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家族がガンを宣告されて…9

2009年12月23日 15時09分05秒 | 広島

父がガンに侵され

余命を宣告された時…

冷静な自分と

そうでない自分がいることに気付いた。

仕事が葬儀屋だから・・・

冷静に死を受け止めることができたのか?

答えは…やはりYESである。

 

親族に、葬儀の話を淡々とする自分を

怪訝な表情で…「オマエ、そこまで考えているんか…」

と忠告されたとき、不意を突かれたのか・・・

「シマッタ…」と、後悔する自分がいた。

 

毎日が自問自答の繰り返しであった。

 

夜家に帰れば…

食も進まず…眠れぬ日が続いた。

 

酒も進まず…食欲も出ずで

ここまで神経的に考え込む…

もうひとりの自分もいた。

恐らく多くの遺族が経験された…家族としての葛藤であるのだと思った。

 

父の入院中…夕方会社の電話が携帯に転送されてくる。

「安芸葬祭さんですか…いま父が亡くなりまして…」

 

父の目の前で

このような電話を取ったとき…

 

葬儀屋なんて…本当に因果な商売だと思った。

 

目の前に生きるか死ぬか…の戦いをしている

親を前にして…いまこの場で…葬儀屋として対処する自分…

 

「どちらの病院に…何時にお迎えに行けば…」

 

明日は我が身…

 

電話を切って、社員に指示したあと…

 

病院の窓から外を見た。

 

「おれらの仕事…葬儀屋だから・・・

これも受け止めないといけんのかね…」

 

シムラ病院緩和ケアに入院して

17日後…

その日は朝から大忙しであった。

 

そして…11月28日は、初孫で修業から帰り

安芸葬祭で働いている健太の誕生日…

 

皆で…今日行われる通夜の準備に駆け回っていたとき…

おじから電話が入る。

 

「光浩・・・いまどこや…」

「まだ…現場なんよ」

「社員に任せて、病院にこれんか…」

「いますぐは無理じゃ…もうちょっと待ってや…」

「本家の姉さんや従兄もきとるんじゃ…長男のお前がおらんで…」

「わかった…おじさん。30分待ってや…」

 

この日は2件の通夜を受けており

1件が規模が大きかったため

皆で分担して動いていた。

まさしく猫の手も借りたいくらいに…

 

朝から父の容態が悪いのは知っていた。

しかし…孫の誕生日に死ぬわけがない・・・

と、強く念じていた。

 

仕事が落ち着き…社員に事情を話し、

シムラ病院に向かった。

 

待合ロビーに…親族が多数集まっており

自分が想像した以上の、重大性に気付かされた。

 

 


家族がガンを宣告されて…8

2009年12月23日 11時42分20秒 | 広島

11月11日 くもり

朝9時…父からの携帯が鳴る。

「麻衣子(妹)が、まだ来ない…時間が過ぎている」

10時の退院予定で、一時間早いと伝えたが、

非常に機嫌が悪い。

 

これはジョーダンも通じないと思い、電話でなだめて

何とか切った。

 

父の兄も…本郷町から駆けつけてくれ

10時に総合病院を出発する手はずであった。

 

しかし…総合病院で最期のトラブル発生…

退院手続きが行われていなかったのである。

 

正直…そのことを妹から聞いた時

呆れてものが言えなかった。

怒りは通り越し、

「もうほっとけや…

シムラ病院に10時30分で約束しとるんじゃけん

行こうや…」と、言い支払いも後日にした。

 

シムラ病院に向う道中…

葬儀場であるマントクホールの近くを通った。

父がよく通った仕事場である。

もう二度と…生きて通れんだろうなと…内心思った。

平和大通りを通り、平和公園前を通過し、シムラ病院に着いた。

 

病院に着くと…完全個室の部屋に入院した。

それまで4人部屋で、気を遣い過ぎた父は…

本当に喜んだ。

「これは勿体ない・・・広くていいとこじゃ…」

 

職員さんから親切な説明があった。

「河内さんこんにちは…ここでは河内さん快適に過ごして下さいね。

ペットの持ち込み、たばこ…1日3本までいいですよ…

お酒も良かったら、しっかり飲んで下さいね・・・」

 

父は満面の笑みを浮かべた。

「酒やタバコが吸えるし…嬉しいの~」

妹も…

「お父さん良かったね・・・嬉しいじゃろう…」

 

と、笑った。

 

しかし…父の兄は…

その言葉の意味が…辛かったのであろう。

一切笑わなかった。

 

その後…

「お父ちゃん…おじちゃんと一杯飲んでくるわ…」

と、伝え…おじと昼間から酒を飲んだ。

 

飲まないと互いにやってられなかった。

 

広島駅の居酒屋で…今後の話をした。

 

「おじちゃん…親父の葬儀じゃが…」

おじは黙って聞いていた。

 

「オマエは息子じゃから・・・色々心配するじゃろう。

わしも…あいつは弟じゃけん…オマエと同じくらい心配じゃ。

なんせ…8人兄弟で残ったのは、あいつとワシだけじゃ…

5歳も上のワシを置いて…何でアイツが死なないといけんのじゃ…」

 

おじは目を真っ赤にして言った。

 

父の兄弟の結束は本当に強い。

特に…このおじに対しては、父は逆らうことが一切なかった。

いつも…アニキ、アニキと呼んでいた。

 

「アニキが今日来るんけん…悪いが今日頼むでェ…」

 

時折…本郷から広島に来るおじと飲むとき

父は最高に機嫌がよかった。

 

そのおじと…「おじさんと飲むけん…」とシムラ病院で言ったとき

父は…「アニキ…ワシが行けんからゴメンのぉ」と言った。

おじは…

「孝二・・・早うようなって行こうでェ~」と答えた。

 

シムラ病院緩和ケア…

ここでの父は…総合病院で見せたことがない

最高な表情を見せた。

「ええ病院に連れてきてくれて

ありがとう…」

そう言われたとき…涙が止まらなかった。