2020年10月3日(土) 晴れ
葦原の中つ国を統治するために、天照大神の孫、つまり天忍穂耳尊の子・
瓊瓊杵尊が高天原から日向の高千穂の峰に天下った、とあるのは記紀の
世界のことである。それが制作に携わった天武天皇側の意図的歴史創生
史なのか、古代の壮大な夢幻の絵巻物なのか私には分からないが、とも
かく面白い。いろんな創造力を描きたててくれる。
私が、一番興味を惹かれるのはそこに登場してくる英雄たちではなく
バイプレーヤーの異形の人々である。たとえば瓊瓊杵尊を先導した
異様な面立ちの猿田彦神とか、神日本磐余彦(後の神武天皇)を助ける
べく暗躍した国栖の土蜘蛛たちである。
じつは彼らこそが真の俳優(ワザオギ)で、彼らが真の民衆文化芸能を
産み出すのだ。それを先導したのは役行者を代表とする修験道者たち
である。これこそ隠された日本の正史の厳然たる真実だ。