末つ森でひとやすみ

映画や音楽、読書メモを中心とした備忘録です。のんびり、マイペースに書いていこうと思います。

アイダよ、何処へ?

2021-10-29 08:12:14 | 映画のはなし
1995年7月、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ 紛争末期に、
セルビア人勢力が、ボシュニャク人を標的として引き起こしたジェノサイド、
'スレブレニツァの虐殺' を扱った映画「アイダよ、何処へ?」を見てきました。

主人公が、スレブレニツァに暮らすボシュニャク人であり、
かつ国連保護軍の基地内で通訳を務める人物であることから、
犠牲者側の緊迫感と絶望、為す術の無い国連の現地派遣軍といった視点で、
当時の経緯を追うことができます。

ボスニア・ヘルツェゴヴィナの内戦について、ほとんど詳細を知らないのですが、
本作を見ていくうちに、過去に鑑賞したジェノサイドを描いた映画の場面がいろいろと思い出され、
また、今年8月のタリバンによるアフガニスタン制圧と、それに伴う、
各国関係者のアフガン脱出、切り捨てられた現地協力者たち、といった構図も連想されてしまい、
本編鑑賞中よりも、見終わってからの方が、正直、しんどい気持ちが強まってくる作品でした。
映画のラストに示されたものが、人間の強さと、未来への希望に繋げていくための行動だとしても、です。
決して、歴史のなかの出来事なのではなく、そこから地続きの現在に通じる重苦しさが、残ります。

本作の背景を知るために、鑑賞後はプログラムの購読が必須と思いました。
あわせて、映画館からの帰宅後に参照したサイト記事も、列挙しておきます。

 * 「アイダよ、何処へ?」スレブレニツァ虐殺描く 家族殺されても加害側と隣人になる
  ( 朝日新聞GLOBE+: 2021年9月17日
 * 「アイダよ、何処へ?」が描いたスレブレニツァ虐殺の発端、ユーゴスラビア解体とは?
  ( 朝日新聞GLOBE+: 2021年9月22日
 * ボスニアの融和はまだ遠い 一つの校舎、教室は民族ごと
  ( 朝日新聞GLOBE+: 2019年3月4日 )
 * 「戦場で育った子どもたち」の経験を伝える
  ( 朝日新聞GLOBE+: 2016年2月7日
 * 作品の歴史的背景を理解するために、柴先生の『ユーゴスラヴィア現代史 新版』(岩波新書)をぜひ。
  ( @Iwanami_Shinsho )
  ( ユーゴスラヴィア現代史 新版


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   映画 『アイダよ、何処へ?』

  ◇原題:Quo Vadis, Aida?
  ◇関連サイト:公式サイト ( 日本版 )、IMDb ( 関連ページ
   製作国:ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、オーストリア、ルーマニア、オランダ、ドイツ、
       ポーランド、フランス、ノルウェー、トルコ
   製作年:2020年(日本公開:2021年9月)
  ◇鑑賞日:2021.10.21. 映画館にて