拍手と花束そして高楼
この時期は卒業、退職、人事異動、転勤、入学、就職、引越し等々・・・一年中で一番せわしい時期かも知れない。
今日はわが職場でも退職を迎えた先輩諸氏のあいさつ回りが目立った。
夕刻にはあちこちで花束を抱えた人を見送る光景もあり、毎年のことながら長年の労苦を拍手で労いたい気持ちになる。
仕事を終え家路につくと、夕暮れの町にも花束を抱えた人も多かった。
老若男女のその姿は定年退職、転勤・・・花束の理由は千差万別なのだろう。
ただ、今日は別れを惜しむ意味のそれが多いに違いない
日本人はこの別れの文化をとても大切にしてきたと思うのだが・・・
わたしはこの時期こうした光景を目の当たりにすると、どうしても島崎藤村の『高楼』を思い浮かべてしまう。
『高楼』
「妹」
とほきわかれに
たへかねて
このたかどのに
のぼるかな
かなしむなかれ
わがあねよ
たびのころもを
とゝのへよ
「姉」
わかれといへば
むかしより
このひとのよの
つねなるを
ながるゝみづを
ながむれば
ゆめはづかしき
なみだかな
「妹」
したへるひとの
もとにゆく
きみのうへこそ
たのしけれ
ふゆやまこえて
きみゆかば
なにをひかりの
わがみぞや
「姉」
あゝはなとりの
いろにつけ
ねにつけわれを
おもへかし
けふわかれては
いつかまた
あひみるまでの
いのちかも
「妹」
きみがさやけき
めのいろも
きみくれなゐの
くちびるも
きみがみどりの
くろかみも
またいつかみん
このわかれ
「姉」
なれがやさしき
なぐさめも
なれがたのしき
うたごゑも
なれがこゝろの
ことのねも
またいつきかん
このわかれ
「妹」
きみのゆくべき
やまかはは
おつるなみだに
みえわかず
そでのしぐれの
ふゆのひに
きみにおくらん
はなもがな
「姉」
そでにおほへる
うるはしき
ながかほばせを
あげよかし
ながくれなゐの
かほばせに
ながるゝなみだ
われはぬぐはん
今日は慣れ親しんだ職場と惜別し、明日はわたしも新たな職場での仕事がスタートする。
この時期は卒業、退職、人事異動、転勤、入学、就職、引越し等々・・・一年中で一番せわしい時期かも知れない。
今日はわが職場でも退職を迎えた先輩諸氏のあいさつ回りが目立った。
夕刻にはあちこちで花束を抱えた人を見送る光景もあり、毎年のことながら長年の労苦を拍手で労いたい気持ちになる。
仕事を終え家路につくと、夕暮れの町にも花束を抱えた人も多かった。
老若男女のその姿は定年退職、転勤・・・花束の理由は千差万別なのだろう。
ただ、今日は別れを惜しむ意味のそれが多いに違いない
日本人はこの別れの文化をとても大切にしてきたと思うのだが・・・
わたしはこの時期こうした光景を目の当たりにすると、どうしても島崎藤村の『高楼』を思い浮かべてしまう。
『高楼』
「妹」
とほきわかれに
たへかねて
このたかどのに
のぼるかな
かなしむなかれ
わがあねよ
たびのころもを
とゝのへよ
「姉」
わかれといへば
むかしより
このひとのよの
つねなるを
ながるゝみづを
ながむれば
ゆめはづかしき
なみだかな
「妹」
したへるひとの
もとにゆく
きみのうへこそ
たのしけれ
ふゆやまこえて
きみゆかば
なにをひかりの
わがみぞや
「姉」
あゝはなとりの
いろにつけ
ねにつけわれを
おもへかし
けふわかれては
いつかまた
あひみるまでの
いのちかも
「妹」
きみがさやけき
めのいろも
きみくれなゐの
くちびるも
きみがみどりの
くろかみも
またいつかみん
このわかれ
「姉」
なれがやさしき
なぐさめも
なれがたのしき
うたごゑも
なれがこゝろの
ことのねも
またいつきかん
このわかれ
「妹」
きみのゆくべき
やまかはは
おつるなみだに
みえわかず
そでのしぐれの
ふゆのひに
きみにおくらん
はなもがな
「姉」
そでにおほへる
うるはしき
ながかほばせを
あげよかし
ながくれなゐの
かほばせに
ながるゝなみだ
われはぬぐはん
今日は慣れ親しんだ職場と惜別し、明日はわたしも新たな職場での仕事がスタートする。