「赤い煌き」がＧⅠ戦線に殴りこむ！

あれはＤ－1開始まもない1月初旬のこと。Ｍ記者先輩から「市丸行くか？」と電話が来た。

「まだ減量なんてせんでええやろ？肉食え、肉」

と言ってカロリーの高い食べ物を次々と頼み、食べさせてくれる先輩の優しさに愛を感じる（笑）。2人で競艇談義をしていると、隣のおじさんが話に加わってきた。

「いまＢＰ梅田の帰りなんだけどね、競艇ってホント上手いこといかんね。今日も最後に３着が入れ替わって外れたよ」

「それは３連単があるから悪いんですよ…」

Ｍ記者先輩の３連単廃止論がここでも展開される。

話しかけてきた柔和な笑顔が印象的なＴさんはなんとＪＲＡの現役厩務員。重賞2勝を挙げているタマモサポートや本日すみれＳを勝ち、晴れてＯＰ馬となったレッドスパークルの担当だ。

「スポニチさんにはお世話になってるんですよ。（タマモサポートが優勝した社杯の）京都金杯の時なんかは、裏面カラーでド～ンと載せてもらって。馬ひいてるボクもでっかく載ってね。両親とか知人に配るために、コンビニにあったスポニチ全部買っちゃいましたよ。」

新聞社に勤めるものとして自分が直接関わったことではないにせよ、こうした生の声というは嬉しいものだ。

「タマモサポートは歳も歳なんであれだけど、レッドスパークルは安かった（ＨＢＡセールで450万円で落札）けど、期待してるんですよ。是非応援してください」


レッドスパークルの父ニューイングランドは「スペシャルウィーク2世」との呼び声があったくらい期待された馬だったが、体質が弱かったため大成することなくターフを去った。産駒のレオマイスターがＧⅢを勝っているものの、クラシックを賑わせた馬はまだいない。

だが、レッドスパークルには母のクリスタルコーラルの妹に桜花賞馬キストゥヘヴンがいるように血統的なバックボーンがある。

とりあえず、今日の勝ちで皐月賞の権利は獲得した。ローズキングダム、ヴィクトワールピサと今年のクラシック戦線は粒ぞろいだが、敏腕厩務員Ｔさんの手腕にも注目したい。

ちなみに貴重な話を聞かせてもらった上に、帰り際、Ｔさんは我々の勘定まで支払ってくれていた。

「スポニチさんにはお世話になってますから」


何とも男前でした。