前だったと思うが、突然、舞台袖からゾロゾロと登場した、そこまではトランペットの演奏はなかったからだと思うが、また、このようなことは他の曲目でもあることだが、人数が多かったので客席から見て「突然感」があって驚いた
  • この日の私の座席は1階の舞台に向かって右側の袖席(A席、R6列)であり、席から見て舞台上の左側の楽屋から奏者たちが出てくるところがよく見えたが、楽屋内部も少し見えた、そこが演奏中に消灯しないため、また、楽屋で人が動いているのが見えるので気になった、演奏中はカーテンをするとか何か考えたほうが良いと思った(上のステージが映った写真で左3分の1くらいのところに縦に明るくなっている部分)
  • 大ホールは久しぶりだが、田園の演奏の時、第1章と第2楽章の演奏がそれぞれ終わると、ホール内で咳払いの音が普段よりかなりうるさいと感じた、特に第1楽章が終わった後の咳払いは井上も驚いていたように見えた、咳払いはやむを得ないが、ハンカチで口を押えるのがエチケットだと思う
  • 開演前のホール内の放送では、「演奏の余韻を楽しむため、演奏終了後は指揮者がタクトを置いてから拍手をしてください」とアナウンスしていた、これはいいことだと思うが、英語の放送ではその部分は省略されていた、また、咳払いについてのエチケットも注意をしたほうが良いのではないか
  • カーテンコール時は井上に何か話してほしかった、ホール内を通常より暗くした理由とか、なんでもいいから語ってほしかった
  • この日のコンマスは新加入の水谷晃氏だった、明るい性格な感じでカーテンコール時も笑顔でよかった

良い演奏を聴かせてもらいました

今日の公演前、どこかで夕食を食べようと思い、秋葉原の「新福菜館」にした、初訪問。この店は京都の人気ラーメン店で、私も随分昔に一度行ったことがある。それが東京に店があると知り、食べたくなった。

夕方、開店時間に合わせて行くと、若干の行列、すぐに中に入れて、中華そば850円をたのむ、半チャーハンとのセットがお得で人気とされているがちょっと多いと思ってラーメンだけにした。

黒いスープとたっぷりかかった刻み葱、やわらかいチャーシューが特徴、おいしかった。一気に食べた、量は想像していたよりも多くなく、半チャーハンもつけてよかったかなと後悔した。

ご馳走様でした。