海南 84
湘北 84
試合残り時間21秒。
海南ボールから始まる。
-----------------------------------------------
PF…#6 小菅 直人 188cm/3年
→
SG…#11 上杉 海斗 185cm/1年
-----------------------------------------------
「小菅に変えて、上杉を投入だ!!」
「外角の強化か!!」
高頭は、神の進言により、上杉を投入させた。
(ここで、海斗を入れてきたということは、外からか?)
と柳。
「今頃、海猿か・・・。何かあるな・・・。」
(天才の勘。)
と桜木。
「桜木さん。ちょっと・・・。」
「ん!?なんだ?」
柳が桜木に耳打ちをした。
-----------------------------------------------------------------------
<<回想>>
タイムアウト中。
海南ベンチ。
「監督。海斗を入れてもらえませんか?」
(珍しいな。神がメンバー変更を希望してくるとは・・・。)
「よかろう。小菅、代わってくれ。」
「残り21秒。ボールを持っていないものは、スクリーンを掛け合おう。
パスを回して、フリーになったら、シュートを打つ。1本決めれば、俺たちの勝利。」
神が指示を伝える。
「はい!」
「信長!海斗!臆してはいけない。迷わず打つんだ!!」
「はい!!」
「試合は俺と神が作る。あとは、任せたよ。清田、海斗。」
「真田さん・・・。」
-----------------------------------------------------------------------
上杉から清田にボールが渡る。
『ピィ!』
電光掲示板のタイマーが静かに動き始める。
湘北は、激しいディフェンスで、海南にプレッシャーを与えている。
だが。
『ガシ!』
『ドン!』
「桜木先輩!スクリーン!!」
「白田!そっちケア!」
「スイッチ!!」
「ぬっ!!」
「神だ!神に気をつけろ!!」
ボールマンの清田を含め、海南の5人は目まぐるしいスクリーンプレーの嵐。
「海南のスクリーンプレーが凄い!!」
「湘北のディフェンスが混乱しているぞ!!」
海南の速いスクリーンプレーにより、湘北のマンツーは崩壊していた。
ディナイディフェンスが、視覚を遮っていたのも大きな要因であった。
そのとき。
『ビュン!!』
清田がインサイドへ切れ込んだ。
「俺は、牧さんから海南PGを受け継いたんだ!!No.1ガードはこの俺だーー!!」
「清田のペネトレイトだーー!!」
「自らいったーーー!!!」
湘北ディフェンスの中央を切り裂く。
「いい気になるな!野猿ーー!!」
桜木が清田を囲みにかかる。
だが。
『ビュン!』
「パスだーー!!」
「牧張りのペネトレイトからのアウトパス!!」
3Pライン1m手前、受け取ったのは、こういった場面で、幾度もなく決勝弾を決めてきた神。
このコート上において、神に勝る精神力の持ち主はいない。
「花道!!神だ!!」
「ぬおーー!!しまったーー!!」
宮城が桜木を呼ぶが、桜木は清田へのフォローにまわっていたため、届くはずもない。
「神の3Pーーーー!!」
「フリーだーーー!!」
「湘北、万事休す!!」
神が静かにシュート体勢に入る。
時間が止まったかのように、湘北の選手、ベンチが凍りついた。
だが。
「届けーーー!!」
白田が鬼の形相で神のチェックに飛んだ。
大きな体をめいっぱい伸ばし、大きな手をめいっぱいに広げていた。
「白田ーー!!」
「ハクタス!叩き落せーーー!」
「・・・。」にこり。
白田の表情とは反対に神は優しく微笑んだ。
頭の上にあったボールを静かに落とす。
『ダン!』
白田の足元をボールが通り過ぎた。
「パス!!!」
「神が打たない!!」
「中に入れてきたーーー!!」
『バス!!』
台形内、ボールを受け取ったのは真田。
「インサイドだ!!」
「真田をとめろ!!」
潮崎と柳が、決死のダブルチーム。
「湘北が速い!止めたーー!」
「残り時間がないぞ!!」
(よし!)
真田は、小さく首を振り、潮崎と柳の注意をそらすと、渾身の力を込め、サイドスローでパスアウトをした。
そこには、柳がダブルチームにいったために、フリーになった上杉が構えていた。
「打てーーー!!海斗ーーー!!」
真田が声をあげる。
「いけ!!」
清田も叫ぶ。
(頼んだよ。海斗。)
神が、若き世代に望みを託す。
牧が、神に託してきたように。
「上杉がフリーだーー!!」
「今度こそ、湘北やられるぞーー!!」
上杉は、先程ベンチで高頭に言った言葉を思い返していた。
(「俺も、神さんみたいになれますかね?」)
常盤中において、外角のシュートが最も優れていたのが、この上杉海斗。
高校生No.1シューターの神に憧れ、海南に入学を決めた。
(俺も神さんのようになる!絶対、決めてやる!!)
『シュ!』
高校1年生にして、洗練されたシュートフォームは、芸術の域に達していた。
『ゾクッ。』
神の背筋が凍った。
(入った。)
神が拳を握る。
上杉も同じ気持ちだった。
(決まった!!)
だが、その瞬間。
上杉の横から大きな影がボールを真下に叩き落した。
『バチィン!!!』
「!!!!!」
「なぁぁぁ!!!!」
「うわわぁ!!!!」
上杉のシュートを叩き落したその男は、赤い髪の湘北の救世主。
「桜木がシュートブロック!!!」
「あいつの身体能力はどうなってんだーーー!!!」
「ありえないぞーー!!」
「あのブロックはーーー!!!」
大きく弾んだボールを掴んだ桜木は、躊躇せず、海南コートにオーバーハンドで、投げつけた。
ワンバンドするそのボールにあわせる小さな影。
「決めろーーー!!!春風ーーーー!!」
(初めて、ちゃんと呼んでくれましたね。)にこっ。
上杉を打った瞬間、柳はスタートを切っていた。
-----------------------------------------------------------------------
<<回想>>
「誰かがシュートを打ったら、俺は走ります。
シュートが外れること、そして、桜木さんがリバウンドを奪うことを信じています。
だから、ボールを奪ったら、すぐに前に投げてください!」
「ふっ!この天才にアシストを頼むとは・・・。生意気な。」
「桜木さんにしか、頼めませんから。」
「ふむ。そういうことなら、最高のパスをくれてやる!だが、外すことは許さんぞ!!」
「俺は、速攻をはずしたことはありませんから。あと、海斗にボールが渡ったら、あいつは必ず打ってきます。」
「なぜ、そう思うのだ!?」
「海斗は、今まで多くのクラッチシュートを決めてきました。その自信が、必ずシュートを打たせます。
それに、ここで投入されたのは、シュートを打つためです。
きっと、先輩たちからも、迷わず打てと声をかけられているはずです。
だから、ボールを受け取ったら、海斗は必ず打ってきます。
そして、俺たちの頭上を越えれば、必ず入れる。海斗は、そういう男です。」
「つまり?」
「桜木さんが叩き落せば、湘北が勝つ!ということですよ。」
「俺に勝るものはいない!
海猿だろうが、ひょろ男だろうが、シュートは断じて打たせん!!」
「お願いしますよ。」
-----------------------------------------------------------------------
「時間がなーーい!!」
「柳君ーーー!!」
湘北ベンチから声が飛ぶ。
2秒後・・・。
大歓声の中、電光掲示板の数字は変わっていた。
「柳君。期待通りでしたよ。ほっほっほ。」
「えっ!?」
(「勝つためには、柳君の力が必要です。」)
安西がいった言葉を流川が、彩子が、晴子が、湘北ベンチが思い返していた。
海南 84
湘北 86
続く。
湘北 84
試合残り時間21秒。
海南ボールから始まる。
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PF…#6 小菅 直人 188cm/3年
→
SG…#11 上杉 海斗 185cm/1年
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「小菅に変えて、上杉を投入だ!!」
「外角の強化か!!」
高頭は、神の進言により、上杉を投入させた。
(ここで、海斗を入れてきたということは、外からか?)
と柳。
「今頃、海猿か・・・。何かあるな・・・。」
(天才の勘。)
と桜木。
「桜木さん。ちょっと・・・。」
「ん!?なんだ?」
柳が桜木に耳打ちをした。
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<<回想>>
タイムアウト中。
海南ベンチ。
「監督。海斗を入れてもらえませんか?」
(珍しいな。神がメンバー変更を希望してくるとは・・・。)
「よかろう。小菅、代わってくれ。」
「残り21秒。ボールを持っていないものは、スクリーンを掛け合おう。
パスを回して、フリーになったら、シュートを打つ。1本決めれば、俺たちの勝利。」
神が指示を伝える。
「はい!」
「信長!海斗!臆してはいけない。迷わず打つんだ!!」
「はい!!」
「試合は俺と神が作る。あとは、任せたよ。清田、海斗。」
「真田さん・・・。」
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上杉から清田にボールが渡る。
『ピィ!』
電光掲示板のタイマーが静かに動き始める。
湘北は、激しいディフェンスで、海南にプレッシャーを与えている。
だが。
『ガシ!』
『ドン!』
「桜木先輩!スクリーン!!」
「白田!そっちケア!」
「スイッチ!!」
「ぬっ!!」
「神だ!神に気をつけろ!!」
ボールマンの清田を含め、海南の5人は目まぐるしいスクリーンプレーの嵐。
「海南のスクリーンプレーが凄い!!」
「湘北のディフェンスが混乱しているぞ!!」
海南の速いスクリーンプレーにより、湘北のマンツーは崩壊していた。
ディナイディフェンスが、視覚を遮っていたのも大きな要因であった。
そのとき。
『ビュン!!』
清田がインサイドへ切れ込んだ。
「俺は、牧さんから海南PGを受け継いたんだ!!No.1ガードはこの俺だーー!!」
「清田のペネトレイトだーー!!」
「自らいったーーー!!!」
湘北ディフェンスの中央を切り裂く。
「いい気になるな!野猿ーー!!」
桜木が清田を囲みにかかる。
だが。
『ビュン!』
「パスだーー!!」
「牧張りのペネトレイトからのアウトパス!!」
3Pライン1m手前、受け取ったのは、こういった場面で、幾度もなく決勝弾を決めてきた神。
このコート上において、神に勝る精神力の持ち主はいない。
「花道!!神だ!!」
「ぬおーー!!しまったーー!!」
宮城が桜木を呼ぶが、桜木は清田へのフォローにまわっていたため、届くはずもない。
「神の3Pーーーー!!」
「フリーだーーー!!」
「湘北、万事休す!!」
神が静かにシュート体勢に入る。
時間が止まったかのように、湘北の選手、ベンチが凍りついた。
だが。
「届けーーー!!」
白田が鬼の形相で神のチェックに飛んだ。
大きな体をめいっぱい伸ばし、大きな手をめいっぱいに広げていた。
「白田ーー!!」
「ハクタス!叩き落せーーー!」
「・・・。」にこり。
白田の表情とは反対に神は優しく微笑んだ。
頭の上にあったボールを静かに落とす。
『ダン!』
白田の足元をボールが通り過ぎた。
「パス!!!」
「神が打たない!!」
「中に入れてきたーーー!!」
『バス!!』
台形内、ボールを受け取ったのは真田。
「インサイドだ!!」
「真田をとめろ!!」
潮崎と柳が、決死のダブルチーム。
「湘北が速い!止めたーー!」
「残り時間がないぞ!!」
(よし!)
真田は、小さく首を振り、潮崎と柳の注意をそらすと、渾身の力を込め、サイドスローでパスアウトをした。
そこには、柳がダブルチームにいったために、フリーになった上杉が構えていた。
「打てーーー!!海斗ーーー!!」
真田が声をあげる。
「いけ!!」
清田も叫ぶ。
(頼んだよ。海斗。)
神が、若き世代に望みを託す。
牧が、神に託してきたように。
「上杉がフリーだーー!!」
「今度こそ、湘北やられるぞーー!!」
上杉は、先程ベンチで高頭に言った言葉を思い返していた。
(「俺も、神さんみたいになれますかね?」)
常盤中において、外角のシュートが最も優れていたのが、この上杉海斗。
高校生No.1シューターの神に憧れ、海南に入学を決めた。
(俺も神さんのようになる!絶対、決めてやる!!)
『シュ!』
高校1年生にして、洗練されたシュートフォームは、芸術の域に達していた。
『ゾクッ。』
神の背筋が凍った。
(入った。)
神が拳を握る。
上杉も同じ気持ちだった。
(決まった!!)
だが、その瞬間。
上杉の横から大きな影がボールを真下に叩き落した。
『バチィン!!!』
「!!!!!」
「なぁぁぁ!!!!」
「うわわぁ!!!!」
上杉のシュートを叩き落したその男は、赤い髪の湘北の救世主。
「桜木がシュートブロック!!!」
「あいつの身体能力はどうなってんだーーー!!!」
「ありえないぞーー!!」
「あのブロックはーーー!!!」
大きく弾んだボールを掴んだ桜木は、躊躇せず、海南コートにオーバーハンドで、投げつけた。
ワンバンドするそのボールにあわせる小さな影。
「決めろーーー!!!春風ーーーー!!」
(初めて、ちゃんと呼んでくれましたね。)にこっ。
上杉を打った瞬間、柳はスタートを切っていた。
-----------------------------------------------------------------------
<<回想>>
「誰かがシュートを打ったら、俺は走ります。
シュートが外れること、そして、桜木さんがリバウンドを奪うことを信じています。
だから、ボールを奪ったら、すぐに前に投げてください!」
「ふっ!この天才にアシストを頼むとは・・・。生意気な。」
「桜木さんにしか、頼めませんから。」
「ふむ。そういうことなら、最高のパスをくれてやる!だが、外すことは許さんぞ!!」
「俺は、速攻をはずしたことはありませんから。あと、海斗にボールが渡ったら、あいつは必ず打ってきます。」
「なぜ、そう思うのだ!?」
「海斗は、今まで多くのクラッチシュートを決めてきました。その自信が、必ずシュートを打たせます。
それに、ここで投入されたのは、シュートを打つためです。
きっと、先輩たちからも、迷わず打てと声をかけられているはずです。
だから、ボールを受け取ったら、海斗は必ず打ってきます。
そして、俺たちの頭上を越えれば、必ず入れる。海斗は、そういう男です。」
「つまり?」
「桜木さんが叩き落せば、湘北が勝つ!ということですよ。」
「俺に勝るものはいない!
海猿だろうが、ひょろ男だろうが、シュートは断じて打たせん!!」
「お願いしますよ。」
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「時間がなーーい!!」
「柳君ーーー!!」
湘北ベンチから声が飛ぶ。
2秒後・・・。
大歓声の中、電光掲示板の数字は変わっていた。
「柳君。期待通りでしたよ。ほっほっほ。」
「えっ!?」
(「勝つためには、柳君の力が必要です。」)
安西がいった言葉を流川が、彩子が、晴子が、湘北ベンチが思い返していた。
海南 84
湘北 86
続く。