2017年も残り1週間となりました。
年内にアップしたいレビュー記事が、あと3本あるのですが、
果たして無事に、更新できるでしょうか。
まずは1本目。
"安定感のある、シンプルで精緻な抽象画" というものを、
私はどうやら好きらしい、と気づかせてくれた、
オットー・ネーベルの回顧展についてです。
*~*~*~*~*~*~*~*~*
*~*~*~*~*~*~*~*~*
子どもの時、お絵描きあそびをした記憶のある人は、多いと思います。
私自身も、何歳の頃からかは忘れてしまいましたが、お絵描き帳を買ってもらい、
好きなアニメや漫画の登場人物、絵本や物語のお気に入りな場面などを、
作者や挿絵画家の絵を真似しながら、描いては楽しんでいた思い出があります。
そうした中で、ほんの時々ですが、
具体的な、キャラクターだとか、場面や情景とかではなく、
○や△や□、線、点などの、シンプルな形を紙面に散らしていき、
同系色のグラデーションで彩っていくのが好きで、描いたりもしていました。
オットー・ネーベル展のメインビジュアルである、
「ナポリ(「イタリアのカラーアトラス(色彩地図帳)」より)」を見た時、
ふいに蘇ってきたのは、そんな、懐かしい記憶でした。
この人、好きなタイプの画家かもしれない ・・ 。
正直、名前もはじめて聞く方でしたが、
その色づかいや、幾何学的なフォルムの積み重ねに魅かれて、
相変わらずの会期終了間際ながら、足を運んでみたところ、大正解!
とても興味深く、充実した鑑賞機会を得ることができました。
本展の構成は以下の通りです。
(印象に残った作品は、タイトルを記します)。
プロローグ オットー・ネーベル ―「シュトゥルム」と「バウハウス」時代の芸術家
■展示作品:24点
◇無題(1925年3月発行「シュトゥルム」第16巻、第3号、45ページに掲載)
1. 初期作品
■展示作品:16点
◇コッヘル、樅の木谷(1925年)
◇避難民(1935年)
◇スケッチブック「ヘルヴェティア1、ベルン、ムルテン、モンティリエ(ムンテリアー)」(1933年)
◇いにしえの庭に生い茂る(*パウル・クレー作 1919年)
◇恥辱(*パウル・クレー作 1933年)
2. 建築的景観
■展示作品:8点
◇聖母の月とともに(1931年)
3. 大聖堂とカテドラル
■展示作品:5点
◇連作<パリのおみやげ>より(1929年)
◇青い広間(1930年、1941年)
◇煉瓦の大聖堂(1934年、1947年)
◇緑の隠遁所への門(1936年)
4. イタリアの色彩
■展示作品:10点
◇『イタリアのカラーアトラス(色彩地図帳)』(1931年)
◇シエナIII(1932年)
5. 千の眺めの町 ムサルターヤ
■展示作品:5点
6. 「音楽的」作品
■展示作品:10点
◇アニマート(生き生きと)(1938年)
7. 抽象 / 非対象
■展示作品:23点
◇赤く鳴り響く(1935年、1945年)
◇黄色がひらひら(1939年)
◇輝く黄色の出来事(1937年)
◇小さな世界4(*ワシリー・カンディンスキー作 1922年)
8. ルーン文字の言葉と絵画
■展示作品:16点
◇冬の構成(1940年)
◇満月のもとのルーン文字(1954年)
9. 近東シリーズ
■展示作品:4点
10. 演劇と仮面
■展示作品:11点
11. リノカットとコラージュ ― ネーベルの技法の多様性
■展示作品:8点
◇ヴェールの舞(1959年)
私は黄色系の色が結構好きなので、事前に出展作品を公式サイトで見ていた時も、
黄色系をメインカラーにしたり、ポイント的に配色している絵が、特に好印象だったのですが、
実際、展示会場で実物を見たところ、それらの作品ももちろんステキながら、
赤色系のグラデーションが際立って美しいという、驚きがありました。
また、細かくこまかく、何色もの彩りを緻密に重ねていく筆遣いも素晴らしく、
まるで、様々な色に染められた縦糸、横糸で織られたツイードみたいで、圧倒されました。
オットー・ネーベルという人は、画家としてだけではなく、
建築技術を学び、俳優としても舞台に立ち、詩作も手がけた多才な方なのですが、
彼の活動した時期は二つの大戦期と重なっており、WWIでは軍役中に戦争捕虜を経験し、
ナチスが政権を握って以降は、故国ドイツからスイスへの亡命を余儀なくされました。
本展では動画なども使い、世界史的にも、美術史的にも、
当時の時代背景について丁寧な解説があり、いろいろと思いを巡らせながらの鑑賞でした。
1年の終わりに、良い展覧会を見ることができて満足です♪
年内にアップしたいレビュー記事が、あと3本あるのですが、
果たして無事に、更新できるでしょうか。
まずは1本目。
"安定感のある、シンプルで精緻な抽象画" というものを、
私はどうやら好きらしい、と気づかせてくれた、
オットー・ネーベルの回顧展についてです。
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オットー・ネーベル展 ― シャガール、カンディンスキー、クレーの時代 ◇於:Bunkamura ザ・ミュージアム ◇会期:2017.10.7.(土)~12.17.(日) ◇鑑賞日:2017.12.15. |
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子どもの時、お絵描きあそびをした記憶のある人は、多いと思います。
私自身も、何歳の頃からかは忘れてしまいましたが、お絵描き帳を買ってもらい、
好きなアニメや漫画の登場人物、絵本や物語のお気に入りな場面などを、
作者や挿絵画家の絵を真似しながら、描いては楽しんでいた思い出があります。
そうした中で、ほんの時々ですが、
具体的な、キャラクターだとか、場面や情景とかではなく、
○や△や□、線、点などの、シンプルな形を紙面に散らしていき、
同系色のグラデーションで彩っていくのが好きで、描いたりもしていました。
オットー・ネーベル展のメインビジュアルである、
「ナポリ(「イタリアのカラーアトラス(色彩地図帳)」より)」を見た時、
ふいに蘇ってきたのは、そんな、懐かしい記憶でした。
この人、好きなタイプの画家かもしれない ・・ 。
正直、名前もはじめて聞く方でしたが、
その色づかいや、幾何学的なフォルムの積み重ねに魅かれて、
相変わらずの会期終了間際ながら、足を運んでみたところ、大正解!
とても興味深く、充実した鑑賞機会を得ることができました。
本展の構成は以下の通りです。
(印象に残った作品は、タイトルを記します)。
プロローグ オットー・ネーベル ―「シュトゥルム」と「バウハウス」時代の芸術家
■展示作品:24点
◇無題(1925年3月発行「シュトゥルム」第16巻、第3号、45ページに掲載)
1. 初期作品
■展示作品:16点
◇コッヘル、樅の木谷(1925年)
◇避難民(1935年)
◇スケッチブック「ヘルヴェティア1、ベルン、ムルテン、モンティリエ(ムンテリアー)」(1933年)
◇いにしえの庭に生い茂る(*パウル・クレー作 1919年)
◇恥辱(*パウル・クレー作 1933年)
2. 建築的景観
■展示作品:8点
◇聖母の月とともに(1931年)
3. 大聖堂とカテドラル
■展示作品:5点
◇連作<パリのおみやげ>より(1929年)
◇青い広間(1930年、1941年)
◇煉瓦の大聖堂(1934年、1947年)
◇緑の隠遁所への門(1936年)
4. イタリアの色彩
■展示作品:10点
◇『イタリアのカラーアトラス(色彩地図帳)』(1931年)
◇シエナIII(1932年)
5. 千の眺めの町 ムサルターヤ
■展示作品:5点
6. 「音楽的」作品
■展示作品:10点
◇アニマート(生き生きと)(1938年)
7. 抽象 / 非対象
■展示作品:23点
◇赤く鳴り響く(1935年、1945年)
◇黄色がひらひら(1939年)
◇輝く黄色の出来事(1937年)
◇小さな世界4(*ワシリー・カンディンスキー作 1922年)
8. ルーン文字の言葉と絵画
■展示作品:16点
◇冬の構成(1940年)
◇満月のもとのルーン文字(1954年)
9. 近東シリーズ
■展示作品:4点
10. 演劇と仮面
■展示作品:11点
11. リノカットとコラージュ ― ネーベルの技法の多様性
■展示作品:8点
◇ヴェールの舞(1959年)
私は黄色系の色が結構好きなので、事前に出展作品を公式サイトで見ていた時も、
黄色系をメインカラーにしたり、ポイント的に配色している絵が、特に好印象だったのですが、
実際、展示会場で実物を見たところ、それらの作品ももちろんステキながら、
赤色系のグラデーションが際立って美しいという、驚きがありました。
また、細かくこまかく、何色もの彩りを緻密に重ねていく筆遣いも素晴らしく、
まるで、様々な色に染められた縦糸、横糸で織られたツイードみたいで、圧倒されました。
オットー・ネーベルという人は、画家としてだけではなく、
建築技術を学び、俳優としても舞台に立ち、詩作も手がけた多才な方なのですが、
彼の活動した時期は二つの大戦期と重なっており、WWIでは軍役中に戦争捕虜を経験し、
ナチスが政権を握って以降は、故国ドイツからスイスへの亡命を余儀なくされました。
本展では動画なども使い、世界史的にも、美術史的にも、
当時の時代背景について丁寧な解説があり、いろいろと思いを巡らせながらの鑑賞でした。
1年の終わりに、良い展覧会を見ることができて満足です♪