だから、君は
もう、
あきらめようかと思った。
君はそれまで自分の事を、greatな奴だと思っていた。
だから、greatにふさわしくないものは
見向きもしなかったし、
レベルの低いものに手を出すなんて、自分のgreatが許さなかった。
栄光への道も、一発逆転への道も、単純なものは嫌だった。
だから、
打てば安打になるような投球に対しても、わざと見送ったりして、
ボールカウントを(人生を)悪くした。
劇的で、ドラマのような展開を望んだから、
普通の人が歩もうともしない、いばらの道を行くのが好きだった。
でも、
悲劇的なことばかりで、普通の人とは見劣りする自分の姿があった。
現実は、ドラマのようにいかなかった。
そのたびに、君はくじけそうになった。
色々なものに立ち向かい、
普通の人とは違う人生を送っているのに、なぜか手に入らないものが
あった。
もう面倒くさいから、適当にやるか
と思い、君は自嘲気味に、
甲子園球場のど真ん中にある得点掲示板を見た。
3回の裏、君のチームは、
1-9とリードされていた。
「甲子園にコールド負けってあったっけ?」
なんて事を心の中で呟いて、吹き出しそうになった。
そんな君に打順が回ったのは、
2死1,2塁の時だった。
前の打者が死球で歩くのを、緊張感なく見送り、打席に向かった。
視線の先に、ふと、アルプススタンドが見えた。
8点差という、大きな壁の前の
小さなチャンスに、アルプスは期待していた。
こんなに得点差があるのに、ブラスバンドは変わらぬ音量。
メガホンをたたき、声援を送ってくれる人もいた。
こんなにも、ぶざまな僕らを、応援してくれる人たちがいるのか‥。
君は、
あきらめたけど、もう一度、
頑張ろうと思った。
そして、
君は変わった。
頭によぎったのは劇的。
1915年に始まった夏の甲子園で、
8点差を逆転したチームはない。
「じゃ~ん!」
頭の中でドラマを組み立てたら、思わず笑みがこぼれた。
君は打席に立って、大きく吠えた。
史上初の8点差の逆転劇。
しかも、8点差をつけられたチームが
この後、逆に8点をリードする
greatなドラマ、
ここから。
*第79回大会 市立船橋高校×文徳高校より。人物の生い立ち、心理描写などは虚構。
(最終的に、試合は17-10で市立船橋高校が勝利。)
もう、
あきらめようかと思った。
君はそれまで自分の事を、greatな奴だと思っていた。
だから、greatにふさわしくないものは
見向きもしなかったし、
レベルの低いものに手を出すなんて、自分のgreatが許さなかった。
栄光への道も、一発逆転への道も、単純なものは嫌だった。
だから、
打てば安打になるような投球に対しても、わざと見送ったりして、
ボールカウントを(人生を)悪くした。
劇的で、ドラマのような展開を望んだから、
普通の人が歩もうともしない、いばらの道を行くのが好きだった。
でも、
悲劇的なことばかりで、普通の人とは見劣りする自分の姿があった。
現実は、ドラマのようにいかなかった。
そのたびに、君はくじけそうになった。
色々なものに立ち向かい、
普通の人とは違う人生を送っているのに、なぜか手に入らないものが
あった。
もう面倒くさいから、適当にやるか
と思い、君は自嘲気味に、
甲子園球場のど真ん中にある得点掲示板を見た。
3回の裏、君のチームは、
1-9とリードされていた。
「甲子園にコールド負けってあったっけ?」
なんて事を心の中で呟いて、吹き出しそうになった。
そんな君に打順が回ったのは、
2死1,2塁の時だった。
前の打者が死球で歩くのを、緊張感なく見送り、打席に向かった。
視線の先に、ふと、アルプススタンドが見えた。
8点差という、大きな壁の前の
小さなチャンスに、アルプスは期待していた。
こんなに得点差があるのに、ブラスバンドは変わらぬ音量。
メガホンをたたき、声援を送ってくれる人もいた。
こんなにも、ぶざまな僕らを、応援してくれる人たちがいるのか‥。
君は、
あきらめたけど、もう一度、
頑張ろうと思った。
そして、
君は変わった。
頭によぎったのは劇的。
1915年に始まった夏の甲子園で、
8点差を逆転したチームはない。
「じゃ~ん!」
頭の中でドラマを組み立てたら、思わず笑みがこぼれた。
君は打席に立って、大きく吠えた。
史上初の8点差の逆転劇。
しかも、8点差をつけられたチームが
この後、逆に8点をリードする
greatなドラマ、
ここから。
*第79回大会 市立船橋高校×文徳高校より。人物の生い立ち、心理描写などは虚構。
(最終的に、試合は17-10で市立船橋高校が勝利。)





