企業の支援活動を行う中で、どの企業にも共通して忘れられているものの中に、バリューイン、バリューアウト発想がある。
変化する消費者意識にどのように対応していくか、マーケットイン発想が必要だとはよく言われているが、消費者意識の変化に対応する「モノづくり」は現実的には難しい。
なぜなら消費者ニーズの把握は、実は非常に難しいことで、分かるほうがおかしい。今消費者が何をほしがっているか、マーケティング力を使って予測しても、解は出るはずがない。
解がわかるなら多くの企業がもっと成功を収めているはずである。
では、どのようにものづくりを行い、消費者の共感を得、購入にまで持っていけばよいのであろうか。
亡きスティーブジョブズ氏は、「人は形にして見せてもらうまで,自分は何が欲しいのかわからないものだ」との名言を残している。
だから、単に形あるモノづくりをすればよいということではない。
形あるものの基本的な機能にプラスして、消費者はその付加的な価値に注目する。
付加的価値とはその「商品」の機能にプラスして、価格やパッケージ、デザイン、広告、宣伝、店頭でのディスプレイなど総合的な価値のことを言う。
消費者はそうした提示された商品に対して、個々の価値判断を加え、共感を呼ぶ商品に対してお金を払うのである。
メーカーサイドの都合で作られた商品に、消費者は共感を覚えない。
素材から機能、デザイン、その他あらゆる商品を取り巻く価値にこだわり、「ストーリー」を持たせることで、消費者の共感を呼ぶ。
価値の共鳴こそ、バリューイン、バリューアウト発想である。
つまり消費者の共感を呼ぶためには、消費者の価値観に共鳴する商品提供や情報発信を行い、市場から消費者の声を聴き、期待以上のモノづくりを行うことができるかである。
海外を旅行して今、タブレットの利用者が目につくのに、日本ではまだあまり普及しているとは言えない。
なぜか分かるだろうか
魅力がないといえばそれまでだが、本当のニーズの掘り起こしができていないからである。
韓国のサムソンなどがなぜシェアを拡大しているのか。
デジタル社会での戦略が彼らのほうが先行して進んでいるからである。
ウインドウズ系が出遅れているのも問題である。
モノづくりに大切なのは、商品の持つ基本的な機能にプラスして、付加的機能との総合であるといった。
それらのすべてにこだわらないと、商品は売れない。
とりあえず時代の流れに沿うように商品を市場に送り出すだけでは、今の日本の家電メーカーになってしまう。
消費者の期待以上の商品が今、どれだけ市場に出ているだろうか。
生産者よ、自らが消費者であることを忘れていないだろうか。
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