本書の冒頭部分では、政治学者丸山真男が唱えた「古層論」(日本の伝統的思考の同一性が千数百年もの間維持されてきたこと)をとりあげ、著者は「歴史を貫く一貫した<古層>を認めず」、古層は「歴史的に形成されたもの」と、丸山氏の「古層論」を批判する(4頁)。
宗教は「より深層のダイナミズムを明らかに」するので(7頁)、その思想面を中心にして検討することにより、著者の古層に関する主張の正しさを示そうとしている。
時代の区分けは、古代(古事記及び日本書紀の頃)、中世、近世及び近代とされている。
あまり、この類の本はないので、本書は貴重である。