米澤穂信「さよなら妖精」を読んだ。
高校生男子の守屋が主人公で、謎解きがあるからミステリ、そして青春小説。
1990年代、ユーゴスラビアから来たマーヤ、小説のタイトル、最初の方からこれはと感じる不穏、しかしマーヤはたくましく輝く。
小説の本筋ではない弓道の場面がとても好きだった。
かなり前に書かれているが、私が読んだのは今。読後に、この小説は実はもう一つ小説を書くことができる、全部説明してないような気がした。
もしかして続編を書くのかしらと調べたら、「花冠の日」という短編が同時におさめられた本が後に出たらしい。内容はそんな気がしたのと真逆だった。
そうか、と思うとともに、作家の良心を感じたりして。
クールな太刀洗万智は魅力的かもしれないが、どうしてもその後を知りたいとは思わない。ミステリの後味はどうせ苦いのだ。