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元・アメリカ国務省日本部長のケビン・メア氏による「決断できない日本」を読んだ。ケビン・メア氏といえば、「沖縄はゆすりの名人」などと発言したとされ、日本部長を解任されたことで有名だ。最近は「たかじんのそこまで言って委員会」などテレビにも出演している。
本では、「ゆすり発言」は策略であり根拠がないということ、東日本大震災や福島原発事故への対処について日本政府の無能さ、民主党政権への不信感、日米同盟がいかに肝要であるか、などが語られていた。
後半では安全保障のことが中心に語られ、中国が最大限に警戒すべき対象であること、日米同盟の重要性、アメリカは必ず日本を守ること、などが強調されていた。メア氏によれば、もし日本が実効支配する地域に外国(中国など)の侵略があれば、アメリカが日本を助けることは「あまりにも自明なこと」なのだそうだ。氏は本の中でアメリカという国家を代表し、「アメリカは・・・」という書き方を何度もしているが、その辺は「元・国務省幹部であるケビン・メアの考えでは・・・」と読み替えた方がよさそうである。アメリカの政府と議会が、対日政策・対アジア政策において、完全に一枚岩であるとは思えないからだ。
メア氏が日米の強固な同盟を何度も強調してくれることはありがたいのだが、少し疑問もあった。日米安保においてアメリカは日本を守る義務があるが、その反対に日本がアメリカを守る義務はなく、日本はただアメリカに基地を提供すればよい、というのが氏の説明である。そうであれば確かに、日本側のメリットは明確である。では、日米安保におけるアメリカ側のメリットは何なのか? なぜわざわざ日本に基地を置き、リスクを冒してまで日本を守ろうとするのか? その点について、氏はまったく言及していない。ただ「日本を防衛するのは当たり前のこと」とくり返すのみである。まさか、アメリカが純粋な善意のかたまりだとでも言うのだろうか? そんなわけがないだろう。
あと、日本の核武装の可能性についても言及しているが、氏によれば、日本が核兵器を持ったとしてもどうせ使えないので防衛費の無駄、とのことである。核兵器など持っていてもそうそう使えないことは、他の核保有国であっても同じことだ。なぜ日本だけ「核を使えない」と断定できるのか、その辺の説明が一切なく、よく分からなかった。そういえば、同盟国であるはずの日本が核武装することについて、最も強烈に反対しているのはアメリカであった。
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