末つ森でひとやすみ

映画や音楽、読書メモを中心とした備忘録です。のんびり、マイペースに書いていこうと思います。

松竹ブロードウェイシネマ/シラノ・ド・ベルジュラック

2021-01-15 08:45:40 | 映画のはなし
2021年の劇場鑑賞はじめです。

昨年、2020年の劇場鑑賞納めは、NTライブ「シラノ・ド・ベルジュラック」 でしたが、
年明け一本目の劇場鑑賞には、松竹ブロードウェイシネマのアンコール上映 にラインナップされていた、
ケヴィン・クライン 主演の「シラノ・ド・ベルジュラック」を選びました。

元々は、2007年11月1日~2008年1月6日まで、ニューヨークのブロードウェイにある
The Richard Rodgers Theatreで公演されていたプロダクションを、テレビ映画用に収録したもの で、
17世紀フランスが舞台と聞いて思い浮かべる、羽根飾りつきの帽子とマントを纏った(三銃士みたいな♪)衣装と、
時代ものらしい雰囲気ある舞台セットの演出は、オーソドックスとは言え、歴史もの好きな私には嬉しい要素です。

そして、何より、シラノを演じるケヴィン・クラインが、とにかく、もの凄く良かった!

高潔で、自信に溢れながらも、落ち着いた印象が前面に感じられたケヴィン・クライン版のシラノは、
ロクサーヌに対する彼自身の想いと、彼女が望む恋を支えようとする年上の従兄としての切なさが、
その深く通る声で詠まれる詩に、静かに熱く響きわたり、見ている側の感情を確実に揺さぶってきます。
笑いを誘うやり取りはより軽快に、涙が流れる場面では一層やるせなく、持って生まれた文武の才で闘い、
自由を手にしつつも、結局は、自分を苦しめる生き方しか選べなかったシラノというキャラクターの魅力と、
初演から100年以上を経ても繰り返し上演される「シラノ・ド・ベルジュラック」という演目の普遍性を、
あらためて味わうことができました。映画館で見るチャンスのあったことが嬉しい一本です。

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   松竹ブロードウェイシネマ 『シラノ・ド・ベルジュラック』

  ◇原題:Cyrano de Bergerac
  ◇関連サイト:公式サイト ( 日本版 )、IMDb ( 関連ページ
  ◇鑑賞日:2021.1.13. 映画館にて