NHKの番組で「映像の世紀 バタフライエフェクト、大恐慌 欲望と恐怖の1929年」というものを見た。1929年の大恐慌は、100年近く前の出来事であるが、今、アメリカでトランプ大統領が再選され、彼が、関税を武器にして世界中の国々に対して行っている政策は、当に、大恐慌へ突入した時代を思い起こさせるように思えた。100年前のアメリカは、第一次世界大戦において部外者的な立場にいたおかげで経済的な潤いを見せ、バブルの真っ最中にあり、誰もが借金をして証券投資にのめり込み経済的な繁栄を謳歌していた。ところが、そのバブルが弾けるや、破産者が巷に溢れるようになつた。その後、ドイツにヒトラー政権が誕生し、ヒトラーによるヨーロッパ各国への侵略と、ドイツの同盟国であった日本による対米英宣戦布告を経て、アメリカも第二次世界大戦に参戦することになった。第二次世界大戦では、世界中で何百万人(もしかすると何千万人)もの被害者を出し、原子爆弾が初めて使用されるなど大量破壊兵器が実戦化される時代となった。
近年、金融などのサービス業からAIへのバブル景気を謳歌していたアメリカは、その間に、製造業を中国などの人件費などのコストが安い国に依存してしまったおかげで、気が付けば、鉄鉱や造船などの基幹産業が競争力を失うような事態になり、近い将来、経済的に世界第一の地位を中国に譲らざる得ないところまでに陥ってしまい、その前の段階で、既に世界の警察では無くなりつつある。AIにしても、宇宙開発にしても、国家の力を有望な科学技術分野に容易に投入出来る権威主義体制を持つ中国共産党独裁体制は、アメリカやヨーロッパ、日本などの主要国を凌駕しつつある。
もし、中国などの権威主義国が世界で覇権を握るような事態になると、監視体制が徹底され、少しでも体制に反対したり、従わないような人々は、精神病院に送られたり、刑務所に投獄されたりして、人間として自分の潜在力を最大限発揮したいというロマン主義的な傾向を持つ人々は真っ先に排除されることになるだろう。果たして、それが幸せな世界なんだろうか。
ところで、トランプ大統領の一見強引な手法は、ロシアや中国を始めとする各国を驚かし、同盟国であった西洋各国や日本にも関税を課すなど、WTOなどの国際機関のルールも無視して、米国の利益のみを考えるモンロー主義や孤立主義的傾向を見せ、これが、ある意味では効果過的であり、その結果、ウクライナ戦争やガザにおける紛争も解決に向かい、世界各国も米国に有利なディールを結ぶかのようにも見えてはいるが、所詮、このような乱暴で理不尽な政策が長続きするはずもなく、百年前と同様に、米国発の世界恐慌への道に踏み出したかのようにも見えてならない。
1929年のブラックマンデーによる世界恐慌では、大多数の投資家が財産を失う一方、ケネディなどの少数の投資家だけが、その破綻の兆候をいち早く見抜き、逆に資産を形成したのであった。今日の株式市場も、一旦は、トランプショックからの立ち直りを見せつつあるが、トランプ大統領の国際貿易を損ないかねない過激な政策は、極めてリスキーな賭けでもあり、一歩間違うと、世界同時不況やスタグフレーションをもたらし兼ねないところがある。投資会社や株の専門家と称する人達は、如何にも楽観的に投資を勧めているが、くれぐれも、投資は、余裕資金で行い、仮に損失が重なっても後悔しないようにしたいものだ。
※ 今日の経済ニュースから
「週明け28日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は5営業日続伸した。 アメリカと中国の貿易摩擦が緩和するとの期待が広まり、買い注文がやや優勢となった。」
※※ それにしても、このgoo blogのサービスの低下には、まったく、嘆かわしいものがある。ブログを廃止するのは了としても、廃止までのサービスは、今までの水準を保っておいて欲しいものだ。