地獄谷には8つの砂防堤があります。
最初の2つは、コンクリート道から見下ろしながらやり過ごします。
3つ目の砂防堤からは左右どちらからか越えていかなければならないのです。
簡単に越えて行ける砂防堤もあれば、先に越えたメンバーが差し出すスリングにつかまり越えて行くこともありました。
8つ目の砂防堤を越えたところで本格的な登攀がはじまります。全ての登攀具を身に付け、5人全員一段と気合が入ります。
岩壁が左右から迫り谷が狭くなりました。
私がビルの高さ程もある岩壁のすぐ近くをメンバーの一人と会話しながら歩いている時の事です。
後ろを歩いていた会長さんが私たちに向けて厳しい口調で声を懸けられたのです。
「あんまい壁に近づくぎんいかんバイ!」
「いつ上から岩の落ちてくっかわからんやろが!」
いつも冗談ばかり言う会長さんですが、山に入ると周囲の細かなところまで注意を払い、メンバーの一挙手一投足に目を向けられていたのでした。
私は会長さんに喝を入れられた思いがしました。
谷が二俣に分かれる辺りから積雪が見られるようになり、左側の谷の方へ進んで行きました。
標高1400mくらいの根子岳登山と思っていましたが、
私の認識が甘かったようで、普通の登山と違い、
道なき道を進まれるんですね!
どうりで、それ相当の装備が必要になっていたのですね!
先頃の記事の沢登りと似たか寄ったかの登山だったようですね。
雨が降ったら、濁流と化しそうな場所を登られていくようで、
危険そのものですね!
大きな岩は落ちて来ないのですか?
九州の根子岳は千数百mの山ですが、火山帯にある山特有の険しい山なのです。
向かいに見える天狗峰はノコギリの歯のようにそそり立っていて、数年前の熊本の地震で岩峰の一部が崩れ落ちています。
その岩が地獄谷に落ちて、谷はガラガラの崩れやすい谷になっています。
9月に北アルプスで地震があり槍ヶ岳や穂高でも岩崩れがおきましたね。
犠牲者も出てしまいましたが、同じ様な環境と思いました。