ブログを休んでいた時にまとめた2冊目のアルバムは、2022年秋に登った『剱岳&甲斐駒ヶ岳』でした。
学生だった頃に登る予定だった南アルプスの「甲斐駒ヶ岳」は、40年以上もの間私の心の奥に刺さった棘のように残っていました。
そして、「剱岳」もまた自分の力量では登ってはいけない山としてずっと心に蓋をしてきた山でした。
仕事を退く数年前、2015年の8月1日から連れ合いと2人で2泊3日の信州旅行を計画していました。
ところが、出発の1週間ほど前に連れ合いに大事な仕事が入り、急遽、一番上の娘と行くことになったのです。
娘も仕事に就いていたのですが、その翌年には結婚するというのもあったからでしょうか、連れ合いに代わって私との2人旅に行くことを決めました。
その旅の中で訪れたのが『上高地』でした。
梓川に架かる「河童橋」から穂高の峰々を見上げ、青春時代に仲間とあの稜線の道を歩いた話を娘に話して聞かせました。
『仕事を退いたら、いつか穂高に登ろう… 』
と、思ったのはその時からでした。
娘との2人旅は楽しい想い出となっただけでなく、私にとってはその後の人生のスタンスを決める旅でもあったのです。
旅から戻った私は、61歳の誕生日に穂高を訪れることを目標に準備をはじめ、2019年秋に夢を実現させることができたのです。
その後、コロナ禍の中で山岳会に入会し、沢や岩山、そして雪山に臨むにあたって必要な技量や貴重な体験を得る機会が与えられたのです。
ついにその時がやって来ました。
2022年の秋、通過した台風を追いかけるようにして私は愛車を富山に向けて走らせました。
谷を隔てて『剱岳』を正面に観る劔沢キャンプ場でのテント泊…
青空をバックに堂々と立つ “岩の殿堂” の勇姿は私を痺れさせました。
『剱岳』登頂後に雨に打たれずぶ濡れになり急遽山小屋へ宿泊する事態もありましたが、次の日には南アルプスへ移動し40数年前に登頂を断念した『甲斐駒ヶ岳』をめざしました。
この時も、静岡に接近していた台風が突然消滅し、これ以上ない快晴の中『甲斐駒ヶ岳』と『摩利支天』に登ることができました。
『摩利支天』山頂では、鳳凰三山を従えた富士山を観ながら64歳の誕生日を1人で祝いました。