まず第一に、政府の無策と、国民多数の無知・無関心があり、情報を正しく解釈して合理的な結論を導き出すことが不得手な国民性がある。これは、一朝一夕に形成されたものではなく、明治期以降の官主導の統治制度や、教師が一方的に生徒に教えるという教育制度があり、それに加えて、敗戦国である日本から永続的に主体性を奪おうとしたGHQの方針と、売れれば良いという場合によってはマッチポンプを恥じない商業マスコミの影響もあった。
このことから、我々日本人の多くは、指示されることに慣れて自分自身で考えようとしないよう方向付けられ、マスコミが報じているから正しいだろうとか、政府が規制を解除したから、或はGOTOトラベルを推奨しているから、どこへ行っても、誰と会食をしてもよいだろうとかと考えがちとなっている。そもそも、弥生時代に始まって、つい最近まで共同作業が必須である農業社会が存在し、世間の風潮に合わせるとか、お上の方針に忖度を働かせるとか、仲間外れになるのを極度に嫌うとかいう国民性がある。その例として、未だに送別会や歓迎会などの会食で感染する人がいたり、カラオケに老人が行って感染するということが少なからずある。聖火リレーも、あれだけ見物客が密になっていて、感染力を強めた変異株ウィルスに感染しないと、誰が言い切れるのだろうか。
しかも、このコロナ禍急拡大の国家非常時でも、政府の方針は、医療技官を中心とした厚生省村の意見を中心として定められ、彼ら医療技官中心体制は、例えば、あのクルーズ船で誤った感染防止対策を行って停泊中の船内で感染を拡大させたのではなかっただろうか。更に、この勢力は、安倍前首相のPCR検査拡大の方針やアビガンの早期承認の方針まで悉く妨害し、結果として、政府の有効な対策に結びつけられなかった。それ以後においても、一年以上経過するのに、医療体制の整備拡充や感染防止対策に有効な具体策が打ち出せてはいない。飲食店に対する時短要請にしても、やりやすい所から行っているだけであり、これが感染防止対策に有効であるというエビデンスはない。(例えば、個々の飲食店の中で行ったいる対策の中には、感染防止対策は見せかけだけで、本当に実効性があるのかに疑問があるものも多い。)ワクチンの確保にしても、他の先進国に比べて極めて遅い。これは、与党政治家の指導力のなさと、官僚の怠慢としか言いようがない。
挙句の果てが、厚生省の医療技官の課長が主導した老健局老人保健課員多数参加の会食があり、その会食が原因で複数の感染者が出たという報道が事実であれば、落語のオチにもならない情けない事案であった。
現下の変異株の流行による感染力の増加にも関わらず何の有効な手立ても打てない政府には、もう、ほとほと呆れ返るしかない。この事態に至っても、未だに政府・与党の一部が、オリンピック開催やgoto再開に拘っているのであれば、来る選挙で国民は厳しい審判を下す以外にない。野党も野党で、甚だ実力不足で、民主党政権下の失政の反省も十分ではないが、現政府・与党に猛省を促すという意味では、政権交代もやむを得ないのではなかろうか。
一部のマスコミは、韓国政界の混迷ぶりを面白がって報道したがるが、我が国政界も、それに負けず劣らずの状況にあるという認識に欠けているのではなかろうか。