風の谷通信No.11-033
Nさん 久しぶりです。先日、京都市美術館へモネ展を観に行きました。そしたら同じ館内でルノワール展が開かれていて、幸いにも一日で二つを観ることができました。二人とも印象派に属する画家なんですね。そんなことをよく知らない程度の観客です。
印象派が何を意味するのかも知らないままで絵画展に興味を持ちました。西洋絵画への興味は小学校4年生の時に「晩鐘」を見たことに始まります。当時の小学生向け雑誌に=天然色記事なんてなかった時代ですから=「白黒」の画面で紹介されていました。それ以来この絵に憧れて来たのですが幸いにも最近の5年ほどの間に4回も観ることができました。
そもそも数年前にパリを訪ねた時に人並にルーブルへ行きましたが、あの時代の絵には殆んど興味を感じませんでした。今でも変わりませんが、ミケランジェロ・ラファエロ・(フェノロサかな?)といった人々の絵や、それ以前の作品であのルーブルの天井にまで届きそうな巨大作品などには感動がありません。まして聖書物語やギリシャ以後ナポレオンに至る時代の戦争絵画なんて全く興味が湧きません。ルーブルで眺めたのはモナ・リザとヴィーナスとだけでした。
それに比べると、印象派・バルビゾン派の作品は親しみが持てて情景が理解しやすくてなかなかよろしい。「晩鐘」では、質素な生活を想像させる若い夫婦が一日の農作業を終えて遠くの教会で鳴る鐘の音に祈りを捧げている姿が身近な感動を呼び起こします。
さて肝心のモネ展では、今回の目玉である「日の出」は既に展示を終えていたのが残念ではありましたが、睡蓮や風景画を多く観ることができました。モネの絵に表れた光の濃淡・陰影・強弱・散乱の様(さま)などには感嘆するばかりです。順光と逆光による木々や林の表現の差に驚嘆しました。こんな景色は素人にはカメラで以てしても捉えることができません。
同時に拝見したルノワールの作品では、なぜこんなにも明るく輝く肌の女性たちがいるのだろうかと感心するばかりの世界でした。また、彼女たちの瞳はあるいは涼しくくつろぎ、あるいはまた熱く輝いています。ルノワールの作品に接するのは初めてなので、これからは改めて観察したいと思いました。
この展覧会に先立って、モネの睡蓮をテーマにしたテレビ番組があって、あのオランジュリーの睡蓮の間などを採り上げておりましたが、その場面に作家の原田マハさんが出演していました。モネ展の売店で彼女の作品「ジヴェルニーの食卓」を売っていましたので一緒に買ってきました。彼女が4人の画家の世界を見事に描き出しています。文学作品は即ち人格ですね。彼女の作品の世界に魅了されてしまいました。
近いうちにオランジュリーの睡蓮の部屋を再訪する予定です。ジヴェルニーへ行くのは無理でしょうがせめてモルマッタンへは行きたいですね。同時にルノワールの作品やその他の印象派画家たちの作品を眺める美術館にも狙いを定めて旅行予定を組もうと楽しみにしています。
私のブログ記事は、原発関連記事を読んでくださる方が多いのですが、今回は毛色の変わったところで、芸術に触れてみました。たったこれだけの記事を書くのに1時間以上を要してしまいました。それではまた。