陵南高校 体育館更衣室。
彦一が、準決勝第二試合 喜多島×湘北について、熱く語っている。
「100対75。まさかの圧勝劇や!!」
「うぉぉーー!!」
「やるな!湘北!!」
陵南選手から歓声があがる。
「すげーーな。」
「確かに、準決勝で100点ゲーム、しかも25点差をつけるとは、湘北も県予選よりも腕を上げた証拠だな。」
と冷静な植草。
「姉ちゃんの話やと、喜多島は博多戦で相当な体力を消耗したようやったとゆうてたけど、
それでも体力、脚力に自信のある喜多島や。
正直、ここまで離されるとは思ってもみなかったと思うで。」
「湘北の勝因は、高さ。」
いつの間にか、制服に着替え、椅子に腰掛けている福田がいった。
「そうや。青森酒田戦をきに、ディフェンス能力、経験値を向上させた桜木さんは、
洛安戦で奪い取った21リバウンドの勢いそのままに、喜多島戦でも大暴れやったそうや。」
桜木 花道 22P 16R 8B
「16リバウンドもすげーけど、8ブロックもすげーぞ!」
「現在、リバウンド、ブロック部門で1位独走中のようやで。決勝で河田君を倒せば、
間違いなくNo.1センターとなる、誰も文句はつけられへん。」
「あの桜木がな・・・。去年までは、素人丸出しのただの無礼者だったのに、
今は高校生最高のリバウンダーであり、No.1センターにあと一歩だもんな。」
「魚住さんや赤木さんが聞いたら、どういう反応するかな?」
苦笑する越野。
陵南の上級生たちは、桜木と戦った練習試合、公式戦を思い出していた。
「ルールもわからず試合に出ていた昨年の春の練習試合が懐かしいぜ。」
「あの試合は、傑作だったな。」
「撮ったビデオは永久保存版だな。いつか、あのやろーに見せてやろうぜ!」
「そりゃいいぜ!!」
桜木の話で盛り上がる陵南上級生たち。
(桜木・・・。)
福田もまた、屋外のコートで桜木と出会ったときのことを思い出していた。
(戻ってきたら、勝負だ。)
「彦一、それだけじゃないだろ?」
桜木との想い出が少ない山岡の口が開いた。
「もちろんやで。PFの白田さんもオフェンスでチームの勝利に貢献したそうや。
怪我は完治し、その影響はまるでなしとゆうで。」
「身長もさることながら、中学時代ゴール下の魔術師といわれた男だ。
相手が自分より低いのであれば、やつのオフェンス力は脅威。」
と白田に怪我をさせた黒川が、そっと胸をなでおろす。
白田 豊 25P 6R
「彦一さん!春風は?」
中学時代のチームメイト上杉が興味深そうに聞いた。
「ちょちょっと待ってや!」
弥生との電話で綴っていたメモを数枚捲った。
「おっ、あったあった。これや。」
柳 春風 17P 12A
「12アシスト・・・。あの春風が・・・。」
少し驚いた表情を見せる上杉。
「誰よりも貪欲にリングを目指していた春風が、12アシストも決めるとは。
いい意味で、俺たちが知っている春風は、もういないかもな。」
と黒川。
「抜群のオフェンス力にアシストを加えた春風。来年、あいつとやるのが楽しみになったよ。」にこり。
「お前の相手は、流川さんだ。」
「やっぱり・・・。」
上杉空斗は苦笑した。
「アシストを加えたといえば、確か流川も洛安戦で2桁のアシストを記録していたよな?この試合は、どうだったんだ?」
越野が尋ねる。
「仙道さんに流川君のこの成績を是非見せたかったで。
今まさに流川君は、最高の時を迎えた、そういっても過言ではありませんで。」
流川 楓 26P 10R 11A 3S
「トリプルダブル・・・。」
「すげーー。」
「仙道さんに引けを取らない成績。」
「沢北との勝負に弾みをつけた感じだな。」
「今大会、トリプルダブルを記録した選手は、流川君しかおらん。
昨年の牧さんや土屋さん、大和さんのように、全てのスキルにおいてトップレベルを維持している選手が少ないのが、
今大会の特徴や。」
「流川の株は急上昇だな。」
「湘北が優勝すれば、流川のMVPは確定ということか。」
「仙道と並ぶ評価を得るわけだ。」
「だが、そううまくはいかない。」
ドアのほうから、太い声が聞こえた。
「かっ監督!」
田岡であった。
「いつまでも更衣室に明かりがついているからと思ってきてみれば、また彦一のおしゃべりか?」
「ちっ違いまっせ。明日の選抜の決勝戦の予想を。」
「ふん。明日は、あの山王工業だ。いかに流川や桜木が、全国での舞台で成長したからといって、
そう簡単に、湘北が勝てるとは思えん。」
「でも、湘北は神奈川の代表や。やっぱり、応援したいですやん。」
「ふーー。」
一息入れる田岡。
「明日、6時30分。新横浜集合。福岡にいくぞ!」
「かっ監督!!!」
陵南選手が一斉に声をあげる。
「連れて行くのは、上杉、黒川。お前らは、来年のために、山王と湘北、そして3決の名朋を研究しろ。」
「はっはい!!」
「わっわいは!!」
「好きにしろ。」
「はい!!例え、火の中水の中、どこまでもついていきまっせ!!」
「仙道もつれていく。彦一、ちゃんと連れて来いよ!」
「はい!!」
「越野、福田たちは、残って練習だ。」
「はい。」
少し残念そうな表情を見せる越野や山岡ら。
(・・・。)
福田は、ふてくされていた。
「ところで、彦一。宮城のスタッツは、どうだったんだ?」
越野が問いかける。
宮城 リョータ 4P 3A
「あまり調子がようなかったと思います。」
「プレッシャーか、または疲れか・・・。IHの悪夢が尾を引いているのかもしれないな。」
「ほぼ一人でチームをまとめあげているんだ。仕方がないだろう。」
その頃、湘北選手たちが宿泊している『めんたいこ荘』
一人ロビーで、準決勝のスコアシートを見る宮城の姿があった。
『グシャ!』
手に持っていたスコアシートを握る。
(わずかな指示で予想を上回る結果、全員最高潮を迎えている。
舞台は整った。明日は俺さえ、冷静でいられれば、ぜってー勝てる。俺さえ・・・。)
翌日の決勝戦に向け、闘志を漲らせる宮城であった。
続く。
彦一が、準決勝第二試合 喜多島×湘北について、熱く語っている。
「100対75。まさかの圧勝劇や!!」
「うぉぉーー!!」
「やるな!湘北!!」
陵南選手から歓声があがる。
「すげーーな。」
「確かに、準決勝で100点ゲーム、しかも25点差をつけるとは、湘北も県予選よりも腕を上げた証拠だな。」
と冷静な植草。
「姉ちゃんの話やと、喜多島は博多戦で相当な体力を消耗したようやったとゆうてたけど、
それでも体力、脚力に自信のある喜多島や。
正直、ここまで離されるとは思ってもみなかったと思うで。」
「湘北の勝因は、高さ。」
いつの間にか、制服に着替え、椅子に腰掛けている福田がいった。
「そうや。青森酒田戦をきに、ディフェンス能力、経験値を向上させた桜木さんは、
洛安戦で奪い取った21リバウンドの勢いそのままに、喜多島戦でも大暴れやったそうや。」
桜木 花道 22P 16R 8B
「16リバウンドもすげーけど、8ブロックもすげーぞ!」
「現在、リバウンド、ブロック部門で1位独走中のようやで。決勝で河田君を倒せば、
間違いなくNo.1センターとなる、誰も文句はつけられへん。」
「あの桜木がな・・・。去年までは、素人丸出しのただの無礼者だったのに、
今は高校生最高のリバウンダーであり、No.1センターにあと一歩だもんな。」
「魚住さんや赤木さんが聞いたら、どういう反応するかな?」
苦笑する越野。
陵南の上級生たちは、桜木と戦った練習試合、公式戦を思い出していた。
「ルールもわからず試合に出ていた昨年の春の練習試合が懐かしいぜ。」
「あの試合は、傑作だったな。」
「撮ったビデオは永久保存版だな。いつか、あのやろーに見せてやろうぜ!」
「そりゃいいぜ!!」
桜木の話で盛り上がる陵南上級生たち。
(桜木・・・。)
福田もまた、屋外のコートで桜木と出会ったときのことを思い出していた。
(戻ってきたら、勝負だ。)
「彦一、それだけじゃないだろ?」
桜木との想い出が少ない山岡の口が開いた。
「もちろんやで。PFの白田さんもオフェンスでチームの勝利に貢献したそうや。
怪我は完治し、その影響はまるでなしとゆうで。」
「身長もさることながら、中学時代ゴール下の魔術師といわれた男だ。
相手が自分より低いのであれば、やつのオフェンス力は脅威。」
と白田に怪我をさせた黒川が、そっと胸をなでおろす。
白田 豊 25P 6R
「彦一さん!春風は?」
中学時代のチームメイト上杉が興味深そうに聞いた。
「ちょちょっと待ってや!」
弥生との電話で綴っていたメモを数枚捲った。
「おっ、あったあった。これや。」
柳 春風 17P 12A
「12アシスト・・・。あの春風が・・・。」
少し驚いた表情を見せる上杉。
「誰よりも貪欲にリングを目指していた春風が、12アシストも決めるとは。
いい意味で、俺たちが知っている春風は、もういないかもな。」
と黒川。
「抜群のオフェンス力にアシストを加えた春風。来年、あいつとやるのが楽しみになったよ。」にこり。
「お前の相手は、流川さんだ。」
「やっぱり・・・。」
上杉空斗は苦笑した。
「アシストを加えたといえば、確か流川も洛安戦で2桁のアシストを記録していたよな?この試合は、どうだったんだ?」
越野が尋ねる。
「仙道さんに流川君のこの成績を是非見せたかったで。
今まさに流川君は、最高の時を迎えた、そういっても過言ではありませんで。」
流川 楓 26P 10R 11A 3S
「トリプルダブル・・・。」
「すげーー。」
「仙道さんに引けを取らない成績。」
「沢北との勝負に弾みをつけた感じだな。」
「今大会、トリプルダブルを記録した選手は、流川君しかおらん。
昨年の牧さんや土屋さん、大和さんのように、全てのスキルにおいてトップレベルを維持している選手が少ないのが、
今大会の特徴や。」
「流川の株は急上昇だな。」
「湘北が優勝すれば、流川のMVPは確定ということか。」
「仙道と並ぶ評価を得るわけだ。」
「だが、そううまくはいかない。」
ドアのほうから、太い声が聞こえた。
「かっ監督!」
田岡であった。
「いつまでも更衣室に明かりがついているからと思ってきてみれば、また彦一のおしゃべりか?」
「ちっ違いまっせ。明日の選抜の決勝戦の予想を。」
「ふん。明日は、あの山王工業だ。いかに流川や桜木が、全国での舞台で成長したからといって、
そう簡単に、湘北が勝てるとは思えん。」
「でも、湘北は神奈川の代表や。やっぱり、応援したいですやん。」
「ふーー。」
一息入れる田岡。
「明日、6時30分。新横浜集合。福岡にいくぞ!」
「かっ監督!!!」
陵南選手が一斉に声をあげる。
「連れて行くのは、上杉、黒川。お前らは、来年のために、山王と湘北、そして3決の名朋を研究しろ。」
「はっはい!!」
「わっわいは!!」
「好きにしろ。」
「はい!!例え、火の中水の中、どこまでもついていきまっせ!!」
「仙道もつれていく。彦一、ちゃんと連れて来いよ!」
「はい!!」
「越野、福田たちは、残って練習だ。」
「はい。」
少し残念そうな表情を見せる越野や山岡ら。
(・・・。)
福田は、ふてくされていた。
「ところで、彦一。宮城のスタッツは、どうだったんだ?」
越野が問いかける。
宮城 リョータ 4P 3A
「あまり調子がようなかったと思います。」
「プレッシャーか、または疲れか・・・。IHの悪夢が尾を引いているのかもしれないな。」
「ほぼ一人でチームをまとめあげているんだ。仕方がないだろう。」
その頃、湘北選手たちが宿泊している『めんたいこ荘』
一人ロビーで、準決勝のスコアシートを見る宮城の姿があった。
『グシャ!』
手に持っていたスコアシートを握る。
(わずかな指示で予想を上回る結果、全員最高潮を迎えている。
舞台は整った。明日は俺さえ、冷静でいられれば、ぜってー勝てる。俺さえ・・・。)
翌日の決勝戦に向け、闘志を漲らせる宮城であった。
続く。