遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

我が国の防衛態勢、なかんずく自衛隊の態勢、隊務運営は、与えられる権限・資源が所要と甚だしく乖離

2016-11-01 23:58:58 | 東シナ海尖閣諸島
 尖閣諸島への中国の海空での攻勢が強まっています。「領土問題の紛争はない」とする日本の姿勢に対し、紛争を引き起こし、領土問題で紛争中であることを世界にアピールしようと、挑発しているとの説が増えています。本筋は、米国が日米安保の対象としている根拠が、日本の管理下にあることだとしているので、中国の管理下に置く実績を創ろうとしているのですね。現に、近年では、近海での中国漁船の管理は、「海監」が実施しており、石垣島の漁船など日本の漁船は近づけなくなっていて、海保も日本の漁船が近づかない様指導する実態となってしまっています。
 そこへ、遂に中国の軍艦や戦闘機が侵入する事態にレベルアップされてしまっていることは、諸兄がご承知の通りです。
 挑発する中国は、自衛隊との衝突を誘っているとの見方ですね。
 変化しているこの状況に、日本の国防体制の対応は出来ているのでしょうか。
 

危うし尖閣諸島、南西防衛努力は焦眉の急 自衛隊に対する国民の一致団結した支持が不可欠 | JBpress(日本ビジネスプレス) 2016.11.1(火) 横地 光明

 我が国の安全保障の当面の緊急課題が、北朝鮮の核ミサイルの脅威に対する対応措置をいかに構築するかと、中国が日に日に圧力を加えている南西諸島(とりわけ尖閣)への武力行使に対し、これを抑止し侵害されれば速やかに奪還できる有効な防衛態勢
をいかに整備することにあることは言うまでもない。

 北朝鮮の核ミサイルの脅威に対してはイージス艦への早期の「SM-3ブロックⅡA」や「THAAD」、高性能改良「PAC-3」の導入が必要だが
防衛的な拒否的抑止だけでは不十分
である。
やむを得ない事態には発射基地を叩く手段(例えば長距離の弾道・巡航ミサイルや有人無人爆撃機など)を保有し懲罰的抑止力能力を整備することが欠かせない
。また特殊部隊その他による日本海沿岸に多数存在する原発基地の防護や化学兵器テロ対策も疎かにできない。

南西諸島防衛のためには米軍のように水陸両用作戦を専門とする海兵隊1~2個師団を持ち大規模な海上・航空機動を可能とする艦艇や航空機、敵前上陸のための舟艇・水陸両用車、これを火力支援する艦隊、専門航空団、さらに固有の兵站部隊を整備することが望ましい

 また沖縄に配備されている貧弱な名前だけの陸自の第15旅団の防御力を格段に強化するため勢力の拡大・高性能対空ミサイル、さらに長射程の対艦ミサイルの早期展開が必要であり、また本州などからの緊急増援部隊のみならず弾薬燃料などの兵站物資輸送手段として固有の海上経空輸送手段を保有することが欠かせない。
 加えて陸海空自衛隊はその能力向上のため、2次的隊務は極力割愛しそのために専念すべきだろう。
 この観点からある防衛大臣がかつて「
海洋国家で海兵隊を持っていないのは日本だけ
だ、周辺諸国を見よ」とその必要性に言及した。確かに中国・韓国をはじめ台湾はもちろん、タイやインドネシア、フィリピン、ベトナムに至るまで海兵隊や海軍歩兵(陸戦隊)を保有している
 また某幕僚長は、
南西方面島嶼防衛のためには陸自の定員2万5000を海自に移し海兵部隊を整備
することが欠かせないと主張した。

 以上は防衛当局も十分に認識している。しかしながらこれが容易にできない事情が存在し、関係者はこれをいかにして達成するかに心を砕いているのである。
 以下、南西防衛に関しその実態を顧みてみよう。

■南西方面防衛施策のジレンマ
 我が国においては自衛隊や内局を含む防衛当局が、防衛所の緊急所要をいかに要求しても政治・社会はこれを容易には許容しないのである。
「戦争は他の手段を以ってする政治の延長」
(クラウゼヴィッツ)であるし、民主主義国家においてはシビル・コントロール(Civil Control)の原則上、軍事は政治に従わなくてはならないが、その政治は国民の大方の意志に支配される。
その我が国民はなおも米国の占領政策によって度を越した反戦平和意識が牢固として刷り込まれたままで、また与えられた憲法が戦力保持を禁じ・武力行使を封止し・交戦権を否認したため、国民の安全保障意識は今なお現実無視の幻想の世界にある。
 このため、専守防衛、廃止されたが基盤的衛力構想、防衛費1%枠、周辺諸国に脅威を与えない防衛力などの軍事的合理性に悖る防衛政策を強いられてきた

 加えて最近の国際情勢と我が国の国際的立場上国際平和活動や周辺軍事情勢の緊張化から
政府は自衛隊の任務役割を拡大させながらも、その勢力や予算上の配慮が少なく自衛隊の能力と任務は著しくバランスを失している
<中略>


 このため政府が、驚天動地的自衛官増員を図らなければ本格的海兵隊の創設は不可能である。
 小規模の海兵隊の保有は人事・教育・装備・兵站・管理のため独自の組織を必要とし極めて不経済になる。
 旧軍では陸軍が広島第5師団と善通寺第11師団に上陸作戦の任を与えて、当時の敵が薄弱であったとは言え中国・南方作戦の上陸作戦を成功裏に実施し、さらに船舶工兵部隊が舟艇による機動輸送を担当した実績がある。したがって陸自がその機能を持つことは不合理ではない。

■任務に対する陸自の悲壮な取り組み
北方の備えての在北海道師団・旅団は重装備のままだ。これは単にその侵攻の脅威の抑止対処ためではなく、力を信奉し北方4島の軍備強化を図っているロシアへの我が国の最小限の防衛意志表示である。
 しかし、統合機動防衛力構築のためにその他の師団・旅団からは世界の軍事常識を覆し、島嶼作戦にも有効な戦力の骨幹である戦車(戦場の王者)、野砲(戦場の女神)をあえて全く外す処置を取らんとしている。
 これは部隊の軽量化のためのみならず、
限られた勢力で南西方面の防衛力強化
のための所要部隊整備のための勢力捻出と必要な新装備取得と基地の設定ならびにそれらに伴う兵站能力確保のための予算確保の必要に迫られるための苦肉の策である。
 また我が国は世界最高の濃密高速の陸海空交通インフラを持っているのに自衛隊は緊急展開に不可欠な輸送力確保のためのその協力確保に苦しめられている。さらにサイバー戦など新しいドメーンへの対応を忘れてはならないものがある。

 かかる状況の中で、第一義的任務でない災害派遣のための大規模演習や、なけなしの大量の弾薬を消耗しての無意味なこけおどしの「火力総合演習」にうつつを抜かしているのは、あたかも北朝鮮軍の馬鹿げた壮大な軍事パレードに似て全く何事かとの批判がある。
 しかし我が国おいては目下日本列島全体で巨大震災の発生が確率高く予想される事態で、国民の生命財産を守るべき自衛隊が、無為に傍観することは許されないものがある。

<中略>


 これを要するに我が国の防衛態勢、なかんずく自衛隊の態勢、隊務運営は、許される範囲で知恵を絞り、汗水を流し、現下の我が国に対する脅威に對応せんと最大の努力が払われているが、
問題は与えられる権限・資源が所要と甚だしく乖離し、国民と社会の協力が薄弱で時には阻害されていることなのだ。

国防は国家民族の興亡の懸る至高の課題で国民が一体となり国家の総力を挙げなければならない。
 しかるに我が国社会ではある有名なノーベル賞作家が「防衛大生を同世代の恥辱」と侮辱したり、事実上国家の禄を食む国立大学や学術会議が技術水準こそが国防力の中核なるのに防衛技術研究協力を拒絶し自衛官の研修教育を拒んでいることに象徴される異常な状態にある。
 すなわち
我が国の常識は世界の非常識で、世界の常識は我が国では通らない
のである。
 肝心な
政府も自衛隊と自衛官に軍と軍人の使命を与えながら行政機関・公務員の地位権限のまま放置している。さらに政府はこともあろうに(S28.10.4)、「自衛官が捕虜となる事態は想定されない。仮令捕虜になってもその扱いはジネーブ条約によらなくても普遍的人権基準や国際人道法の原則精神に従うべきだ」と安閑として加盟しているジュネーブ条約(捕虜の権利)適用を態々排除する見解
を示した。
 これは交戦権にからんでの憲法問題の惹起を避けたためだろうが、自衛隊は名称いかんにかかわらず捕虜規定の条件を満たしている。
 しからばこの政府見解は国家の命に従い身命を懸けて任務に服さなければならない
自衛官の命をことさら軽視しているとしか言いようがない
。これは自衛官の士気に致命的影響を与えることを避け得ない。

 したがって、我が国の防衛問題を論ずるにあったっては、この
国防に対する国家社会の異常な全体システムこそ真っ先の問われるべきで、識者はこれを間違えてはならない。

 我が国の防衛態勢、なかんずく自衛隊の態勢、隊務運営は、与えられる権限・資源が所要と甚だしく乖離していると横地氏は指摘されています。
 北朝鮮のミサイルに対する防衛体制、南スーダンでの駆けつけ警護など、自衛隊の任務は、国際情勢の変動で増える一方ですが、当たられる権限や資源は追いついていないとの指摘で、ここては尖閣に焦点をあてて述べておられます。

 経済成長が失速し、外交政策でも失政が続く習近平政権。来年のチャイナセブンの改選に向けて兼職闘争が激化するなか、独裁体制の強化を推進し、自らを、毛沢東、鄧小平なみの「核心」と位置付けることにも成功しています。がしかし、共青団派や江沢民・上海閥の抵抗は途絶えたとはいえず、南シナ海での仲裁裁判所の裁定完敗の失政挽回に、ドゥテルテ大統領の懐柔に努めている物の、国内外からの追及を逸らすべく、東シナ海での活動の活発化を進めているのですね。
 岸田大臣が口先だけの抗議をしている日本の現状ですが、口先だけの抗議や、専守防衛でしか反撃出来ない自衛隊を見透かした中国は、侵略・挑発をエスカレートさせているのですね。
 安保法制の改善や、南西諸島での配備強化を進めてはいますが、野党の「戦争法案」呼ばわりや、基地(米軍も自衛隊も)反対などで、中国や北朝鮮の軍備拡大に対応できているとは言えません。
 自衛隊の態勢、隊務運営は、脅威に對応せんと最大の努力が払われているが、国民と社会の協力が薄弱で時には阻害されている。国防は国家民族の興亡の懸る至高の課題で国民が一体となり国家の総力を挙げなければならない。我が国の常識は世界の非常識で、世界の常識は我が国では通らないと唱えておられますが、全く異論はない話です。
 これまでは、米国の核の傘の下で護られていた日本。内向きになった米国。攻勢を強める中国と北朝鮮。日本を自分たちで護るためにどうするか。日本国民が自覚・団結せねばならない時がきているのですね。古くは蒙古襲来、明治維新でも、日露戦争でも、太平洋戦争敗戦時(一時の占領下時代はありましたが)でさえも、他国の植民地化を防ぎ独立国を守り続けてきた先人たち。今の我々の時代に、他国の侵略を許すわけにはいきませんね。



 # 冒頭の画像は、熊本震災時に救援物輸送支援をしていただいた、米海兵隊のオスプレイ




  この花の名前は、ガーデンユーフォルビア


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日本は国境を守れるか (プレイブックス・インテリジェンス)
日本の国境 (新潮新書)
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