江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

第5回 福島学習の旅(日退教・福島県退教共催)②

2024-01-10 | 江戸川区教組
レポート Ⅱ 「東日本大震災・原子力災害伝承館」

報告は福島県教育研究所 大槻研司さんの「東日本大震災・原子力災害伝承館」の展示内容とその変遷についてだった。
この施設は2020年9/20に開館し、3階建て延べ床面積5200㎡で「福島双葉町の博物館・情報発信施設で」ある。
私は7月に見学したとき、この施設は「見る人に何を訴えたい」のか、「メインとなる展示は何か」曖昧さを感じていた。
この学習で見る視点を示唆してくれた報告はとても良かった。


《朝日が指摘する報道》

 2020/9/21 朝日新聞は館長(長崎大教授高村昇)は「福島がどのように復興したかを伝えるのが大きな目的」とあいさつし、
復興の歩みに力点を置くのが特徴と指摘した。

問題点として
1 国や東電の事故の責任に対する展示・説明が少ない
① 津波対策の不備 
②メルトダウン隠し 
③SPEEDI(放射能予測ネットワーク)の公表遅れ
④双葉病院で40人の患者らが避難先で死亡したことの説明がない
⑤国会事故調が原発事故を「人災」と結論したことの説明がない

2 損害賠償について 
①7兆9千億円と想定 20年4月から電気料金に上乗せする
② 廃炉処理費用の総額21.5兆円を電気料金に上乗せすること
③ これを40年以上(80兆円の試算)も続くことは触れていない



《三度に及ぶ調査結果》

 大槻さんが2020年9月から22年8月まで3回調査して改善されたこと 
①展示エリア内で写真撮影が可能になった 
②「安全神話の崩壊~対策を怠った人災」の事故調査委員会の引用文が展示された 
③SPEEDIで活用意識低く、86通のメールのうち65通をそのまま削除した説明が加わる 
④安定ヨウ素剤配布で原子力災害本部や県知事の指示がなかったから自治体の対応が分かれたことの説明文が加わる
⑤自主避難者の苦悩の説明文が加わる 
⑥早送りの復興画像がゆっくりになった 
⑦汚水処理(タンクに保管)映像が、単純な映像に変更された。

この学習を受けて翌日の見学となった。





◆二日目

 《大堀相馬焼の里見学》

「浪江大堀相馬焼きの里」付近を見学。大堀地区には震災前20以上の窯元があったが、すべて町外へ強制避難になる。
帰宅困難区域に設定された今も、一部解除を除き立ち入り制限されている。

窯元の「半谷(はんがい)窯」を見学した。
大きな邸宅に人は誰も住んでいない。縁側に洗濯物が見える。あの日の12年前から誰も触れていない。
ちょっと留守にしている感じだ。

展示してある数多くの壺や皿、花瓶などの焼き物もそのままだ。
道沿いの釜小屋にも小さなぐい飲みや小皿など床に散乱し、棚には膨大な数の焼き物が残されていた。

焼き物は放射線を出し続けていくのだろうか。
廃墟と化した住まいや釜小屋や焼き物をみて虚しさを感じた。






<Y.F>


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