「講談社学術文庫」というところからわかるように、本書は学術書なんですが、とても読みやすく、面白かったぁ・・・と言える一冊でした。
コーヒー・ハウス (講談社学術文庫) | |
小林章夫 | |
講談社 |
この本の前に読んだ立花隆氏と佐藤優氏の対談集「ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊」の中で、佐藤優氏が選んでいられた本でした。
佐藤氏によると、ソ連時代のモスクワにはほとんど喫茶店がなかった。理由は陰謀の場になるからなのですが、佐藤氏によると、
コーヒー・ハウスというのは喫茶店の原型になった場所なんです。ロンドンといえば紅茶ではないかと思われるかもしれませんが、イギリスに紅茶が浸透するのはインドを植民地化して以降なんですね。その前はコーヒー文化があったんです。それで、コーヒーハウスに入ると、身分や職業に関係なくみんな平等に議論する。そこから政治的な空間(公共圏)ができてきた。
とのことで、ちょっと興味をそそられて読んでみました。
17世紀半ばに初めてのコーヒー・ハウスが開店し、ピューリタン革命から王政復古へ至る時代の中で、佐藤氏が指摘したような、政論の場として発達し、その後は、新興ブルジョワジーにとって「情報センター」となり、そこからジャーナリズムが生まれてくる。また18世紀に入ると、コーヒー・ハウスごとに趣味を同じくする人たちが集まるようになり、「クラブ」が発達し、また文学論などを交わす場となり、「小説」といった新しい文学作品の形態の萌芽もこの空間と決して無縁ではない。
議会制民主主義やジャーナリズム、そして保険会社ロイドもコーヒー・ハウスが起源だったのかと感慨深いというか、歴史のダイナミズムを感じて、読みながらワクワクしてしまいました。
歴史って、本当に面白いですねぇ・・・。
21世紀のコーヒー・ハウスは、インターネット、FaceBookだったりするんでしょうか。
前記の「僕らの頭脳の鍛え方」には、サブタイトルの通り、400冊もの本の紹介があったので、また何冊か読んでみたいと思います。