風の谷通信

専業農家からの引退を画策する高齢者。ままならぬ世相を嘆きながらも、政治評論や文化・芸術・民俗などに関心を持っている。

4-138 小春日和

2009-11-30 17:56:23 | 季節の便り
風の谷通信 No.4-138

 各地の紅葉が進んで秋が深くなる。イヤ、冬の初めと
言うべきか。だけど今年は紅葉を楽しむ機会が作れそう
にない。

 紅葉狩りはともかくとして、冬と呼ぶには温かい日が
続く。28日(土)は冷え冷えとする風が木の葉を散ら
したが、その前後とも温かくて、農作業がはかどった。
いくらかは雲が出て陰ったが、それでも気温は高いし、
降るぞ降るぞと言われた雨も降らずに過ぎた。

 畑では冬の収穫期に入り、ダイコン・ハクサイ・キャ
ベツ・カブラ・太ネギの最盛期になった。大豆もじゃが芋
も間もなく収穫できる。サト芋も美味いよ。

 例年になく露地きゅうり(地這いきゅうり)が頑張って
くれたので先週まで出荷したがさすがにもう終りを告げた。
これは体を冷やす夏の作物。

 冬は鍋物の季節。夏から秋の間に太陽の遠赤外線を
たっぷりと溜め込んだ野菜を良く煮込んで食べるのが
冬の健康の基礎だという。ダイコンとハクサイを中心に
じゃが芋や太ネギやコンニャクを煮込んで食べる。
 中でも味噌を充分に使った鍋物は最高!




4-137  河村元官房長官の告発状

2009-11-28 20:27:52 | 世相あれこれ
風の谷通信 No.4-137

 麻生政権の官房長官が、政権交代で地位を去るに当たり
官房機密費2億5千万円を引き出したと言う記事があった。
その件に関するコメントを記録しておいた。

 この件に関してブログ「情報発信」主催者が東京地検に
対して河村元長官を告発した。刑事告発の内容は虚偽
公文書作成罪および行使罪、詐欺罪、背任罪、加重収賄
および事後収賄罪、等々だという。
 詳しいことは本人の専門家的な文書を読んでもらいたい。
当該ブログのアドレスは:
 http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005
  (なぜ青表示にならないのかな?)

 そして、各自のメディアを通してこの告発行動への応援を
要請している。こんな出費の仕方が「機密費」として守
られるなんて不条理である。2億5千万円もの不正流用が
疑われるカネの流れや使途・用途などを徹底的に解明して
ほしいものだ。





4-136 兵士の記録

2009-11-27 20:25:12 | 世相あれこれ
風の谷通信 No.4-136
 
 機会があって先の戦争の兵士の記録を2冊読んだ。
きっかけは池田武邦さんの談話である。何かの機会に
池田さんの回想談話を聴いたことがある。

 今回は深夜放送で放送があり、それが印刷されたので、
それを読んだ。時を同じくして類似の回想録を見つけたら
そこにも池田さんの回想が載っていたので、それも読んだ。
梯久美子著「昭和二十年夏僕は兵士だった」角川書店

 池田さんは海兵の出身で、初めから巡洋艦「矢矧」に
配属されて航海士を務めた。戦績としてはマリアナ沖海戦・
レイテ沖海戦・沖縄特攻戦に参加して最後には撃沈されな
がらも帰還した。戦後は建築士として霞ヶ関ビルの建設など
に関わったが、今以て戦死した仲間のことを忘れていない。

 当時の兵士達の回想録を読むと、初年兵や下級兵士たちの
苦労と同時に、権力階級や高級参謀たちの愚かさが判る。


 こうした文書を読んで一番感じるのは靖国参拝!などと
気炎を上げている人たちの身勝手さである。先にも書いたが
「打倒鬼畜米英!」と叫んで若者達を死地へ追いやった連中
が一夜にして「民主平和主義者」に変身して、その米英に
へつらいながら、その一方で「クニのために生命をささげた
英霊に報いよう」なんてたいそうなお題目を掲げて靖国参拝
を主張している姿である。

 上記の体験記に表れたような苦労を舐めた果てに空しく
死んでいった人たちを顧みることなく、靖国に参拝するのは
彼らに対する恥ずべき裏切りである。池田さんのように
むしろ静かに戦友の死を回顧し、平和への祈りを続けている
姿勢こそ本当に彼ら「英霊」に応える姿勢であろう。

 上記に続いて、もう1冊貴重な記録を読み始めた。
岩波新書「シベリア抑留」。このムラにもシベリア抑留を
耐え抜いて帰還した兵士がいる。もう90歳近いはずである。
この人の話を聴くたびに先の戦争の不条理さが浮かび上がる。

 戦後の世の中はこうした人たちを無視し、忘れたふりをする
ことによって、平和を謳歌してきた。実にずるい策である。
シベリア抑留にしろ「蟻の兵隊」にしろあるいは満蒙開拓義勇
軍にしろ、南洋諸島やビルマの奥地で、あるいは沖縄のガマの
中で、無謀な国策によって辛酸を舐めた人たちを「忘却」と
いう坩堝に投げ込んでおいて、そ知らぬ顔でカネ儲けに夢中に
なってきた。
 
 今どきこんな問題を持ち出しても政治家たちはそ知らぬ顔で
あろうし、まして一般市民は「なんでいまだに戦争の話なの?」
と訝しく思う程であろう。 そして、竹島も国後・択捉も、そ
して周辺の漁場権益も他国に毟り取られたままで泣き寝入り
しているのがこのずるい日本だ。

 


 

4-135 おしゃれな生き方

2009-11-24 17:50:09 | 世相あれこれ
風の谷通信 No.4-135


 伊集院静という人が週刊現代に次のようなことを書いている。
この人がどんな人だか知らないが(インターネットで調べれば
判るのではあろうが・・・)、多分作家か評論家であろう。

 12月5日号のおしゃれな男の姿を描いた文章の中での表現
である:

 マツイにはコマーシャルの話がふえるだろうが、そんなものに
出るな。「人は社会に出たら己の仕事以外の収入は得ないよう
にするのが大人の男の選択である。金のみならず役得であっても
手を出せば、その人を卑しくする。
 
 だいたいプロスポーツ選手に金を与え過ぎる。タイガー・ウッズ
などたかがゴルフ選手で何百億も収入がある現代社会の在り方が
おかしい。

 正常正当な収入、暮らし振りが見失われている。裁判官や消防士
林野庁の現場にいる人々や夜の航海を監視している人など・・・、
社会になくてはならぬ人に正当な金が分配されるべきだ。この人達
が苦しいなんてのはおかしい。

 この二十年でスポーツマーケットがこれほど巨大化すると、スポ
ーツの本質が歪むことは明白だ。
 スポーツが大衆の欲望であることが顕著になってきた。大衆は己
の興奮(これを感動と平気で口にする)がスポーツの第一義となる。
スポーツライターはこれに警告する役割を持つべきだ。ところが
ライターが一緒に興奮し、テレビの阿呆なアナウンサーのレベルで
文章を書く。

 ・・・・・・・・・・・・・・以下略。
 
 身に覚えがあるので耳が痛い指摘である。
 と同時にテレビのレポーターやアナウンサーや解説者に対して
腹いせにわめきたい欲求にも駆られる。
 マラソンや駅伝の解説の無意味さ(この競技の放送時に音声を
殺して画面だけで観戦する)、野球のアナウンサーの度を過ぎた
おもねり、スポーツ新聞の1面に踊る阿呆記事の大活字。
 市橋容疑者の取材では遂に逮捕者が出た。島根の被害者の両親
は自分たちや周辺への取材を断るメッセージを発した。山口百恵
さんの子供を撮影しようとして平手打ちを喰らったカメラマンも
いたというのに、どこにも反省はない。いくら繰り返し警告を受け、
あるいは反省のコメントを発表しても彼らのいわゆる「メディア
・スクラム」はなくならない。

 そして選手たちは本職以外の分野で金を儲け、話題を振りまい
てゴシップ・ライター達を喜ばせている。
 観客はプレーの観察よりも結果だけを見て、興奮することに
酔いしれている。この九州場所ではあの狭い館内で関取の名前を
集団で叫ぶ応援が現れた。まあ、バレーボールなら「ニッポン・
チャチャチャ」とやっているのと似たようなものか。

 実にはた迷惑だが、そんなことを考える余裕を失っている。
かくしてこれからの世の中は益々乱れるであろう。

4-134 村山由佳さんの話

2009-11-22 18:36:18 | 文化・文芸
風の谷通信 No.4-134

 夜中の夢うつつの中で点けっ放しのラジオから何だか
知的に明快な会話が聞こえてきたので、意識して目を覚ま
した。アナウンサーと小説家の村山由佳さんの会話だった。

 彼女は東京に住んで小説を書いていたが約15年前に(
逆算すると30歳台前半に)夫婦で千葉県の鴨川に移住し
て農村生活を始めた。夫は多分画家で高校の美術科教師で
あった。

 それが今回の話では、東京へ戻って9歳も年下の男性と
同居しているという。鴨川を離れたことは知っていたがまさか
離婚していたとは思わなかったので、夫婦で東京へ戻ったと
ばかり思っていた。それにしては夫の勤務先はどうしたのか
な?鴨川の山の家をどうし処分したのかなあ・・・などと気
になっていた(気にしてもしょうがないけど)。

 彼女のホームページを永らく読んでいなかった・・・。

 今、彼女は廃工場のような建物の3階分を借りて仕事場に
し、外ではハーレーダビッドソンを乗り回しているらしい。

 そんなことはともかくとして、彼女の言葉では「今のうち
にしたいことを存分にしておきたい。死ぬ時には心を残すこと
なく、ああ楽しかった、さようなら・・・と言って死にたい。

 こんなことを話していた。

 ところで、別れた夫とは今も仲良くしていて(喧嘩別れでは
ないということ)時の野菜を送ってくれたりするという。
夫婦別れして9歳も年下の男と同棲していて、先の夫とも仲良
しという女性の心理は理解しがたい。即物的な表現だが、自分
の体の奥まで、それこそ一番深い穴の底まで知った男を捨てて
それでも仲良くしていられるというのは女性の強さだろうか。

 ところで、何故離婚してまで東京へ戻ったのかという理由
が興味深い。ここが本論である。
 田舎にいて、青い海と空を眺めて、良い環境の中で満足して
生活していると書けなくなってしまった、という。そんなもの
かな?温かい鴨川の海岸沿いの丘の中腹に家を建てて家の周り
を開墾して自給自足の生活を楽しんでいると、作家としての
問題意識が消えてしまうということであろうか。そこが理解
出来ない点である。ここ風の谷に住んでいると諸事万端不足
はないが、書きたいことは一杯あり、筆力さえあれば表現し
たいことは日常生活の中にあふれている。それが、以前には
東京での生活に限界を感じて田舎へ出た人が逆戻りしたのだ。
凡人には理解しがたい才女の行動だ。

 いずれにしても行動力の強い人なので、これがまた次の行動
の原動力になるのであろう。最近何かの文学賞を受けたという
から、また彼女の作品を集中的に読んでみようかと思う。