社民党 国立市議会議員 藤田たかひろのブログ

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君の願いが届く日 第92回選手権大会 仙台育英学園高校-開星高校より

2015年02月22日 01時36分22秒 | Weblog
 甲子園は不思議なところ。

 9回の最終回、同点打や決勝打は、

 今まで無安打の打者がたたき出すことがある。

 つまった当たりが内野手と外野手の間に飛んで、

 打者の願いが届き、ポテンヒットになるような。

 それでも、何回かそんな試合があったなと記憶に残っているから

 君は頭の中でその事を思い出していた。

 それが、自分の姿に重なった。

 この試合、ここまでの君の成績は
 
 3打数無安打。

 1点を追いかける9回の表、

 2死満塁。

 甲子園でよくあるような光景で

 君に打順が回った。

 追い込まれた最後の最後に、未来が拓けるような、

 今までのくやしさが栄光に化けるような、

 君は明るい空想をして強気になった。

 でも、

 今まで明るい空想は、常に正反対の結果になって現れたから、

 いつも通り、努力が報われないかもと

 君に

 弱気も

 少し

 あった。

 強気と弱気が同居して立った打席。

 その初球。

 緩いスライダーを君は打ち損じた。

 つまった打球は中途半端に伸びて

 ポテンヒットにはならなそう。

 それどころか、

 中堅手の守備範囲まで飛んだ。

 中堅手、手を上げ自分が取る合図。

 君は

 一瞬、負けを覚悟した。

 でも、次の瞬間、

 君は躊躇なく

 明るい未来を空想した。

 「最後くらい叶えてよ」。


 そう思ったとき

 甲子園球場に吹いていた風が、

 さらに強くなった。

 中堅手、落下点に入るも

 白球は強風に

 わずかに押し戻される。

 それでも、一歩前に出て、グラブを構えた肩の延長線上で

 両手で捕球すればアウトを取れそう。

 しかし、グラブで取に行って‥。

 現実はだれに対しても厳しいから、基本を守らない選手に容赦はなかった。
 
 打球、グラブからこぼれて正打区域に転がる。

 試合が終わるような中飛は

 一転

 中失。

 走者二人が還り

 逆転。

 君の願いが届き、

 追い込まれた最後の最後に

 未来が拓けた。

 でも、現実は辛辣だから

 守る9回の裏、

 2死までこぎつけたものの、

 相手チームに1、2塁と攻め立てられた。

 ボールカウント、3ボール2ストライク。

 走者は投球と同時に走り始めるため、

 長打が出れば、逆転サヨナラ負けの危機を迎えた。

 一瞬、嫌な予感がした。

 でも、嫌な予感はやっぱよく当たる。

 6球目の投球を

 打者がはじき返した。

 その痛烈な当たりが、

 外野手のいない

 左中間に飛んだ。

 第92回選手権大会 仙台育英学園高校-開星高校より。人物の生い立ち、心理描写などは虚構。

 (昨日のブログの中で、ボールカウントの数え方を、ボール、ストライクの順とするBSO方式で書いた個所と、ストライク、ボールの順とするSBO方式で書いた箇所がありました。失礼しました。)

 

 

 

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