”ふくろうの本”シリーズの本をこんなにじっくり読んだのは初めてかも・・・。
ノンフィクションは好きでも、こういう形式になっているとなんとなく、教科書のようでなかなか読み切れないのです。
やっぱり自分が旅行に行こうと思うから、読み切れたのだとは思いますが、でも十分面白い本でした。
図説 オランダの歴史 (ふくろうの本/世界の歴史) | |
佐藤 弘幸 | |
河出書房新社 |
別に奇をてらうような書き方はされていないので、純粋にオランダの歴史が、非常に面白いと言えるのかもしれません。
ローマによる支配の時代から、フランク王国による支配、ノルマン人の侵攻などの時代を経て、中世を迎える。ホラント伯家、エノー伯家、バイエルン候家、ブルゴーニュ候家などの領地となりながら、最後はスペイン支配下となり、近代を迎える。
17世紀には、繁栄を誇ったオランダもイギリスやフランスといった大国の中で次々に戦争に巻き込まれ、貿易が落ち込み、また莫大な戦費の負担により18世紀には衰退が明らかになる。19世紀には、ベルギーも含めたネーデルランド王国が誕生し、国王ウィレム一世のもと経済立て直しに取り組む。社会インフラの整備や、近代的な銀行、商事会社なども設立したが、実際に破たんした経済を支えたのは、植民地から搾取して得たものであった。
第一次大戦では中立を守り続けたため大きな被害はなかったが、第二次大戦では中立を宣言したものの、ナチスドイツに占領されたため、亡命政府は連合国側につくこととなり、終戦を迎える。 戦後もそのまま植民地支配をつづけようとしたが、結局は各植民地は独立し現在に到る。
と、おぼろげな記憶で自分のためにまとめてはみたのですが、なかなかこれでは面白さが伝わらないですね・・・。
でも、この本で一番私の記憶に残ったのは、あとがきです。
”オランダ人はなかなかレトリックに長けた国民であることもわかる。天才肌といってもいい。ある著名な日本人作家が残したオランダ紀行のように、ほとんど称賛だけに終始するのも一つの書き方ではあるが、本書はなるべくバランスを心がけながら、オランダの歴史の大づかみな流れを描いてみたつもりである。”
これは、私も先日読んだばかりの司馬遼太郎のオランダ紀行への批判ですが、司馬さんにすれば、多分あちらでいろいろお世話になった方の事もあり、批判しにくかったのだろうなとはおもいましたが、かなりべた褒めで少し違和感はあったので、なんか読みながら自分のセンスを肯定してもらったようでニンマリしてしまいました。
また、”知らんかったんかい!”と言われそうですが、アンネの日記の時代背景もよくわかって、改めて、隠れ家の皆で集まってイギリスからのラジオ放送を聞き、期待を膨らませたりしていたことや、ナチスの支配下にありながらも、普通のオランダ人がユダヤ人である彼女たちを匿ったという事実の背後にある感情も、少しは理解できたと思います。
学生時代に、世界史はほんと苦手だったんだけど、もうちょっとちゃんと勉強しておくべきだったなぁ・・・とウン十年たって後悔しております。