本が好き 悪口言うのもちょっと好き

読書日記です。っていうほど読書量が多いわけではないけれど。。。

さよなら、サイレントネイビー 伊東 乾

2007-07-07 | ノンフィクション

 地下鉄サリン事件実行犯の豊田亨被告の東大での同級生である伊東乾氏による、ノンフィクションです。

 

 つい先日も、ロンドンでテロ未遂事件とスコットランドの空港に炎上車が突っ込んだ自爆テロ事件の実行犯たちの多くが、医者であったことに世界中は大変な衝撃を受けましたが、12年前のサリン事件の時に、私たち日本人も、なぜ一流大学出身のエリートたちがあんな事件に関与したのかと、大きな衝撃を受けましたよね。でも、もしこの本をちょうど読んでいなかったら、今回のテロ事件からオウムを思い出したりしなかったでしょう。 そのことが、まさしく本書で作者が訴えたかったことなんだとつくづく思いました。

 

 あれほど衝撃をうけたサリン事件なのに、教団の主だった面々が逮捕され教団が解体してしまうと、私たちの興奮はすっかり冷めてしまって、そして飽きてしまった。実は何もわかっていないのに・・・。

 

 テロリストは、私たちとは別世界の人ではない。自分もいつそうなるかわからないのだ。著者は、たまたま実行犯の豊田被告と同級生だったから、二人の運命を分けたのはほんの小さなことに過ぎないのだということに気づく。 衝撃的な出来事は、”事件”として歴史になり、都合よく解釈されていく。そしてまた、同じ間違いを人間は犯す。 だからこそ著者は、豊田被告に、そして松本被告にすべてを語ってほしいと心から願っている。われわれに、彼らの失敗から学ばせてほしいと。

 

 この本はノンフィクションとして、まとまっているとは思えない。もっともっとうまい書き手はいるでしょう。でも、著者の情熱に勝る書き手はいないでしょう。

 

 だから、もう少し著者にはこの問題に取り組んでもらいたいですね。知ることは”マインドコントロール”から身を守ることなのだから。



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