うまがスラムダンクの続き

うまがスラムダンクを勝手にアレンジ。
スラムダンクの続きを書かせていただいています。

#216 【思い返す言葉】

2009-10-30 | #09 湘北 県予選編
海南 84
湘北 84




試合残り時間21秒。

海南ボールから始まる。


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PF…#6 小菅 直人 188cm/3年

SG…#11 上杉 海斗 185cm/1年

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「小菅に変えて、上杉を投入だ!!」

「外角の強化か!!」




高頭は、神の進言により、上杉を投入させた。


(ここで、海斗を入れてきたということは、外からか?)

と柳。


「今頃、海猿か・・・。何かあるな・・・。」

(天才の勘。)

と桜木。

「桜木さん。ちょっと・・・。」

「ん!?なんだ?」

柳が桜木に耳打ちをした。



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<<回想>>

タイムアウト中。

海南ベンチ。


「監督。海斗を入れてもらえませんか?」

(珍しいな。神がメンバー変更を希望してくるとは・・・。)

「よかろう。小菅、代わってくれ。」


「残り21秒。ボールを持っていないものは、スクリーンを掛け合おう。
パスを回して、フリーになったら、シュートを打つ。1本決めれば、俺たちの勝利。」

神が指示を伝える。

「はい!」


「信長!海斗!臆してはいけない。迷わず打つんだ!!」

「はい!!」

「試合は俺と神が作る。あとは、任せたよ。清田、海斗。」

「真田さん・・・。」


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上杉から清田にボールが渡る。


『ピィ!』


電光掲示板のタイマーが静かに動き始める。


湘北は、激しいディフェンスで、海南にプレッシャーを与えている。



だが。



『ガシ!』


『ドン!』


「桜木先輩!スクリーン!!」

「白田!そっちケア!」

「スイッチ!!」

「ぬっ!!」

「神だ!神に気をつけろ!!」



ボールマンの清田を含め、海南の5人は目まぐるしいスクリーンプレーの嵐。




「海南のスクリーンプレーが凄い!!」

「湘北のディフェンスが混乱しているぞ!!」




海南の速いスクリーンプレーにより、湘北のマンツーは崩壊していた。

ディナイディフェンスが、視覚を遮っていたのも大きな要因であった。



そのとき。



『ビュン!!』


清田がインサイドへ切れ込んだ。


「俺は、牧さんから海南PGを受け継いたんだ!!No.1ガードはこの俺だーー!!」




「清田のペネトレイトだーー!!」

「自らいったーーー!!!」




湘北ディフェンスの中央を切り裂く。



「いい気になるな!野猿ーー!!」


桜木が清田を囲みにかかる。



だが。



『ビュン!』




「パスだーー!!」

「牧張りのペネトレイトからのアウトパス!!」 




3Pライン1m手前、受け取ったのは、こういった場面で、幾度もなく決勝弾を決めてきた神。

このコート上において、神に勝る精神力の持ち主はいない。



「花道!!神だ!!」


「ぬおーー!!しまったーー!!」


宮城が桜木を呼ぶが、桜木は清田へのフォローにまわっていたため、届くはずもない。




「神の3Pーーーー!!」

「フリーだーーー!!」

「湘北、万事休す!!」




神が静かにシュート体勢に入る。

時間が止まったかのように、湘北の選手、ベンチが凍りついた。



だが。



「届けーーー!!」

白田が鬼の形相で神のチェックに飛んだ。

大きな体をめいっぱい伸ばし、大きな手をめいっぱいに広げていた。


「白田ーー!!」

「ハクタス!叩き落せーーー!」



「・・・。」にこり。

白田の表情とは反対に神は優しく微笑んだ。


頭の上にあったボールを静かに落とす。



『ダン!』


白田の足元をボールが通り過ぎた。


「パス!!!」




「神が打たない!!」

「中に入れてきたーーー!!」




『バス!!』


台形内、ボールを受け取ったのは真田。


「インサイドだ!!」

「真田をとめろ!!」


潮崎と柳が、決死のダブルチーム。




「湘北が速い!止めたーー!」

「残り時間がないぞ!!」




(よし!)


真田は、小さく首を振り、潮崎と柳の注意をそらすと、渾身の力を込め、サイドスローでパスアウトをした。

そこには、柳がダブルチームにいったために、フリーになった上杉が構えていた。



「打てーーー!!海斗ーーー!!」

真田が声をあげる。


「いけ!!」

清田も叫ぶ。


(頼んだよ。海斗。)

神が、若き世代に望みを託す。

牧が、神に託してきたように。




「上杉がフリーだーー!!」

「今度こそ、湘北やられるぞーー!!」




上杉は、先程ベンチで高頭に言った言葉を思い返していた。



(「俺も、神さんみたいになれますかね?」)



常盤中において、外角のシュートが最も優れていたのが、この上杉海斗。

高校生No.1シューターの神に憧れ、海南に入学を決めた。



(俺も神さんのようになる!絶対、決めてやる!!)



『シュ!』



高校1年生にして、洗練されたシュートフォームは、芸術の域に達していた。



『ゾクッ。』


神の背筋が凍った。


(入った。)


神が拳を握る。


上杉も同じ気持ちだった。


(決まった!!)




だが、その瞬間。



上杉の横から大きな影がボールを真下に叩き落した。




『バチィン!!!』




「!!!!!」



「なぁぁぁ!!!!」



「うわわぁ!!!!」



上杉のシュートを叩き落したその男は、赤い髪の湘北の救世主。




「桜木がシュートブロック!!!」

「あいつの身体能力はどうなってんだーーー!!!」

「ありえないぞーー!!」

「あのブロックはーーー!!!」




大きく弾んだボールを掴んだ桜木は、躊躇せず、海南コートにオーバーハンドで、投げつけた。

ワンバンドするそのボールにあわせる小さな影。



「決めろーーー!!!春風ーーーー!!」


(初めて、ちゃんと呼んでくれましたね。)にこっ。



上杉を打った瞬間、柳はスタートを切っていた。



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<<回想>>

「誰かがシュートを打ったら、俺は走ります。
シュートが外れること、そして、桜木さんがリバウンドを奪うことを信じています。
だから、ボールを奪ったら、すぐに前に投げてください!」

「ふっ!この天才にアシストを頼むとは・・・。生意気な。」

「桜木さんにしか、頼めませんから。」

「ふむ。そういうことなら、最高のパスをくれてやる!だが、外すことは許さんぞ!!」

「俺は、速攻をはずしたことはありませんから。あと、海斗にボールが渡ったら、あいつは必ず打ってきます。」

「なぜ、そう思うのだ!?」

「海斗は、今まで多くのクラッチシュートを決めてきました。その自信が、必ずシュートを打たせます。
それに、ここで投入されたのは、シュートを打つためです。
きっと、先輩たちからも、迷わず打てと声をかけられているはずです。
だから、ボールを受け取ったら、海斗は必ず打ってきます。
そして、俺たちの頭上を越えれば、必ず入れる。海斗は、そういう男です。」

「つまり?」

「桜木さんが叩き落せば、湘北が勝つ!ということですよ。」

「俺に勝るものはいない!
海猿だろうが、ひょろ男だろうが、シュートは断じて打たせん!!」

「お願いしますよ。」


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「時間がなーーい!!」

「柳君ーーー!!」

湘北ベンチから声が飛ぶ。




2秒後・・・。




大歓声の中、電光掲示板の数字は変わっていた。




「柳君。期待通りでしたよ。ほっほっほ。」

「えっ!?」


(「勝つためには、柳君の力が必要です。」)


安西がいった言葉を流川が、彩子が、晴子が、湘北ベンチが思い返していた。



海南 84
湘北 86







続く。