映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

アウェイ・フロム・ハー ジュリー・クリスティ

2009-12-15 21:01:22 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
ジュリー・クリスティというとデイヴィッドリーン監督の大作「ドクトル・ジバゴ」で見せた美しい青い瞳が印象的である。その彼女が40年の月日を経て突如ゴールデン・グローブ賞の主演女優賞を取って、オスカー主演女優賞の最有力候補になり2度目のオスカーをとるかと思わせた。そんな作品である。認知症の女性を見事に演じる。カナダオンタリオの雪景色の風景もよく、しっとりと何かを考えさせる作品だ。

ジュリークリスティは元大学教授だった夫とカナダの湖畔で静かに暮らしている。冬の凍った湖をスキー板で走るのが日課であったが、時々自分が寸前に何をしているのかが分からなくなることがあった。おかしいと思った夫が心療内科で診察をしてもらったら、どうやら認知症の気があることが分かった。そこで老人の療養施設を見学する。ジュリーは入所に抵抗がなかったが、施設に入所後30日妻に会えないこと知り、夫は抵抗する。それでも症状の悪化を心配して彼女は自ら40年以上の夫婦生活で初めて別れて暮らすことを決意する。入所後30日たって、夫が見舞いに行くと、彼女は車椅子の男と仲良くトランプをしていて、その男の面倒をみていた。そして夫をすぐに認識できないでいたが。。。。。。

冬場に観るのにふさわしい、寒々しいカナダの光景である。二ールヤングの独特の歌声がバックに響き、しんしんと心に響いてくる。老人が中心の映画なので、末梢神経を刺激するようなシーンとは無縁である。落ち着いて観られる。そうなりたくはないが、近いうちに自分もこういう生活に近づいていくのかもしれないとふと思ってしまった。
何より驚いたのが、この作品の監督が若干27歳のサラポーリーであることだ。恐るべき才能である。大ベテランを相手に太刀打ちしてしまうところがすごい。
ふけてはしまったが、ドクトルジバゴで見せたジュリークリスティの美しい青い瞳はまだ眼光の奥底では輝いていた。

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