陵南 84
湘北 75
白田の左手1本によるフリースロー。
『ガン!!』
ボールはリングに当たり、小さく跳ねる。
『ガン。』
『スト。』
小さく音を鳴らした。
陵南 84
湘北 76
「左手1本で決めやがったーー!!」
「やるぜ!白田!!!」
「よくやった!それでこそ、わが弟子だ!!」
(だから、弟子じゃないって・・・。)
「お前は、ベンチに戻って手当てしろ。あとは俺たちに任せろ。」
と宮城。
「・・・・・・。」
「全国大会で、お前を欠くわけにはいかねぇんだ。」
「キャプテン・・・。」
白田は、宮城の言葉を信じ、静かにベンチに下がった。
「・・・。」
流川は、白田とすれ違いざまに、視線が合う。
「流川先輩・・・。あとはお願いします。」
『コク。』
「あいつ、いい根性してやがるな。」
と観客席の三井。
「三井サンだって、ゴリだって、そうでしたよ。
バスケ部はみんなあんなのばっかりの集まりなんだから。」
と水戸が笑っていった。
「白田君は、交代ですね。せっかく、湘北の追い上げムードだったのに・・・。」
「これで湘北は絶体絶命のピンチね。白田君を引き換えに、奪った得点は1点のみ。はっきりいって、マイナスだわ。
結果的に、黒川君のファウルは、ファインプレーとなったわけよ。」
「バスケって無情ですね。でも、残り9分8点差なら、まだわかりません!!」
「そうね。最後まで何があるかわからないのが、スポーツだから。」
(特に、湘北というチームは・・・。)
一方、陵南ベンチの田岡。
(勝った!!白田の穴は、角田では埋められん!!)
勝利を確信し、にやついていた。
「白田、ユニホーム脱いで。すぐに冷やすから!晴子ちゃん、氷もらってきてくれない!!」
「はい!!」
安西に頭を下げる白田。
「・・・・・・。先生、申し訳ありませんでした。」
「君が謝る必要はありません。あとは、先輩たちに任せましょう。」
「ハクタス!!そこで、ゆっくり休んでやがれ!!
そして、この天才のプレーを全国大会のために、よーーーく眼に焼き付けておきなさい!ハッハッハ!!」
「桜木先輩・・・。」
(ありがとうございます。)
試合に出場したくても出場できない、負傷退場した白田への桜木の気配りであった。
-----------------------------------------------
PF…#14 白田 豊 194cm/1年
→
PF…#8 角田 悟 185cm/3年
-----------------------------------------------
「カク!練習の成果を見せてやれ!!」
「おっおう。」
角田は、若干緊張している。
「先輩。」
「ん!?」
「どんどん打ってください。練習どおりやれば、入るっす。」
「流川・・・。」
(まさか、流川から話しかけてくるとは・・・。ここで足を引っ張るわけにはいかないな。)
湘北のスローイン。
「いくぜ!お前ら!!」
「おう!!」
(白田がいなくなったことで、インサイドは断然不利・・・。
流川は仙道に・・・。やはり、ここは俺たちのスピードが、逆転への突破口!)
「柳!いけ!!」
宮城から柳にパスが渡る。
『バス!』
「空斗、悪いな。宮城さんから指示が出た。俺が点を獲りに行く。」
「そうやすやすと獲らせるわけにはいかない。」
『ダム!』
柳の踏み込んだ、フロントチェンジ。
上杉が機敏に反応する。
『ダム!』
『キュ!』
バックロールから、インサイドにステップを踏む。
前には、黒川が立ちはだかる。
「囲まれたーーー!!」
「あれでは打てない!!」
黒川と上杉がシュートチェックに跳んだ。
『シュ!』
2人の足がコートから離れるのを確認し、柳は軽く笑う。
そして、ボールを頭の上から腰の後ろに回した。
「バックビハインド!!」
「誰にパスだーー!!」
ボールの先に構えるのは、角田。
「カク!いけーー!!」
「角田さん!!」
「カク!打てーーー!外してもリバウンドは獲ってやる!!」
「フリー。」
『バス!』
(みんな・・・。)
左0°の位置。
角田は、フリーでボールを受け取った。
「カクーーー!練習を思い出してーーー!!」
ベンチから安田が叫んだ。
角田は、思い出していた。
-----------------------------------------------------------------------
<<回想>>
「角田君、君はジャンプシュートを強化しなさい。練習終了後、毎日200本、打つこと。いいですね?」
「はい。」
「PFの研究も忘れないように。」
「あっ、はい・・・。」
(PF転向か・・・。)
湘北の春、白田が加入したことにより、PFへとコンバートされた角田。
一時は、悩むこともあったが、角田は、安田や潮崎ら3年生とともに、新しいスタートを切った。
1日200本のジャンプシュートのほか、朝50本、昼50本を加え、半年間ジャンプシュートの精度を上げていた。
「少し、ジャンプが低くなってきている。」
「俺がパスするよ。」
「ヤス、シオ。ありがとう。」
時には、優しい同級生たちが一緒になって、練習に付き合ってくれた。
「優秀な1年が加入したことは凄く嬉しい。だけど、それだけじゃいけないんだ。僕たちが、頑張らなければ!
だって、僕らは、全国を経験した先輩だからね。経験は、何事にも変えることのできない財産なんだ!」
角田は安田の言葉に何度も励まされた。
「もう一度、いきたいな。全国。」
「あぁ。いこう!」
「俺たちが1年を連れて行ってやるくらいの気持ちでな。」
「そうだな。」
「あはははは!」
「はははっ!」
-----------------------------------------------------------------------
『スト!!』
ボールがネットを通過する音が、角田の耳に聞こえた。
「はっ入った・・・。」
「よし!いいぞ!!カク!!!」
「角田先輩!!ナイッシューー!!」
「カク。いい感じだ。」
「リョータ!」
「先輩、どんどん。」
「流川・・・。」
『バシ!』
「やればできるじゃねぇか!さすが、天才の1番弟子!!ハッハッハ!」
「1番弟子!?まぁ、いいか。」
角田の表情に明るさが戻る。
「へっ。俺は、2番弟子なのか・・・。」
(さっきは、俺のこと1番弟子っていっていたのに・・・。)
ベンチで肩を冷やしている白田は少し複雑な表情をしていた。
「角田、その調子だ。」
と三井。
「お前の後輩たちは、みんな気持ちのいいやつらだな。」
と新庄。
「へへっ。」
「まーな。」
三井と一緒に、水戸らも嬉しそうに答えた。
陵南 84
湘北 78
続く。
湘北 75
白田の左手1本によるフリースロー。
『ガン!!』
ボールはリングに当たり、小さく跳ねる。
『ガン。』
『スト。』
小さく音を鳴らした。
陵南 84
湘北 76
「左手1本で決めやがったーー!!」
「やるぜ!白田!!!」
「よくやった!それでこそ、わが弟子だ!!」
(だから、弟子じゃないって・・・。)
「お前は、ベンチに戻って手当てしろ。あとは俺たちに任せろ。」
と宮城。
「・・・・・・。」
「全国大会で、お前を欠くわけにはいかねぇんだ。」
「キャプテン・・・。」
白田は、宮城の言葉を信じ、静かにベンチに下がった。
「・・・。」
流川は、白田とすれ違いざまに、視線が合う。
「流川先輩・・・。あとはお願いします。」
『コク。』
「あいつ、いい根性してやがるな。」
と観客席の三井。
「三井サンだって、ゴリだって、そうでしたよ。
バスケ部はみんなあんなのばっかりの集まりなんだから。」
と水戸が笑っていった。
「白田君は、交代ですね。せっかく、湘北の追い上げムードだったのに・・・。」
「これで湘北は絶体絶命のピンチね。白田君を引き換えに、奪った得点は1点のみ。はっきりいって、マイナスだわ。
結果的に、黒川君のファウルは、ファインプレーとなったわけよ。」
「バスケって無情ですね。でも、残り9分8点差なら、まだわかりません!!」
「そうね。最後まで何があるかわからないのが、スポーツだから。」
(特に、湘北というチームは・・・。)
一方、陵南ベンチの田岡。
(勝った!!白田の穴は、角田では埋められん!!)
勝利を確信し、にやついていた。
「白田、ユニホーム脱いで。すぐに冷やすから!晴子ちゃん、氷もらってきてくれない!!」
「はい!!」
安西に頭を下げる白田。
「・・・・・・。先生、申し訳ありませんでした。」
「君が謝る必要はありません。あとは、先輩たちに任せましょう。」
「ハクタス!!そこで、ゆっくり休んでやがれ!!
そして、この天才のプレーを全国大会のために、よーーーく眼に焼き付けておきなさい!ハッハッハ!!」
「桜木先輩・・・。」
(ありがとうございます。)
試合に出場したくても出場できない、負傷退場した白田への桜木の気配りであった。
-----------------------------------------------
PF…#14 白田 豊 194cm/1年
→
PF…#8 角田 悟 185cm/3年
-----------------------------------------------
「カク!練習の成果を見せてやれ!!」
「おっおう。」
角田は、若干緊張している。
「先輩。」
「ん!?」
「どんどん打ってください。練習どおりやれば、入るっす。」
「流川・・・。」
(まさか、流川から話しかけてくるとは・・・。ここで足を引っ張るわけにはいかないな。)
湘北のスローイン。
「いくぜ!お前ら!!」
「おう!!」
(白田がいなくなったことで、インサイドは断然不利・・・。
流川は仙道に・・・。やはり、ここは俺たちのスピードが、逆転への突破口!)
「柳!いけ!!」
宮城から柳にパスが渡る。
『バス!』
「空斗、悪いな。宮城さんから指示が出た。俺が点を獲りに行く。」
「そうやすやすと獲らせるわけにはいかない。」
『ダム!』
柳の踏み込んだ、フロントチェンジ。
上杉が機敏に反応する。
『ダム!』
『キュ!』
バックロールから、インサイドにステップを踏む。
前には、黒川が立ちはだかる。
「囲まれたーーー!!」
「あれでは打てない!!」
黒川と上杉がシュートチェックに跳んだ。
『シュ!』
2人の足がコートから離れるのを確認し、柳は軽く笑う。
そして、ボールを頭の上から腰の後ろに回した。
「バックビハインド!!」
「誰にパスだーー!!」
ボールの先に構えるのは、角田。
「カク!いけーー!!」
「角田さん!!」
「カク!打てーーー!外してもリバウンドは獲ってやる!!」
「フリー。」
『バス!』
(みんな・・・。)
左0°の位置。
角田は、フリーでボールを受け取った。
「カクーーー!練習を思い出してーーー!!」
ベンチから安田が叫んだ。
角田は、思い出していた。
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<<回想>>
「角田君、君はジャンプシュートを強化しなさい。練習終了後、毎日200本、打つこと。いいですね?」
「はい。」
「PFの研究も忘れないように。」
「あっ、はい・・・。」
(PF転向か・・・。)
湘北の春、白田が加入したことにより、PFへとコンバートされた角田。
一時は、悩むこともあったが、角田は、安田や潮崎ら3年生とともに、新しいスタートを切った。
1日200本のジャンプシュートのほか、朝50本、昼50本を加え、半年間ジャンプシュートの精度を上げていた。
「少し、ジャンプが低くなってきている。」
「俺がパスするよ。」
「ヤス、シオ。ありがとう。」
時には、優しい同級生たちが一緒になって、練習に付き合ってくれた。
「優秀な1年が加入したことは凄く嬉しい。だけど、それだけじゃいけないんだ。僕たちが、頑張らなければ!
だって、僕らは、全国を経験した先輩だからね。経験は、何事にも変えることのできない財産なんだ!」
角田は安田の言葉に何度も励まされた。
「もう一度、いきたいな。全国。」
「あぁ。いこう!」
「俺たちが1年を連れて行ってやるくらいの気持ちでな。」
「そうだな。」
「あはははは!」
「はははっ!」
-----------------------------------------------------------------------
『スト!!』
ボールがネットを通過する音が、角田の耳に聞こえた。
「はっ入った・・・。」
「よし!いいぞ!!カク!!!」
「角田先輩!!ナイッシューー!!」
「カク。いい感じだ。」
「リョータ!」
「先輩、どんどん。」
「流川・・・。」
『バシ!』
「やればできるじゃねぇか!さすが、天才の1番弟子!!ハッハッハ!」
「1番弟子!?まぁ、いいか。」
角田の表情に明るさが戻る。
「へっ。俺は、2番弟子なのか・・・。」
(さっきは、俺のこと1番弟子っていっていたのに・・・。)
ベンチで肩を冷やしている白田は少し複雑な表情をしていた。
「角田、その調子だ。」
と三井。
「お前の後輩たちは、みんな気持ちのいいやつらだな。」
と新庄。
「へへっ。」
「まーな。」
三井と一緒に、水戸らも嬉しそうに答えた。
陵南 84
湘北 78
続く。