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2.社長の不況対策

2021-08-14 11:52:16 | 独り言
2.社長の不況対策
 経営理念やビジョンをHPなどで表している企業は多いが、経営理念は企業の存在意義を表現するものであり、企業の果たす役割を示す必要がある。しかし、従来型の企業は株主に向けたあいまいな言葉での表現に過ぎない内容で終わっている企業も少なくない。
オンリーワン企業を目指すとか社会貢献企業になるとか、具体性のない言葉では何に対してどのような事業を行うことでそうした実現を図るのかが分からない。
顧客に向け、社員に向け、ステークホルダーに向け、地域社会や環境問題などについて具体的に企業の役割を示す必要がある。
 クレドという言葉があるが、企業の使命や役割を明確にし、従業員全員が働く価値基準として共通の認識を持つよう表現する必要がある。
 企業理念やビジョンを明確にしたら、経営戦略の策定が重要である。最近はSDGsなどに見るように、企業がどのような社会貢献を行いながら利益を上げ、さらには社会に還元しているのかが問われている。
 では経営戦略は誰が作成すればよいのだろうか。
経営者はもちろんであるが、コロナ禍で企業経営が危機に陥って進むべき方向性を見失っているような場合、事業再構築の申請でも見られるが、何が何でも売上・利益の確保に目が行き、本業をおろそかにしてしまう例がみられる。原点に返る余裕もないと思われるが、原点は経営理念である。経営難に陥っている今こそ実は原点に返り、経営戦略を確立する必要がある。
その際に抽象的なスローガンである、「社会貢献企業」とか「オンリーワンを目指す」とかでは具体的な戦略が生まれない。
事業再構築補助金の申請でなぜSWOT分析を求められ、事業環境を分析し、事業再構築を行うように求められているのか、それはまさに自社の強みを再認識し、置かれた環境を見直し、事業戦略を構築することが求められているからである。
 事業再構築に当たってはいろいろな定義と要件が求められているが、自己解釈で都合の良いように申請を行う企業が多い。認定支援機関も本当に親身になって申請企業の事業戦略を見ているのか、戦略実現の上で、まったく新しい事業に進出、自社の経営資源である人材を使うわけでもなく、経営者が素人と変わらないレベルで、ベンチマークもせずにある意味、勘と度胸で申請を行う企業が多くみられる。事業再構築を理解せず、補助金で何とか事業の立て直しを図りたい、その気持ちは理解できるが、屋上屋を重ねる再構築案のなんと多いことか。中には経営理念と経営戦略をしっかりかみ合わせ、自社の強みを生かし、組織体制をよく把握して、新たに事業展開を図る企業もある。
経営環境が厳しいからこそ、新規事業立ち上げ、新商品開発、新規販路開拓、顧客サービスの見直し、人材育成などが求められるが、この時期むつかしいという経営者も多い。確かに新事業などを立ち上げてすぐに黒字化を図るのは実はむつかしく、補助金の存在はありがたいが、どのように活かすか、ただこの際だからお金をもらう算段では、新事業どころか、本業にも影響を及ぼす。強みを生かした確実な新事業展開を考えなければ、成功はおぼつかない。いかに人材を確保し、設備投資もその効果を図ったうえで工夫しないと、資金繰りに困ることになる。金融機関とは日ごろ事業計画を話し合い、財務面での支援を依頼できる体制を作っておく必要がある。
事業再構築補助金で新たな事業に対して対応する組織図などが求められる。それは新事業を推進するにあたって、対応できる経営資源を有しているか、またその能力は実行可能なものか判断するためである。
事業再構築を図る場合、実はすでに資金繰り、コストダウン、在庫増などの問題が発生していることが多い。経営者はそうした問題に対応するだけでなく、新たな課題にも対応しなければならない。すべて経営に絡む事象ではあるが、信頼できる部下がいなければ、経営に十分時間を割けなくなる危険が発生する。問題解決能力、ソリューション能力が求められるわけだが、専門性や経験を有していても、事業遂行上の理論や手法などが欠落している経営者が多いのも事実である。
高額なコンサル料を支払って申請書の手伝いをしてもらい、申請する企業が増えているが、申請書を見ると最近は事務局も分かっているようで支援金額を書かせるようになっている。申請書の手伝いはやむを得ないとしても認定を受けるためだけの申請では、その後の事業展開が問題で、せっかくの認定を取りやめる企業もある。
 しかしこうした厳しい状況の中でもしっかりと経営戦略を組み立て、景気の回復と並行して、一層本業も新事業も伸ばす企業も存在する。
コロナの影響をさほど受けず、経営戦略を着実に進めている企業は、不況期に計画を立てていることもあり、採算基準を厳しく設定し、より強い企業として推進できる可能性もある。厳しい環境の中経営への影響が大きいと、人材にも余裕ができる。そうした人材を新事業に回し教育することも可能で、資金繰り等に気を配りながら、新事業の市場性や成長性を評価し、事業推進を行う必要がある。
 顧客の厳しい条件である価格設定、品質、サービス、短納期、小ロット、デザイン、製品寿命など広範囲に及ぶ要求にこそ厳しい環境の中で鍛えられ、対応することで、生き延びていけるのである。
いろいろな補助金で求められている、新規性・独創性、収益性、市場性、成長性、競争優位性などこそ発揮される必要があるのである。
こうした不況期こそ人材育成のチャンスでもある。事業承継が問題になっているが、こうした時期こそ後継者の育成も考慮する必要がある。事業の見直し、立て直し、後継者がいる場合は事業承継の意義を理解させ、経験を積ませ、経営理念、ビジョン、経営戦略などの見直し、環境変化への対応を図る必要がある。
若い人は柔軟な発想も可能で、変化するデジタル社会にも対応でき、情報や人間系ネットワークの構築、
グローバルな視点、変化への対応力などを身に着ける機会にもなる。
 それでも努力では解決できない課題に直面する。
経営において、経費の圧縮、人員整理、借入金の増加、新販路開拓、新商品開発、在庫圧縮、不採算部門の縮小など、やむを得ず行う必要のあるもの、行わなければならないもの等、市場の変化を見ながら対応する必要がある。
 つい行ってしまうのが、安価での受注、取引条件の緩和、大口対応で他の納期遅れ発生など、それぞれに社内コミュニケーションが取れており、良かれと思っての行動であればよいが、首を絞めることのないよう注意が必要である。
 経営者としてコロナ禍で経営がむつかしくなり国の管理基準を守らない企業がある。国に対するいろいろな批判もあるが、遵法、コンプライアンスの精神を忘れてはけない。社内だけでなく消費者はみている。
経営者は強い気持ちで乗り越える必要があるが、そのためには、悩まず、考え、先を「読む」ことである。
そのうえで判断し決断を下す必要がある。
 社員は経営者の行動を見ている。強いリーダーシップのもと、具体的な行動で範を示し、安心感・期待感を社内に持たせ落ち着いた普段の活動を行える環境づくりが求められるのである。
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