
表紙には、「第二回 有楽座ヴァラエティー 大正九年 〔一九二〇年〕 九月十八日より 同 九月廿三日まで 毎夕六時半開演 有楽座」などとある。三つ折れ、20.3センチ。
広告は、「今日は有楽座 明日は三越」の三越呉服店・白木屋呉服店・高島屋呉服店などである。
出演者
一 バレー ヘレナ、パヴロワ嬢
他十余名
一 薩摩琵琶 永田錦心
一 講談 一龍斎貞山
一 落語 三遊亭圓右
一 長唄 長唄玉振会連中
唄 三味線 囃子
(十八日) 杵屋勘次 杵屋勘喜代 笛 望月長子
杵屋梅次 杵屋正次 小鼓 望月初子 同 望月春子
杵屋家壽次 杵屋広次 大鼓 望月太賀
杵屋勘光 杵屋勘久 太鼓 望月稲子
〔以下、(廿二日)まで省略〕
(廿三日) 杵屋勘次 杵屋勘喜代 笛 望月長子
杵屋梅次 杵屋勘久 小鼓 望月芦香 同 望月八千代
杵屋勘光 杵屋廣次 大鼓 望月太伊
杵屋勘綾 杵屋勘梅 太鼓 望月初子
一 露西亜舞踊劇
ヘレナ パヴロワ嬢
ナヂエダ パヴロワ嬢
ベー クルウピン氏
シナリー。ニアバアタヤ。ビイシニブスカヤ。エルナフ。ベリナ。アグニワ。ロフボスキー。バセリポスカヤ。トバリ。エリザンテン。カルスカヤ。ボルスカヤ。レピナ。メリナの諸嬢
エブギナスキー。バニスキー。アレキシーフ。コンスタンチノフ。ジエツク。サーコフ。コビネスキー。ペトロフの諸氏。
総て露国舞踊家三十余名出演
附 管弦楽団
十八日 (初日)
一、バレー(舞踊) … 「クリスマスの夜」
二、講談 … 「大高源吾」
三、薩摩琵琶 … 「川中島」
四、落語 … 「累ヶ淵」
五、長唄 … 「賤機帯」
ロシアンバレー
六、露西亜舞踊劇 … 「アジアデ」
十九日 (二日目)
一、バレー … 「クリスマスの夜」
二、講談 … 「前原伊助」
三、薩摩琵琶 … 「吉野落」
四、落語 … 「富久」
五、長唄 … 「勧進帳」
六、露西亜舞踊劇 … 「アジアデ」
二十日 (三日目)
一、バレー … 「クリスマスの夜」
二、講談 … 「本能寺」
三、薩摩琵琶 … 「梅川と忠兵衛」
四、落語 … 「九段目」
五、長唄 … 「吉原雀」
六、露西亜舞踊劇 … 「アジアデ」
二十一日 (四日目)
一、バレー … 「クリスマスの夜」
二、講談 … 「石童丸」
三、薩摩琵琶 … 「二度目の清書」
四、落語 … 「にう」
五、長唄 … 「楠公」
六、露西亜舞踊劇 … 「アジアデ」
二十二日 (五日目)
一、バレー … 「クリスマスの夜」
二、講談 … 「台湾人」
三、薩摩琵琶 … 「秋色桜」
四、落語 … 「まくら屋」
五、長唄 … 「綱館」
六、露西亜舞踊劇 … 「アジアデ」
二十三日 (六日目)
一、バレー … 「クリスマスの夜」
二、薩摩琵琶 … 「西行」
三、講談 … 「天野屋利兵衛」
四、落語 … 「夢の瀬川」
五、長唄 … 「新曲 浦島」
六、露西亜舞踊劇 … 「アジアデ」
御入場料
特等 二圓 一等 一圓八十銭
二等 一圓五十銭 三等 五十銭
外一切御不要
○ 「第二回 有楽座ヴァラエティー 露国舞踊劇梗概 ロシアン - バレー 大正九年 九月十八日より 同 九月廿三日まで 毎夕六時半開演」とある。23.4センチ、片面刷り。
内容は、日文と英文の配役・梗概などである。なお、( )内は、下の写真の英文の梗概より補充。
ロシアン バレー (RUSSIAN BALLET)
露国舞踊劇梗概
第一、バレー
『クリスマス ナイト バレー (CHRISTMAS NIGHT BALLET)』 (From 6 30 p.m.)
第一の天使 ヘレナ・パヴロバ (Miss Helena Pavlova) 〔エリアナ・パヴロバ〕 嬢
第二の天使 ナジジヤ・パヴロバ (Miss Najidia Pavlova) 嬢
他九人の天使出演
雪の降りしきる寒き降誕祭の夜、二人の憐れなる孤児は飢と寒さに悩まされつゝ、とある家の軒先きにたどりつきしが、ふと窓より家内の様子を伺ひ見るに、輝かしきクリスマスツリーを圍繞しつゝ幾多の若き男女は楽しげに唄ひ且つ舞ひ居たり。彼女は暫らく此暖かく且つ楽しげなる有様を羨望の眼を以て眺め居たりしが、尚も襲ひ来る寒さと餓に堪えかねて遂に其場に昏倒し果てたり。ふと心付けば彼女は美くしきクリスマスツリーの蔭に安らかなる憩を貪り数人の天使は彼女を取りかこみつゝ美妙なる音楽につれて舞ひ居たり。彼女の憐れなる魂は斯くして暖かく楽くし且つ安らかに天使の手に抱擁されつゝ天上する事を得たりしなり。
第六舞踊劇
『アジアデ (ASIADE)』(From about 8.30 p.m.)
大公 ブイ・クルーピン (Mr. V. Krupin)氏 アジアデ ヘレナ・パヴロワ嬢
第一の妾 ナジジヤ・パヴロバ嬢 (Assisted by 30 Artists)
其他の妻 エルナフ嬢
其他の妻 ベリナ嬢 同 アグニヴ嬢
同 ロフボスキー嬢 同 バセリボスカヤ嬢
同 トバリ嬢 同 エリザンチン嬢
同 カルスカヤ嬢 同 ボルスカヤ嬢
宦官 エブナスキー氏 舞姫 シナリー嬢
同 ニアバタヤ嬢 同 ビシニブスカヤ嬢
奴婢 レピナ嬢 同 メリナ嬢
ベドイン人 パニスギー氏 同 アレキシーフ氏
同 コンスタンヂノフ氏
印度大公の閨房。大公は幾多妻妾の歌舞嬌態にも漸く倦怠を感じ何等か新しき興味を欲求しつゝありし折柄一度ベドウイ人の誘拐羅致せるアジアデの美貌を見て甚く心を動かし、彼女の愛を求めんが為めあらゆる財宝を提供せんと云ふ。アジアデは何者を欲せず只一身の自由を得ん事を望み、恰も大公の意に従ふが如く装ひて私かに酒中に毒を投じて勧め、太公の死に依りて城中大混雑を来せる其隙に乗じ、彼女は旨々と虜の身より脱れ出づると云ふ筋なり。
広告は、「今日は有楽座 明日は三越」の三越呉服店・白木屋呉服店・高島屋呉服店などである。
出演者
一 バレー ヘレナ、パヴロワ嬢
他十余名
一 薩摩琵琶 永田錦心
一 講談 一龍斎貞山
一 落語 三遊亭圓右
一 長唄 長唄玉振会連中
唄 三味線 囃子
(十八日) 杵屋勘次 杵屋勘喜代 笛 望月長子
杵屋梅次 杵屋正次 小鼓 望月初子 同 望月春子
杵屋家壽次 杵屋広次 大鼓 望月太賀
杵屋勘光 杵屋勘久 太鼓 望月稲子
〔以下、(廿二日)まで省略〕
(廿三日) 杵屋勘次 杵屋勘喜代 笛 望月長子
杵屋梅次 杵屋勘久 小鼓 望月芦香 同 望月八千代
杵屋勘光 杵屋廣次 大鼓 望月太伊
杵屋勘綾 杵屋勘梅 太鼓 望月初子
一 露西亜舞踊劇
ヘレナ パヴロワ嬢
ナヂエダ パヴロワ嬢
ベー クルウピン氏
シナリー。ニアバアタヤ。ビイシニブスカヤ。エルナフ。ベリナ。アグニワ。ロフボスキー。バセリポスカヤ。トバリ。エリザンテン。カルスカヤ。ボルスカヤ。レピナ。メリナの諸嬢
エブギナスキー。バニスキー。アレキシーフ。コンスタンチノフ。ジエツク。サーコフ。コビネスキー。ペトロフの諸氏。
総て露国舞踊家三十余名出演
附 管弦楽団
十八日 (初日)
一、バレー(舞踊) … 「クリスマスの夜」
二、講談 … 「大高源吾」
三、薩摩琵琶 … 「川中島」
四、落語 … 「累ヶ淵」
五、長唄 … 「賤機帯」
ロシアンバレー
六、露西亜舞踊劇 … 「アジアデ」
十九日 (二日目)
一、バレー … 「クリスマスの夜」
二、講談 … 「前原伊助」
三、薩摩琵琶 … 「吉野落」
四、落語 … 「富久」
五、長唄 … 「勧進帳」
六、露西亜舞踊劇 … 「アジアデ」
二十日 (三日目)
一、バレー … 「クリスマスの夜」
二、講談 … 「本能寺」
三、薩摩琵琶 … 「梅川と忠兵衛」
四、落語 … 「九段目」
五、長唄 … 「吉原雀」
六、露西亜舞踊劇 … 「アジアデ」
二十一日 (四日目)
一、バレー … 「クリスマスの夜」
二、講談 … 「石童丸」
三、薩摩琵琶 … 「二度目の清書」
四、落語 … 「にう」
五、長唄 … 「楠公」
六、露西亜舞踊劇 … 「アジアデ」
二十二日 (五日目)
一、バレー … 「クリスマスの夜」
二、講談 … 「台湾人」
三、薩摩琵琶 … 「秋色桜」
四、落語 … 「まくら屋」
五、長唄 … 「綱館」
六、露西亜舞踊劇 … 「アジアデ」
二十三日 (六日目)
一、バレー … 「クリスマスの夜」
二、薩摩琵琶 … 「西行」
三、講談 … 「天野屋利兵衛」
四、落語 … 「夢の瀬川」
五、長唄 … 「新曲 浦島」
六、露西亜舞踊劇 … 「アジアデ」
御入場料
特等 二圓 一等 一圓八十銭
二等 一圓五十銭 三等 五十銭
外一切御不要
○ 「第二回 有楽座ヴァラエティー 露国舞踊劇梗概 ロシアン - バレー 大正九年 九月十八日より 同 九月廿三日まで 毎夕六時半開演」とある。23.4センチ、片面刷り。
内容は、日文と英文の配役・梗概などである。なお、( )内は、下の写真の英文の梗概より補充。
ロシアン バレー (RUSSIAN BALLET)
露国舞踊劇梗概
第一、バレー
『クリスマス ナイト バレー (CHRISTMAS NIGHT BALLET)』 (From 6 30 p.m.)
第一の天使 ヘレナ・パヴロバ (Miss Helena Pavlova) 〔エリアナ・パヴロバ〕 嬢
第二の天使 ナジジヤ・パヴロバ (Miss Najidia Pavlova) 嬢
他九人の天使出演
雪の降りしきる寒き降誕祭の夜、二人の憐れなる孤児は飢と寒さに悩まされつゝ、とある家の軒先きにたどりつきしが、ふと窓より家内の様子を伺ひ見るに、輝かしきクリスマスツリーを圍繞しつゝ幾多の若き男女は楽しげに唄ひ且つ舞ひ居たり。彼女は暫らく此暖かく且つ楽しげなる有様を羨望の眼を以て眺め居たりしが、尚も襲ひ来る寒さと餓に堪えかねて遂に其場に昏倒し果てたり。ふと心付けば彼女は美くしきクリスマスツリーの蔭に安らかなる憩を貪り数人の天使は彼女を取りかこみつゝ美妙なる音楽につれて舞ひ居たり。彼女の憐れなる魂は斯くして暖かく楽くし且つ安らかに天使の手に抱擁されつゝ天上する事を得たりしなり。
第六舞踊劇
『アジアデ (ASIADE)』(From about 8.30 p.m.)
大公 ブイ・クルーピン (Mr. V. Krupin)氏 アジアデ ヘレナ・パヴロワ嬢
第一の妾 ナジジヤ・パヴロバ嬢 (Assisted by 30 Artists)
其他の妻 エルナフ嬢
其他の妻 ベリナ嬢 同 アグニヴ嬢
同 ロフボスキー嬢 同 バセリボスカヤ嬢
同 トバリ嬢 同 エリザンチン嬢
同 カルスカヤ嬢 同 ボルスカヤ嬢
宦官 エブナスキー氏 舞姫 シナリー嬢
同 ニアバタヤ嬢 同 ビシニブスカヤ嬢
奴婢 レピナ嬢 同 メリナ嬢
ベドイン人 パニスギー氏 同 アレキシーフ氏
同 コンスタンヂノフ氏
印度大公の閨房。大公は幾多妻妾の歌舞嬌態にも漸く倦怠を感じ何等か新しき興味を欲求しつゝありし折柄一度ベドウイ人の誘拐羅致せるアジアデの美貌を見て甚く心を動かし、彼女の愛を求めんが為めあらゆる財宝を提供せんと云ふ。アジアデは何者を欲せず只一身の自由を得ん事を望み、恰も大公の意に従ふが如く装ひて私かに酒中に毒を投じて勧め、太公の死に依りて城中大混雑を来せる其隙に乗じ、彼女は旨々と虜の身より脱れ出づると云ふ筋なり。