遊爺雑記帳

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習近平 頻繁な軍視察の深い意味

2016-10-17 23:58:58 | 中国 全般
 最近、習近平がかなりの頻度で人民解放軍の視察を繰り返しているのだそうです。8月は、新設した、南シナ海などで対峙する米国や、中国周辺部の局地戦において、きわめて重要な役割を果たすとみられる「戦略支援部隊」。9月は、中央軍事委員会の下に新設した軍再編の核心を担う「聯勤保障部隊」の設立大会と、宇宙戦の核心を担う「ロケット軍」。10月は、前中央軍事委員会副主席で断罪された郭伯雄、徐才厚(故人)らが軍内に浸透させた腐敗という「毒」の流れを断つことが主題の、全軍の重要会議とされる「全軍大組織・軍事委員会機関各部門共産党委員会書記の専門会議」開催(習近平本人の出席は無)。
 背景には、習近平が置かれている厳しい現状があるのだそうです。
 

苦境の習主席、頻繁な軍視察の深い意味 :日本経済新聞

 最近、中国国家主席の習近平が、人民解放軍の視察を繰り返している。かなりの頻度だ。そこには今、習が置かれた厳しい環境も絡んでいる。
<中略>


■軍の足場固めの重要性認識
 なぜ、こうも頻繁に習の軍視察や、習が指示した軍の会議があるのか。かつて毛沢東は「政権は銃口から生まれる」と説いた。
苦しい場面で軍を視察し、みずからのバックに軍が控えているとアピールするのは、毛沢東以来のセオリーに沿った行動である。

 習は、清華大学を出た後、国防相だった耿飆(こうひょう)の秘書として中央軍事委員会で働いた経験を持つ。“青年時代から軍歴がある”というのが、習の自慢だ。その自信もあってか、苦しい局面で、あえて軍を訪問してきた。
 今年は、軍トップとして軍の一大再編も指揮した。しかも肝煎りの戦略支援部隊、ロケット軍などは、中国の将来の安全保障を担う核になる。習は、それを一気に作り上げた功績を掲げ、難局を乗り切り、来年の共産党大会に臨みたい。
 これだけの仕事をしたのだから、
本来、すでに足場は固まったはずだった。しかし、この中国で軍を完全に掌握するのはそう簡単ではない。なにせ無期懲役に追い込んだ郭伯雄、周永康(前最高指導部メンバー)の元部下や関係者は、なお軍や武装警察の組織内に潜んでいる。彼らは表向き習の命令を聞いたふりをしつつ抵抗している。

 それだけではない。
習の「反腐敗」で身動きが取りにくくなった官僚組織そのものが、裏であらがっている。その一端が、図らずも露呈した事件があった。

■抵抗の実相、赤裸々に語る学者ら
 この夏から秋にかけて、著名な中国の国際政治学者が内部向けに語った講演内容が大きな話題になった。それは彼の専門領域の話ではなく、内政に関して指摘した部分だった。
 
「習近平は柔らかい抵抗にあっている」
――。こう題した文章は、講演録を基に別の人物が書いて、中国の公式なインターネットサイト上に流布された。きわめて刺激的な内容だった。習がトップに就いた2012年から14年まで、苛烈な「反腐敗」運動の目新しさから大衆人気も盛り上がった。官僚らも文句を抱えながらも、従うしかなかった。
 だが、15年に一変したという。
「反腐敗」をはじめとする習の指示は、実際上無視された。聞くふりをして誰も聞いていない。そして誰も仕事をしないので、経済もどんどんおかしくなっている。
こんな内容だ。それを「柔らかい抵抗」と表現している。門外漢の国際政治学者が赤裸々に述べただけに、迫真のルポのような面白さがある。
 しかし、その内容は数時間以内に中国のインターネット、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)監視当局によって削除されてしまった。中国内の一般庶民に苦しい習を取り巻く実態が流布されてはまずい、との判断だった。講演内容はいくつかのサイト上で繰り返し流れたが、その都度削除されている。いたちごっこだ。

 この2、3年、習はずっと胸突き八丁のつらい坂を上ってきたつもりだろう。そして「反腐敗」、軍再編など力業の結果、ようやく苦しい局面から抜けられるかと思っていたら、そうは問屋が卸さなかった。目の前に再び高い壁が現れたのだ。
 
動かぬ官僚、不透明な経済、口うるさい長老たち……。17年党大会の最高指導部人事に向けて、まだまだ楽はできない。習の頻繁な軍視察は、政治情勢の厳しさを認識する彼の危機感の表れ
だろう。

 習は今後の権力闘争を優位に進めるためにも、軍の後ろ盾を必要としている。とすれば、どうしても
中国の対外政策、安全保障戦略は強硬に傾きがちになる。この点にも注意を払う必要がある。(敬称略)

 「反腐敗」の御旗の下での政敵の追い落としで、すでに足場は固まったかにみえていた習近平体制。無期懲役に追い込んだ郭伯雄、周永康(前最高指導部メンバー)の元部下や関係者は、なお軍や武装警察の組織内に潜んでいて、彼らは表向き習の命令を聞いたふりをしつつ抵抗しているのだそうです。更に、「反腐敗」で身動きが取りにくくなった官僚組織そのものが、裏であらがっているのだそうで、軍や官僚組織の完全掌握には至っていないと。
 著名な中国の国際政治学者が内部向けに語った講演録とされる、「習近平は柔らかい抵抗にあっている」と題した文章がネットで流されたのだそうです。中国の庶民に苦しい習を取り巻く実態が流布され、数時間以内に当局によって削除されたのですが、いくつかのサイト上で繰り返し流れ、削除とのいたちごっこがくりかえされているのだそうです。

 苦しい場面で軍を視察し、みずからのバックに軍が控えているとアピールするのは、毛沢東以来のセオリーに沿った行動なのだそうで、習の頻繁な軍視察は、政治情勢の厳しさを認識する彼の危機感の表れだと記事は指摘するのです。
 動かぬ官僚、不透明な経済、口うるさい長老たちの壁に直面している習近平。来年秋のチャイナセブンの椅子取り争いに向けて、厳しい政局闘争が続いている様です。
 今後の権力闘争を優位に進めるにつけ、習近平が、軍の後ろ盾を得るため、対外政策、安全保障戦略の強硬化が懸念されると指摘されています。

 かつて江沢民は、軍事費の大盤振る舞いで軍をてなづけ、反日運動を盛り上げることで世論の眼を外にそらし、政局の安定をさせていました。第二の毛沢東を目指しているとされる習近平。軍の改革、再編を進めて掌握しようとしていますが、抵抗の壁をどう乗り越えるのか、はたして乗り越えられるのか。江沢民、胡錦濤の様に、軍に飴(過去は軍事費だったが、習近平の場合は対外強硬姿勢路線といった危険度を増すもの)を与えてつなげる従来手法にもどるのか、注目されますね。



 中国 退役軍人デモ - 遊爺雑記帳


 # 冒頭の画像は、新設した「戦略支援部隊」を視察する習近平




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