うまがスラムダンクの続き

うまがスラムダンクを勝手にアレンジ。
スラムダンクの続きを書かせていただいています。

#233 【角田の想い】

2009-11-28 | #09 湘北 県予選編
陵南 84
湘北 75




白田の左手1本によるフリースロー。



『ガン!!』



ボールはリングに当たり、小さく跳ねる。



『ガン。』



『スト。』



小さく音を鳴らした。




陵南 84
湘北 76




「左手1本で決めやがったーー!!」

「やるぜ!白田!!!」




「よくやった!それでこそ、わが弟子だ!!」

(だから、弟子じゃないって・・・。)


「お前は、ベンチに戻って手当てしろ。あとは俺たちに任せろ。」

と宮城。

「・・・・・・。」

「全国大会で、お前を欠くわけにはいかねぇんだ。」

「キャプテン・・・。」


白田は、宮城の言葉を信じ、静かにベンチに下がった。


「・・・。」

流川は、白田とすれ違いざまに、視線が合う。

「流川先輩・・・。あとはお願いします。」

『コク。』




「あいつ、いい根性してやがるな。」

と観客席の三井。

「三井サンだって、ゴリだって、そうでしたよ。
バスケ部はみんなあんなのばっかりの集まりなんだから。」

と水戸が笑っていった。




「白田君は、交代ですね。せっかく、湘北の追い上げムードだったのに・・・。」

「これで湘北は絶体絶命のピンチね。白田君を引き換えに、奪った得点は1点のみ。はっきりいって、マイナスだわ。
結果的に、黒川君のファウルは、ファインプレーとなったわけよ。」

「バスケって無情ですね。でも、残り9分8点差なら、まだわかりません!!」

「そうね。最後まで何があるかわからないのが、スポーツだから。」

(特に、湘北というチームは・・・。)




一方、陵南ベンチの田岡。

(勝った!!白田の穴は、角田では埋められん!!)

勝利を確信し、にやついていた。




「白田、ユニホーム脱いで。すぐに冷やすから!晴子ちゃん、氷もらってきてくれない!!」

「はい!!」


安西に頭を下げる白田。

「・・・・・・。先生、申し訳ありませんでした。」

「君が謝る必要はありません。あとは、先輩たちに任せましょう。」




「ハクタス!!そこで、ゆっくり休んでやがれ!!
そして、この天才のプレーを全国大会のために、よーーーく眼に焼き付けておきなさい!ハッハッハ!!」

「桜木先輩・・・。」

(ありがとうございます。)

試合に出場したくても出場できない、負傷退場した白田への桜木の気配りであった。



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PF…#14 白田 豊 194cm/1年

PF…#8 角田 悟 185cm/3年

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「カク!練習の成果を見せてやれ!!」

「おっおう。」

角田は、若干緊張している。


「先輩。」

「ん!?」

「どんどん打ってください。練習どおりやれば、入るっす。」

「流川・・・。」

(まさか、流川から話しかけてくるとは・・・。ここで足を引っ張るわけにはいかないな。)



湘北のスローイン。

「いくぜ!お前ら!!」

「おう!!」


(白田がいなくなったことで、インサイドは断然不利・・・。
流川は仙道に・・・。やはり、ここは俺たちのスピードが、逆転への突破口!)


「柳!いけ!!」

宮城から柳にパスが渡る。



『バス!』


「空斗、悪いな。宮城さんから指示が出た。俺が点を獲りに行く。」

「そうやすやすと獲らせるわけにはいかない。」


『ダム!』


柳の踏み込んだ、フロントチェンジ。

上杉が機敏に反応する。



『ダム!』



『キュ!』



バックロールから、インサイドにステップを踏む。


前には、黒川が立ちはだかる。




「囲まれたーーー!!」

「あれでは打てない!!」




黒川と上杉がシュートチェックに跳んだ。



『シュ!』



2人の足がコートから離れるのを確認し、柳は軽く笑う。

そして、ボールを頭の上から腰の後ろに回した。




「バックビハインド!!」

「誰にパスだーー!!」




ボールの先に構えるのは、角田。




「カク!いけーー!!」

「角田さん!!」




「カク!打てーーー!外してもリバウンドは獲ってやる!!」

「フリー。」



『バス!』



(みんな・・・。)



左0°の位置。

角田は、フリーでボールを受け取った。




「カクーーー!練習を思い出してーーー!!」

ベンチから安田が叫んだ。


角田は、思い出していた。



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<<回想>>


「角田君、君はジャンプシュートを強化しなさい。練習終了後、毎日200本、打つこと。いいですね?」

「はい。」

「PFの研究も忘れないように。」

「あっ、はい・・・。」

(PF転向か・・・。)


湘北の春、白田が加入したことにより、PFへとコンバートされた角田。

一時は、悩むこともあったが、角田は、安田や潮崎ら3年生とともに、新しいスタートを切った。

1日200本のジャンプシュートのほか、朝50本、昼50本を加え、半年間ジャンプシュートの精度を上げていた。


「少し、ジャンプが低くなってきている。」

「俺がパスするよ。」

「ヤス、シオ。ありがとう。」

時には、優しい同級生たちが一緒になって、練習に付き合ってくれた。


「優秀な1年が加入したことは凄く嬉しい。だけど、それだけじゃいけないんだ。僕たちが、頑張らなければ!
だって、僕らは、全国を経験した先輩だからね。経験は、何事にも変えることのできない財産なんだ!」

角田は安田の言葉に何度も励まされた。


「もう一度、いきたいな。全国。」

「あぁ。いこう!」

「俺たちが1年を連れて行ってやるくらいの気持ちでな。」

「そうだな。」

「あはははは!」

「はははっ!」


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『スト!!』



ボールがネットを通過する音が、角田の耳に聞こえた。



「はっ入った・・・。」




「よし!いいぞ!!カク!!!」

「角田先輩!!ナイッシューー!!」




「カク。いい感じだ。」

「リョータ!」

「先輩、どんどん。」

「流川・・・。」



『バシ!』



「やればできるじゃねぇか!さすが、天才の1番弟子!!ハッハッハ!」

「1番弟子!?まぁ、いいか。」

角田の表情に明るさが戻る。


「へっ。俺は、2番弟子なのか・・・。」

(さっきは、俺のこと1番弟子っていっていたのに・・・。)

ベンチで肩を冷やしている白田は少し複雑な表情をしていた。




「角田、その調子だ。」

と三井。

「お前の後輩たちは、みんな気持ちのいいやつらだな。」

と新庄。

「へへっ。」

「まーな。」

三井と一緒に、水戸らも嬉しそうに答えた。




陵南 84
湘北 78






続く。