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遊爺雑記帳

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中国共産党中央規律検査委員会 初めて習派の天津市トップ・黄興国を規律違反で調査

2016-09-13 23:58:58 | 中国 全般

 政権基盤を強めるため、汚職追放の御旗のもとに政敵を駆逐してきた習近平。ところが、習派が抑えているはずの党中央規律検査委員会が、習近平に近い天津市トップの黄興国・同市共産党委員会代理書記(兼市長)を重大な規律違反の疑いで調査していると発表したのだそうです。
 これまで粛清された対象には、習派は含まれておらず、初めての習派からの摘発となり、驚きが広まっています。
 習派からの摘発者が出たことについては、対抗勢力の、江沢民・上海グループと胡錦濤・共青団派が結託した習派への逆襲だとの見方と、習近平が、天津事故の責任追及をしていなかった自派の黄氏を摘発することで公平性をアピールし、共青団系のさらなる粛清に出るとの見方に分かれている様です。
 

中国共産党 天津市トップ摘発 習派幹部 規律違反の疑い (9/13 読売朝刊)

 【北京=竹腰雅彦】中国共産党の調査機関・中央規律検査委員会は10日、習近平国家主席に近い天津市トップの黄興国・同市共産党委員会代理書記(兼市長)を重大な規律違反の疑いで調査していると発表した。指導部メンバーの入れ替えを行う来年秋の党大会を控え、党内では人事を巡る主導権争いが強まっている。黄氏摘発は権力闘争の激化を反映した可能性が高い

 
黄氏は浙江省出身で、同省トップを務めた習氏と関係を構築。「習氏の権威向上を目的とした『忠誠競争』の先頭走者」
(党関係者)と見なされ、昨年8月の天津爆発事故の責任も問われず、党政治局員昇格の可能性も指摘されていた。
 
習派の摘発は初めて
で、香港メディアは予想外だったと報じている。党内で黄氏の汚職などについて告発があったとの情報もある。
 習政権2期目の指導部人事を巡り、習氏は権力基盤を盤石にするため、地方勤務時代の部下ら自派の積極登用を進めてきた。一方、王岐山中央規律検査委書記による汚職摘発を通じ、政敵の影響力をそいでいる。
 中央では江沢民元国家主席派の周永康・前党政治局常務委員と徐才厚、郭伯雄の両前中央軍事委副主席、胡錦濤前国家主席の最側近だった令計画・前党中央統一戦線工作部長を摘発。地方トップ級では、周氏人脈の周本順・河北省党委書記、蘇樹林・福建省長らを摘発した。
 
党内では来年秋の人事で「江派と、胡氏の出身母体だった共産主義青年団(共青団)系がどれだけ力を残せるか」(同)に注目が集まっている。
 習政権では、経済減速や南シナ海を巡る仲裁裁判での「全面敗訴」など内外政策の失点が続いている。黄氏の摘発は、江氏ら党長老が、習氏が進める自派登用を突き上げ、政権批判が強まる中で行われた。習氏が今回の自派幹部の摘発で公平性をアピールし、共青団系のさらなる粛清に出るのではないかとの見方もある。

 来年秋のチャイナセブンの改選での椅子取り争いが激化するなかでの、初の習派の摘発者。
 国内の経済成長の失速、外交での失政が続き、粛清への反撃を期す対抗勢力からの追及圧力が増す中で、自派幹部の摘発で公平性をアピールし、共青団系のさらなる粛清に出るのではないかとの見方があるのだと。。

 習氏による露骨な権力集中と粛清統治に抵抗するため、江沢民・上海グループと胡錦濤・共青団派が連携し、反撃を開始したと言うのは、産経の記事。
 

非主流派が粛清統治に「反撃」開始か 党大会へ主導権争い激化 (9/13 産経)

 習近平国家主席の側近として知られる黄興国氏の失脚劇は、習氏一派の粛清統治に反発する党内のグループによる“反撃”の一環とみられる。党関係者によれば、反腐敗を担当する党規律部門は習派が基本的に押さえているが、黄氏を調べている気配は全くなかったという。反対派が黄氏周辺の汚職の証拠をひそかに集めて会議に提出し、党の規律部門に「立件」を迫った
可能性も指摘されている。
 党関係者によれば、9日に北京で短時間の政治局会議が緊急に開かれた。黄氏の問題が協議されたとみられ、習氏に反発するグループから、黄氏の親族の不正蓄財の証拠などが提出されたとの情報もある。

 中国共産党内部では、習氏一派のほか、胡錦濤・前国家主席や李克強首相らにつながる共産主義青年団(共青団)出身者のグループ、それに江沢民・元国家主席ら党長老グループ(江派)の主導権争いが激化している。最高指導部の顔ぶれが大幅に入れ替わる党大会が来秋に迫ってきたからだ。
 最高指導部や党長老が出席する今夏の
北戴河会議の後、雲南省や山西省など複数の省トップの人事異動が行われ、共青団派の幹部が次々と引退した。代わって習氏の地方勤務時代の複数の部下が登用されるなど、習派が人事面で主導権を握ったかのような印象
があった。
 現在7人いる最高指導部メンバーの中で、習氏と李首相を除く5人は来秋の党大会で引退する予定だ。
次期最高指導部入りが有力視される候補者のうち共青団派は3人いるが、全員が最高指導部に入る事態になれば、政権の主導権を共青団派に握られてしまう
。習派はそれを阻止すべく躍起になっているという。

 こうした中で起きた黄氏の失脚劇について、ある党関係者は、「
習氏による露骨な権力集中と粛清統治に抵抗するため、江派と共青団派が連携する場面が最近増えている
」と指摘。さらに今後も「本格的に反撃する可能性が高い」とし、権力闘争が激化するとの見方を示す。
 習派と共青団派はもともと、人事や経済政策などの面で激しく対立してきた。江派は当初、習氏を支援していたが、習氏は自らの権力基盤強化のために江派の大物政治家を次々と失脚させた。これに反発した
江派が最近、習氏の暴走を食い止めるべく共青団派と手を組む場面が増えつつある
-というのだ。

 党古参幹部は、「党内対立はかつてないほど先鋭化している。
権力集中を進めているようにみえる習氏だが、足元は実に不安だということが証明された」と話している。

 来年秋の党大会での人事について話し合われたとされる、「北戴河会議」の内容情報がなかったのですが、雲南省や山西省など複数の省トップの人事異動が行われ、共青団派の幹部が次々と引退し、代わって習氏の地方勤務時代の複数の部下が登用されるなど、習派が人事面で主導権を握ったかのような印象があったのだそうです。

 がしかし、チャイナ7の内、習近平と李克強を除く5人が入れ替えとなるとみられる(汚職摘発を主導した王岐山を残す案がある)なかで、有力候補に3人の共青団派がいるのだそうで、この3人が選ばれれば、李克強と併せて過半数の4人が共青団派となり、習近平は主導権を奪わることになる情勢なのだそうです。
 勿論、習派はそれを阻止すべく躍起になっているのだと。

 外交での失点の挽回を、G20にかけた習近平でしたが、成果が得られなかったことは、衆知のことですね。
 

G20、習近平氏の挫折 対米“大国外交”は幻に :日本経済新聞 編集委員 中沢克二 2016/9/7 6:30

<前略>
■習・オバマの微妙な西湖散歩
 中国側が、G20の成功を演出するため目玉の一つにしたいイベントがあった。米大統領、オバマの大統領任期中の最後の訪中である。
 習近平とオバマは9月3日夜、「人間の楽園」と称される杭州の名勝、西湖のほとりを2人で散歩した。特別待遇である。その途中で腰を下ろし、龍井茶で喉を潤した。とはいえ両人の表情は今ひとつさえない。
 それもそのはず。これに先立つ、中国での最後の米中首脳会談と習近平・オバマの夕食会は愉快なものではなかった。
 
習近平にとって対米関係での最大の課題は、実は南シナ海問題ではない。2013年6月の訪米時に華々しく打ち出した米国との「新しい形の大国関係」を米国に受け入れさせるメドをつけること
だった。米中両国が互いに“核心的な利益”を尊重し、事実上、世界を仕切るという野心的な試みだ。
 もし、これを半分でも達成できれば、南シナ海問題などは大筋、解決したも同然である。しかし、
ついにオバマの時代には実現しないことがはっきりした。習近平にとっては大きな挫折
だった。
 中国の国営メディアの報道は、さも米中の新しい形の大国関係の構築が進んでいるかのように報じている。だが、
オバマはこれに一切、触れていない。会談では、南シナ海問題について国際法に基づく解決に言及した。先の仲裁裁判所による判決の受け入れを中国に迫っていた

 この「大国関係」という課題は、中国の内政上も大きな問題をはらむ。
習近平は、来年の共産党大会の最高指導部人事を主導したい。そのためには外交上の実績も重要だ。だが、米国との関係を中心にした対外戦略は思うように動かない。これでは、自ら掲げた「中国の夢」の実現も危うい

 うかうかしていると、うるさい長老らに
習近平の失点として突かれる恐れさえある
。習近平としては、気候変動問題以外、目立った成果もないのに、オバマとにこやかに歓談するわけにはいかなかった。
 オバマも似ていた。南シナ海問題を巡っては、
スカボロー礁で中国のしゅんせつ船が動き出したとの情報をフィリピン側が明らかにしていた。笑顔で習近平と会談していれば、「アジア回帰」を宣言した米国の沽券(こけん)に関わる


■杭州空港での米中のケンカ
 この微妙な米中関係を象徴する事件があった。舞台は、9月3日、オバマが大統領専用機、「エアフォースワン」で到着した杭州空港である。
 米側の随行職員らが中国側の警備担当者からいわれのない制止を受けた経緯が大きな話題になった。特に問題化したのは、国家安全保障担当の大統領補佐官、ライスが専用機から降りてきたオバマに近付いた際、中国の警備担当の公安要員が強く遮ったことだ。
 「ここは我々の国だ! 我々の空港だ!」。さらに中国側の男性警備担当者は、ホワイトハウスの女性担当職員に声を荒らげた。大統領の外遊時、同行の記者団は、専用機のタラップの下で大統領を見守るのが慣例である。だが、中国側は記者らの移動を許さず、退去を求めた。米側担当者が強く抗議すると、中国の要員は怒鳴り返した。
 今回、オバマが「エアフォースワン」で到着した際、中国側は赤じゅうたんを敷いたタラップを用意していなかった。オバマは専用機に付属するタラップを降ろし、そこから登場した。異例である。
 出迎えの方式、警備を巡って米中双方が事前にやり取りしたが、その際に摩擦が起きたとされる。結果として中国側がタラップを用意しなかったため、多くの人々が「中国側の嫌がらせ」と受け止めた。中国側は、中国系紙などを使って「米側の要請だった」と反論している。
 オバマ自身は4日の記者会見で、この問題について「深読みしなくてよいのではないか」「初めてではないし、中国だけでもない」と語り、受け流した。米国は他より航空機、ヘリ、車、警備員が多いためホスト国からすれば多過ぎるように思えるのだろう、という説明である。
 真相はなお不明である。いずれにせよ、この後味の悪い一連の経緯は、今の米中の微妙な関係を表しているのは確かだ。
 後話がある。ライスの制止問題である。「(中国側の)公安の現地担当者が、オバマ側近であるライスを知らなかったようだ。こんなつまらない話題にG20が乗っ取られてしまったのは残念だ。大きな失態だ」。中国側は頭を抱えている。
 北京や上海といった国際都市なら、公安担当者ももう少し洗練されている。杭州だからこそ発生した問題だったかもしれない。
 国際会議に慣れていない地域ならではの問題は、先に紹介した工場閉鎖も同じだ。「明日から工場を停止せよ」。ある工場への通告は、なんと操業停止日の前日だった。G20が終わるまで合計16日間も操業を止めろという命令なのに、何の補償措置もない。「中央の命令だから」。その一言だった。G20成功の演出には必要という判断だった。
 休業による経済的損失は計り知れない。もしも、民主主義国家だったなら、政府を相手取った訴訟が起きるのは必至だ。

■閉幕に合わせた北朝鮮のミサイル発射
 G20の期間中、風光明媚(めいび)な西湖のほとりはほぼ全てが封鎖され、一般人の立ち入りが禁止となった。ここは世界遺産に登録されており、その景観は中国の一般人民ばかりか、世界の人々も価値を認める共通の文化遺産である。
 しかし、西湖の湖上を利用した大仕掛けの舞台、花火も一般市民は見ることができなかった。巨額の資金を投入しているのに、である。そればかりか、市民は一週間の休みを言い渡されて、外地に行くように勧められた。
 「全ては最高指導者のため。これはかつての中国皇帝の発想だ」。こんな恨み節も杭州市民から聞かれた。

 強権姿勢はG20の会議の運営自体もそうだった。日本政府が現地のホテルに設置したプレスセンターでは日中首脳会談などの記者ブリーフなどが行われた。しかし、わざわざ世界各国から集まった記者らが入れない。
 中国政府が警備上の理由を盾に、このホテルに入ることができる人数を一方的に制限したのだ。杭州空港での米中のトラブルと同種の問題だった。
 この姿勢は、今回、習近平が、首相の安倍晋三との日中首脳会談に踏み切った理由とも重なる。
安倍を真の意味で歓待はしない。だが、G20の成功の演出には、近隣の大国と2国間会談は必要だった。これが日中首脳会談で余り多くの成果がなかった理由の一つ
でもある。

 習近平による、習近平のためのG20――。一大イベントは5日、「大成功」という自画自賛の中で閉幕した。
 その日、
習近平にとってもう一つ、いまいましい事件があった。関係改善を進めたはずの北朝鮮によるミサイル発射である。G20の閉幕日に合わせた中国への嫌がらせ。習近平はそう受け止めたに違いない。中国を取り巻く国際情勢はかくも厳しい。(敬称略)

 来年秋の党大会に向けたチャイナセブンの椅子取り争い。今後、ますます激化していくのでしょうが、虎狩りで政権基盤を強めたかに見える習近平。内外政策の失政で、反攻を許す状況に追い込まれている様子。目が離せませんね。

 習近平 第二期政権人材を共青団切り崩しで獲得 - 遊爺雑記帳



 # 冒頭の画像は、西湖のほとりで龍井茶を飲む習近平国家主席とオバマ大統領




  この花の名前は、ムラサキケマン


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