いったい、いつが初恋の時だったか。
今としては、思い出すこともできない。
ただ桜の花が満開の、幻想的風景の中に、
その恋する人は立っている。
顔は、まぶしい白い光に包まれて、
私の方をじっと見つめているはずなのだが・・・。
私は、まだ自分が何者であるかを知らない。
秘密を想い出のオブラートに包んで、
すべてが過去の記憶として、
流れ去らないように、
両足を大地に踏んばっている。
時間の川の流れに抵抗しつづけているのか・・・。
今の妻は、まだ生まれる前の天上界にいて、
どんな魂の眼で見おろしていただろう。
恋した人の数は少なくはなかった。
愛した人の数は、果てしなく多かったろう。
いつしか時間と空間が入れ替わって、
時間は止まったままで、私の身体の方が、
風に吹かれた砂のように、四方に飛び散っていくのだろう。
私の身体が地上から消え去っても、
私の恋する気持ちや愛の心は、
無限に、生き続けるのだろうか。
初恋の時がわからない。
最後の恋がいつかもわからない。
すべてが夢の時間のようだ。
---owari---
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