江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

大津市の保護司殺害事件から思うこと ②

2024-06-22 | 随想
《多岐にわたる犯罪》

社会の変遷と共に保護観察の事件内容も変わってくる。
戦後は食料不足からくる餓えやひもじさで万引きや窃盗等が多かったと思う。
今は特殊詐欺の受け子の担当数が増えている。
また、スマホによる盗撮や衣類窃盗の非接触型や痴漢など接触型の性犯罪も増加している。
覚せい剤使用の事件担当や発達障害があるが故に犯罪行為になった事件担当など多岐にわたる。



《保護司の高度な専門知識の研修》


かつてのように保護司が対象者に「もう二度と悪いことはするな」「はいもうしません」と云うような、保護観察とはならない。
そのため保護司は定期的に年に数回観察所主催の研修を受ける。

内容は多岐にわたる。
面接の仕方や報告書の書き方から始まり、保護司の使命・職務・身分とか守秘義務とか法令とか様々な分野について多くを学ぶ。

それゆえ法務省保護局も研修には力を注いでおり、保護司向けの様々な冊子が発行され支給される。
保護司はこれらの研修を受けて、事件担当もして一つ一つ経験を積み重ねていく。

しかし、対象者は事件の内容や年齢や性別等様々であり、マニュアル化は難しく経験値の多い保護司に相談したり、研修で事件事案のグループ討議をしたり学ぶことは非常に多い。

つまり、保護司は高度な専門知識を得て日々研修に勤しみ、明るい社会を築くため再犯防止と人格識見の向上に努めなければならないのだ。



《保護司は犯罪予防の下請け業務》

本来ならばこれらの業務は法務省の国家公務員である「保護観察官」の仕事である。
保護観察官は保護司から面接をした報告書を受け、保護司にアドバイスを与え時には対象者と面接もする。
はっきり言うと保護司はこの保護観察官の下請け業務と云って良いと思う。

対象者と面と向かって面接し再犯防止のために献身的に活動しているのは無報酬の保護司であり、高給と思われる法務省の官僚や保護観察官ではないのだ。

ここに司法制度の矛盾がある。
犯罪は無くならない。
警察は犯罪を見つけ逮捕する。
検察は無罪と思っても事件にする。
裁判所は判決を出す。
そして、これが最終的に保護司に回ってくる。



 《保護司の身分とは》

保護司の身分は無報酬の非常勤の国家公務員で、保護司法11条に「保護司には給与を支給しない」とあり、職務に要した費用の全部または一部を支給するとある。





肩書だけは重々しく保護司手帳も身分証明書も徽章もあり手帳は実費で購入する。
私は徽章を上着に付けたことは無いし、保護司手帳も携帯したことがない。
ただ、身分証明書は携帯している。
運転免許証もないしマイナンバーカードもなく、唯一の顔写真付きの証明書だからだ。

         


2024/06/15      

やっぱり保護司はたいへん  〈フウチソウ〉

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 大津市の保護司殺害事件から... | トップ | 沖縄が抱える課題は日本国の... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

随想」カテゴリの最新記事