2016年11月11日(金) 雨
予想を裏切って、既成政党と縁もゆかりもないトランプ氏が次期米大統領に選出された。
以下、恐縮だが10月6日の拙文「精神的ゲマインシャフト」を再掲させていただきたい。
『…「自己目的的な合理性」というものはまぎれもなく不治のペスト菌である。この病原菌にかか
ると、いつの間にか人間性は破壊される。国家の掲げるグローバリズム・効率性・成長追及路線の
一億人総活躍というスローガン。なんだかなにかが違っていると感じないではいられない。2008年
以降少子高齢化が漸次進行しているにも拘わらず「成長率だ最大利益だ」と叫び散らすのはそれこそ
人間の持つ際限のない「目的的合理性」そのものではなかろうか。血眼になって成長利潤の極大化を
追い求めるのではなく、精神的にもっと豊かな安定した社会共同体の形成の仕方があると私は信じる。
それは人間の芸術的労働を基本に据えた文化的ゲマインシャフトである。その文化を支える精神は
人間の『智』そのものである。なぜなら私達の文化は『智という倫理観』で呼吸しているのだから。
それが精神のパラダイム・チェンジだ。時代は歴史的変曲点を迎えた。もはや「目的的合理性」だけ
の成長第一の哲理は終焉を遂げようとしている。そうしなければ私達の豊かな未来は永遠にやって
来ないだろう。』
地球の歴史を地質学的に区分すると生命の誕生から先カンブリア時代、古生代、中生代、そして現在
の完新世を含む新生代と続いているが、この地球、今から2億5千年前にあたる古生代の二畳紀には
なんと全世界の全大陸か衝突し「パンゲア」という一つの超大陸であったという。一億年先の未来が
あるとすれば、おそらく地球上に再度「新パンゲア超大陸」が誕生していても何ら不思議ではない。
山川草木、それに宇宙に存在する生命はすべて変化する。変化しなければ絶滅してしまうだけだ。
トランプ氏はいわばその細微たる歴史の変曲点に現れた「三葉虫」か「アンモナイト」に過ぎない。
だが、ハッキリと云えることは歴史はそのわずかな異形をきっかけにして新たな新世界が誕生して
行くという事実である。生命の誕生から30数億年かけて三葉虫やアンモナイトが繁栄淘汰され、恐竜
が絶滅してから後に我々の祖先のアウストラロピテクスやホモハビリスが初めて誕生した。約45億年
と云われる地球の歴史の中でわずか5~7百万年前のことに過ぎない。
話を意図的に大きくワープさせたが、要はどんなものであれ変化は大歓迎せよ、ということだ。
その変化があらたな創意冒険を着想させる。人間生命とはそういう物だ。肝に銘じておきたい。
若い諸君よ、日々の変化しなければキミたちは絶滅するだけだ。これは、歴史の圧倒的真理だ。