ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

貴乃花親方 何のために

2017-11-21 15:54:58 | 日記
相撲は言うまでもなく日本の国技である。そのためもあってか、横綱日馬富士
の暴行事件は、連日、日本のマスコミを賑わせている。それでは、加害者(日
馬富士)と被害者(貴ノ岩)の共通の母国であるモンゴルでは、この事件はど
のように報じられているのだろうか。ネットの森で、次のような記事を見つけ
た。

大相撲の横綱日馬富士関が平幕貴ノ岩関に暴行した問題について、2人の出身
国モンゴルでは、一部メディアが貴ノ岩関の師匠の貴乃花親方(元横綱)の対
応を、日本相撲協会の次期理事長選挙への思惑と絡めて批判的に伝えた。
一方で、日本での日馬富士関に対する強い批判は、大相撲を席巻するモンゴル
勢への日本人のやっかみもあるとの見方を示す報道も出ている。
大手ニュースサイト「メデー」は暴行問題がここまで大きな騒動に発展したの
は、貴ノ岩関と貴乃花親方の責任が大きいと指摘し、日馬富士関が貴乃花部屋
へ謝罪に訪れたにもかかわらず、貴乃花親方が応じなかったことなどを問題視
した。また、貴乃花親方が相撲協会の次期理事長選で勝つために、暴行問題を
利用している可能性があるとの見方を示した。
最大手オドリーン・ソニン紙は、貴ノ岩関が暴行の場となった酒席で日馬富士
関や横綱白鵬関に挑発的な言動をしたとの日本の報道を伝え、貴ノ岩関にも一
定の非があったとの見方を示す記事を掲載した。
同紙は、人気が低迷していた大相撲はモンゴル人の活躍で人気が復活したと紹
介。暴行問題の責任を取って引退した元横綱朝青龍関の一件にも触れて、日本
人力士が大相撲のトップにいてほしいとの考えから「朝青龍関をやめさせるた
めに(日本メディアが)あら探しをした」と主張した。
                       (毎日新聞 11月20日)

私が興味深く思ったのは、モンゴルの大手ニュースサイトが、「貴乃花親方が
相撲協会の次期理事長選で勝つために、暴行問題を利用している可能性がある」
との見方を示していることである。内輪で済ますべきこの事件を、警察沙汰
にし、大事(おおごと)にして衆目にさらしたのは、次期理事長の座をねらう
貴乃花親方が、選挙に勝つための手段としてこの事件を利用したからだ、とす
るモンゴル・ニュースサイトの見方は、先に私が本ブログで披露した「権力へ
の意志」云々の見方と基本的に一致する。

ただ同紙は、この事件がモンゴル出身力士の、その共同体内部での軋轢から生
じたものであることは報じていない。この同族共同体の、その相互扶助的な掟
が、真剣勝負であるべき取り組みに、八百長をーー馴れ合いのイカサマをーー
持ち込みかねないなあなあの持たれ合いの精神から成り立っていることにもふ
れていない。

問題にすべきは、貴乃花親方が何のために相撲協会の理事長をめざすかであ
る。ただ権力欲・支配欲を充たすために、彼は理事長をめざすのだ、という
解釈も可能だろう。モンゴル出身の力士共同体を潰し、日本人がトップに君
臨する昔ながらの相撲界を復活するために、彼は理事長をめざすのだ、とい
う解釈も可能だろう。けれども、次のように考えることはできないだろうか。
モンゴル出身の力士共同体にはびこる前近代的な社会因習を打破・撤廃し、
相撲界を近代的な体質の社会へと変革するために、彼は理事長をめざすのだ、
と。

だとしたら、貴乃花親方は、マスコミに対する今の対応の仕方をまずもって改
めるべきだろう。説明責任をはじめから放棄して、ダンマリを通し、「阿吽の
呼吸を分かってくれよ」と言わんばかりの彼の今の態度には、昔ながらの親方
衆の権威主義的・前近代的な体臭がぷんぷんと漂う。近代的な相撲界の実現を
はかるのであれば、せめて関取ばなれした笑顔を浮かべて、なるべく(ミン
ト・ティーのように)弁舌さわやかに、指導者としての説明責任を果たしなが
ら、ヒマ人たちの「知る権利」にこたえるべきだろう。
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