今日も国際関係アナリスト・北野 幸伯さんのメルマガからお伝えします(2020.4.27)。
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全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは! 北野です。
何か悪いことがあった時、それを教訓に変化する人がいます。
ところが、おそらく90%以上の人は、悪いことが過ぎ去った後、教訓を得ることなく忘れてしまいます。
そして、同じような災禍(さいか)が再び襲い掛かってきたとき、「困った!困った!」とまた右往左往することになるのです。
今回の新型コロナ災。
大災害ですが、変化するための教訓を得ることもできます。
たとえばテレワーク。
新型コロナ災が終息した後も、テレワークでできることは、全部テレワークでしたらどうでしょうか?
自宅でできることを、毎日2時間かけてオフィスに通ってやるのは、時間と金の無駄ですね。
いろいろいろいろありますが。
新型コロナ災でわかったのは、「グローバルサプライチェーンの脆弱(ぜいじゃく)さ」ではないでしょうか?
この件について、読者の斎藤さんが、とても興味深いメールを送ってくださいました。
シェアさせていただきます。
【斎藤様からのメールここから▼】
<北野先生、ご無沙汰しております。
先生の奨めで官邸に「習近平、国賓待遇での招聘(しょうへい)はやめてください」と送った斎藤です。
私を含め多くの方々が、官邸に同様のメールを送ったとのことであり、このような声が官邸に響いたのかどうか、よくわかりませんが、習近平が国賓として来日することは阻止できました。
もっとも、中国の武漢発の「武漢ウイルス」のせいで、世界中が大変なことになっているなか、4月の国賓としての来日は延期になっていたとは思いますが、あくまで結果論です。
だれも、武漢ウイルスの災禍がここまでひどくなるとは思わなかったでしょうから。
メールを送った人間としては、官邸へのメールは効果があったと思いたいものです。
さて、今般の武漢ウイルスがもたらした災禍により、サプライチェーンの見直しが始まっていることはご承知のとおりです。
ことに、中国に過度に依存したサプライチェーンの脆弱性が、顕(あきら)かになりました。
青山にある某商社の話ですが、武漢でウイルスが感染爆発し、中国国内に感染が広がろうとしていたとき、まだ日本では感染が大きく顕在化していないころですが、その会社では、「中国にマスクを送ろう」ということになり、全社に号令をかけたところ、マスクが手に入らないという事態になり、マスクを中国に送れなかったということです。
おわかりかと思いますが、マスクの生産地は中国であり、その会社はマスクを中国から輸入していたのです。
その中国がマスクを国内から出すことを禁止したために、マスクが日本に入ってこずに、その会社はマスクを中国に送ることができなかったという、喜劇みたいな本当のことがあった模様です。
何をいいたいかというと、国家が安全保障の危機に瀕(ひん)したとき、国家の意思は経済に優先するということです。
直近では、アメリカがマスクの輸出を禁じました。
トランプ大統領は他国から批判されていますが、ある意味、米国民の生命と安全を守る最高責任者としては当然の行動ではないでしょうか?
(残念ながら今の日本に国家の意思なるものを感じることはできませんが、)
この話が示唆するものは何か?
グローバリゼーションとの関係で考えると、ヒト・モノ・カネが国境を超えて自由に行き来することが何を招いたのか?
工場という資本が海外に輸出され、安い労働力をつかって低コストで生産し、全世界に販売することが可能になったわけですが、ここには国民の安全保障という観点が抜け落ちていたということではないでしょうか?
武漢ウイルスの災禍はわれわれに、過度なグローバリゼーションを戒めているとも考えることができるのではないでしょうか?
生命の維持よりグローバリゼーションが我々に与えるメリットが優先されていいのでしょうか?
われわれ有権者は、グローバリゼーションを制御し、安全保障により重きをおいて考えるべきであることは論をまたないと思います。
ではどうすればいいのか?
北野先生が前著「日本の生き筋 家族大切主義が日本を救う」で主張される政策を採れば、サプライチェーンの再構築が実現できると思うのです。
つまり、海外にでていった日本企業を工場も含めて日本に取り戻すのです。
すべてを取りもどす必要はないとは思いますが、少なくとも敵性国家に頼ることは避けねばなりません。
確か、日本が尖閣諸島を国有化してたときに、中国は報復としてレアアースの対日輸出を禁止しました。
中国は貿易すらも政治利用するのです。
武漢ウイルスの災禍では、日本でも多くのかたが罹患(りかん)され、なくなっています。
大変痛ましいことですが、これが3年も続くことはないでしょう。
ワクチンが開発されるのは、1年以上かかるでしょうが、この災禍は一時的なものです。
日本の地方に工場や本社を呼び戻し、地方都市に工場を作る企業には、税の優遇を与えるのです。
税の優遇がインセンティブになり、地方都市に工場や会社を移転させる企業も徐々にでてくると思います。
そうなれば、東京から地方へ人が戻ることで、東京の一極集中が緩和され、コマツ製作所の事例ではないですが、「少子化」の対策にもなろうかと存じます。
安心して子供を産み育てる環境ができるのです。
徐々に子供の数も増えてくることでしょう。
先生のおっしゃる通り、人は仕事を求めて移動します。
海外の移民労働者はその典型ですよね。
東ヨーロッパの人は仕事を求めて、しょうがなくドイツに向かうのです。
好き好んで故郷を捨てる人は少ないだろうと思います。
この武漢ウイルスの災禍を奇貨(きか)として、いざというときの安全保障のために国内の地方都市を中心とするサプライチェーンを再構築し、そうすることで、国民の安全保障の危機に対する耐性を高め、かつ日本が長期的に解決すべき「少子化」「東京への人口の一極集中」に寄与することができると信じております。
末筆ですが、自分がひとりの国民として、武漢ウイルスに感染しないように細心の注意を払うことはいうまでもありませんが、併せて、RPEのすべての読者を含む先生の関係者全員が、武漢ウイルスに罹患されることがありませぬよう、心から祈念いたします。>
【メールここまで▲】
私も、斎藤さんのご意見に大賛成です。
安倍総理、是非ご検討ください。
---owari---
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