ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

小室哲哉をめぐる舛添要一

2018-01-21 12:30:31 | 日記
音楽プロデューサーの小室哲哉が、引退を表明した。文春砲によって、看護師
女性との不倫疑惑が暴露されたことへの対応である。小室氏の妻であるKEIKO
さんは、2011年にくも膜下出血を発症し、6年経った今も闘病中だという。
週刊文春の記事は、「闘病中の妻の目を盗んで、不倫に現(うつつ)を抜かす
とは、何たることか!」という糾弾の調子に満ちている。

文春のこのゴシップ記事が世間を騒がせるのは、「そうだ、けしからん!」
と、この記事に同調する読者が少なくないからだろう。

舛添要一がこの記事に対して、ツイッターで不満を漏らしている。週刊文春に
対しては、「優れた才能がまた一つ消えていく。週刊誌による興味本位の有名
人不倫報道、いつまでこんな非生産的なことを続けるのか。日本は確実に劣化
していく」と述べ、また、この記事に同調する読者や、これに関して「正義漢
ぶってコメントする者たち」に対しては、「『汝らのうち、罪なき者まず石を
なげうて』(ヨハネによる福音書8章1〜11節)というキリストの言葉をお
くる。発行部数と視聴率、正義どころか、金儲け第一主義。日本は終わる」と
異を唱えた。

2年ほど前、マスメディアの集中砲火を浴び、東京都知事を辞任せざるを得な
かった舛添には、小室哲哉の引退騒動は、他人事とは思えなかったのだろう。
この元・著名人の胸の内には、マスメディアの興味本位の報道によって「優れ
た才能をつぶされた」との思いがあるに違いない。(「優れた才能が〈また〉
一つ消えていく」という書きぶりが、それを示している。)

ところで、「正義漢ぶって」小室の不倫疑惑を糾弾する輩(やから)に対し
て、舛添が放った批判の矢に注目したい。「自分の胸に手を当ててみろよ。お
前らは、自分が聖人で、他人さまの不倫を裁くことができる人間だとでも思っ
ているのか!」。

一夫一婦制を支える近代の婚姻道徳は、「一度交わした夫婦の契は、永遠に不
滅であるべきだ。他の男・他の女に目を奪われてはならない」と述べるが、ど
れだけの人がこの道徳の要求に応えられるだろうか。

どんなに非のうちどころのない相手でも、5年も10年も同じ屋根の下で暮ら
していれば、やがて必ず飽きが来る。粗も目につきはじめる。これはーー良い
とか、悪いとかの問題ではなくーーごく自然な人情の生理というものである。
美しい他の女に出逢えば、「お付き合いがしたい」という思いに駆られるのも、
ごく自然な人情の生理だろう。

この自然な人情の生理を、押し殺すように要求するのが、一夫一婦制の婚姻道
徳にほかならない。一度結婚した男女は、自分の生理と、婚姻道徳の間の軋轢
に悩むが、たいていの人は、やがてこの悩みをうまく飼いならす術を学んでい
く。自分を欺き、他人を欺き、何事もなかったように・・・。

ところが、著名人や政治家には、それが許されない。人知れず、うまく処理し
ていたはずの自分の感情の性欲を、ゴシップ週刊誌はこれ見よがしに暴き立て
る。読者も暇つぶしのため、自分のことを忘れ、その尻馬に乗って騒ぎ立てる。

しかし、まあ、人の噂も75日。小室さんはあと2、3ヶ月も逃げ回っていれ
ば良かったんじゃないかな。もっとも、それじゃ商売上がったりだろうけど。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする