2017年4月23日(日) 曇り
X 殿 ~ お手紙の拝復として
冠省 残念ながら清廉潔白でもない私が、適切なご回答をあなたに返す自信なぞまったくありません。
ですからそれを承知の上であえて私などにご相談を持ち込まれたのだろうと認識しております。しかし
あなたより確かに人生の失敗談の経験が多いのも事実ですから、お答えだけは一応しておきます。
『人は何のために生きるのか』。あなたの現時点での苦悩はその一言に尽きるのではないかと思います
が如何ですか。私は清濁併せ呑む人生ばかりを送って来ましたが一つだけ信じていることがあります。
それはM.ガンジーが云った如く、生の活動はつねに真実の実現に向けられなくてはならない、という
ことであります。換言すれば『言葉で語れない真実を覚った人が、言葉を持って語ってゆくところに
真理のまことはある』ということです。真理に向かって善く生きる決意を持ち続けたときにのみ、
そこに崇高な美が誕生する。それが人生という意味だと信じています。
お金は人生のすべてではありません。もし人生で信ずべきものがあるとすれば、それは、真善美の
実現を求めて、苦難に満ち満ちたいばらの道を一歩一歩あゆむほかはないです。
『裸で生まれて来たに なに不足』
残念ながらそれが私の最終的な答えです。