風の谷通信 No.6-045
今回の地震被害はメディアによって「東北関東大震災」とするものと「東日本大震災」とするところがある。それなりの事情があるのだろう。
さて、神戸新聞に「水の透明画法」を連載する作家・辺見庸さんが朝日ジャーナルに書いている。朝日ジャーナルが復刊され、その第2号の巻頭に「標なき終わりへの未来論」という文章を寄せている。辺見さんらしいいかにも難しい文章である。読んで理解するのに苦労する、イヤ読むだけでも苦労する。それはともかくとして、大胆かつ大掴みな社会批評であるが、ここで描いたある種の「予言」が見事に的中しているのが怖ろしい。復刊して2号を出版する計画を前提に原稿を依頼したならば、筆者が稿を起したのは何週間か以前のことであろう。その時点で予測したことが、出版直前に起きてしまった。内容は次の通り。
その1:すさまじい大地震がくるだろう。それをビジネスチャンスとねらっている者らはすでにいる。富める者はたくさん生きのこり、貧しい者達はたくさん死ぬであろう。
その2:ひじょうに大きな原発事故があるだろう。
その3:マスメディアはひきつづき権力の意のまま、いや、いまよりいっそうたくみに偽装された権力の構成要素でありつづけるだろう。
文中のパノプティコンと天恵ドームの比喩は難しくて理解できない。だけど何となく薄気味悪い未来像である。