つながりあそび・うた研究所二本松はじめ

二本松はじめ(ピカリン)の活動予定や活動報告、日頃、考えていることなどを書きます。研究所のお知らせも掲載します。

抱っこ通信1008号 サマー・カレッジはじまるよ

2019年05月10日 | 抱っこ通信
2019年もサマー・カレッジを開催します。昨日、2019年版のテキストの原稿を大吉つぁん(長尾高明)に送りました。彼が集約して印刷にまわしてくれます。
 
1993年に始まったサマー・カレッジは、保育士さんや小学校の先生たちの要求から出発しました。ですから、毎年、つながりあそび・うた研究所として、「現場の仲間たちの要求はなにか」を捉えるところから始まります。ちゃんと会議を開いています。
 
サマー・カレッジの内容は、現場の子どもたち、仲間たちに帰るものでなくてなりません。それを担うのが研究所の仲間であり、一緒につくりあげるサマー・カレッジ実行委員の仲間だと考えています。
 
正直、ここらあたりが難しくなっているような気がしています。私の場合は乳幼児、障害児と、ともに育ちあう仲間(先生・親さん)たちのための内容になっているかが問われています。現場が大きく変えられようとしていますし、先生たちも否応なしに変わってきている、変えられてきているように感じています。子どもと共に育ちあうという原点は変わっていないと思いますが・・・。もっともっと現場に入らなくては、という反省はしているのですが・・・。
 
さて、サマー・カレッジの5つ願い(目標と言っても良いですが)があります。
1. 子どもたちへ、の前にまずは自分自身が楽しもう。
保育、教育楽しんでいますか?一人の人として生きていること楽しんでいますか?
2. 作品(あそびやうた)の背景にあるものを感じよう
つながりあそびは楽しいものばかりです。その楽しさの根っこはなんだろうか?
創作者には伝えたい思いがあります。
3. 参加者同士で交流しよう。
講師から学ぶのではなく、仲間から学んだり伝えあったり共感したり。
4. 自分の思いを大切にしよう。
どんな思いでサマー・カレッジに参加したのか、自分に素直になれたらいいね。
5. あなたを大事に・・・(これは今年の願いです。毎年、変わります。サマー・カレッジに参加して感じてください。考えてください。
 
ちなみに、最初の年の願いは、1から3までと「自分自身が好きになれる」という願いでした。今では、楽しむ、学習する主体者である参加者自身が実行委員会を組織して、年間を通して企画から準備、運営を担っています。嬉しいことです。ここが他の夏の講習会・研修会と大きく違うところです。
 
つながりあそび・うたやその実技研修会であるサマー・カレッジで、私はなにを伝えたいか、それを確かめる良い機会をいただきました。教育科学研究会の月刊誌『教育』(2017年2月号)に原稿を書く機会を得たのです。以下に転載します。一緒に考えてくれたら嬉しいです。
 
 
今、伝えたいつながりって楽しい
 
【保育士を辞めようと】
「今年で保育士を辞めようと思っていたのですが、サマー・カレッジ(注1)に参加してもう少し続けてみようと思った」。
「サマー・カレッジは私が一番自分になれるところ。年に一度本当の自分になって楽しんでいます。もったいぶらなくていいし、気取らなくていいし、本当の私でいられるところ」。
「初めて参加しました。どんな人でも受け入れてくれる雰囲気がとても好きになりました。たくさん笑うことって純粋に素敵なことです」。
これは2016年のサマー・カレッジ東京会場で、2日間の期間中に、9号も発行された通信『手と手と手と』に書かれていた参加者の感想です。
 
サマー・カレッジでは、二日間、からだとこころを動かし、触れ合って、抱きあって、うたって踊ってあそんでおしゃべりして、泣いて笑って怒って・・・。たっぷりの楽しさの中で、仲間の中で、自分の中から本来の人間らしい自分を取り戻し、変わっていき、一緒に楽しむ仲間も変わっていく、変えていくということも楽しいということに気づいていきます。
 
この経験した楽しさを自分だけのものとしないで、子どもたちや職場の仲間たちと一緒に楽しんでほしいと願っています。
 
【あそび・うたって本来楽しいもの】
本来、つながりあそび・うたは、楽しいものです。それは、生きていることが本来楽しいことだからです。人間は、生きていることを楽しむために、また、楽しいからあそび・うたという文化をつくってきました。
つながりあそびを楽しむということは、生きていることの楽しさを、人と人のつながりの楽しさを共有することなのです。
 
同時に、あそぶ中で、楽しむ中に、楽しむ人から生まれる「自分はひとりじゃない」「仲間がいる」感を育てることを私自身は大事にしています。これがなければつながりあそび・うたとは言えません。
 
ジュメの最初に「人(いのち)は人(いのち)と人(いのち)のつながりの中で生まれ、つながりの中で育まれてきた事実から出発しよう」と書きます。人と人のつながりが「人になる」「人間になる」ためのなくてはならない最も必要とされる条件だからです。
人はこの「つながり」を人類の歴史の中でより人らしく、より人間らしく発展しつづけてきたのです。それはお互いがお互いの存在を認めあい、許しあい、無条件で受け入れあう中で発展させてきました。
 
そのためには人間にとっての「安心の世界」が絶対に必要なのです。具体的につながりあそび・うたでは、抱きあい、触れあい、微笑みあい、そして、失敗してもいい、一番でなくてもいい、勝ち負けより遊んでいる時が楽しいと感じられるような作品を創作し、伝えています。
その中で、「生まれてきただけいい」「生きているだけでいい」と実感できることを大事しているのです。
 
つながりあそびに参加したある母親です。「こんなに子どもを愛しくて大切に思うのに、日々の生活の中ではなかなか上手く表現できなくて。そんな葛藤や苦しみも否定することなく、つながりあそびは受けとめてくれますね。背中にまわる手を感じながら抱っこして抱っこされて、なんて考えたこともなかったけど、すごく意味を感じました。見つめ直し、癒された最高の時間でした。」と。
 
【楽しさが奪われていること】
もう一つ、つながりあそび・うたの楽しさを、人と人のつながりの豊かさや楽しさを、もっと言ってしまうと、人間になっていくという楽しさを奪われていることに気づいてほしいのです。
人間としてあたりまえのように生きることが難しい、厳しい時代です。まさに生きる楽しさを奪われているのです。これは偶然ではなく、奪おうとする人たちがいるということと、奪う力が働いているのです。
生まれたときから(今は生まれる前からかな?)競争されられ、評価され、選別させられ、差別させられ、孤立させられて・・・。共に生きるというよろこびを奪われているのです。
 
人類の歴史はこのつながりをより人間らしく豊かにしていく側とつながり分断していく側との闘いの歴史であったような気もしています。
人らしい、人間らしい豊かな美しいつながりに発展してきたのでしょうか。それとも、ますますつながりが断ち切られ、一人ひとりがバラバラにされ、孤立させられてきたのでしょうか。
いのちを産み育てる「人と人のつながり」だけではなく、「内なる自分と外なる自分」がバラバラにされ、自分自身が自分を理解できなくなったり、信じられなくなったり、心が病んでしまう状況が大人だけでなく、子どもたちの中にも増え続けています。保育現場や教育現場も例外ではありません。
人を好きになるとか、信じるとか、愛するとかいった人間らしい感情が奪われていませんか。
 
楽しいという実感がなければその楽しさを奪われているということに気づかないのではと思います。楽しい実感が大きくなれば大きくなるほど、深まれば深まるほど、楽しさを奪われていることに気づくだけでなく、「楽しさを奪うものに立ち向かう楽しさ」を広げる仲間になっていくことを期待しています。その仲間が増えていくことが「人と人のつながりの中で、自分自身も仲間たちも人間になっていく」人間らしい新しい時代を、社会をつくっていく一つの力にもなるのではと思っています。
自分自身も変わり、仲間も変わり、だからこそ社会も変えていけるのだと思っています。
いまの社会を変えるということは新しい社会をつくりだすということです。それも子どもたちと一緒にということが楽しいし、素晴らしいことではないのかと思っています。これは人類がこの地球に誕生してからからあたりまえのようにしてきた営みかなとも思っていますが・・・。
 
【作品に語らせる】
1991年4月に、つながりあそび・うた研究所を立ち上げた時に「いのちを真ん中に据えた時、核戦争による人類滅亡の危機や自然環境破壊による人類滅亡の危機と同じく、人間のつながりあいの喪失は、人類にとっての最大の危機ではないかと考えています。つながりあそび・うたを通して、“つながりあいって楽しいよ”“生きているってひとりじゃない”を子どもたちへ、そして子どもたちと育ちあう仲間たちに広げたいと思います。この危機的状況を見つめなおしたり、変えていく力を育んだりすると同時に、つながりあそび・うたを楽しむことと広げる中で、私自身がより人間らしく生きていきたいと願っているのです。」と書きました。
 
しかし、願うだけではなにも変わらないのです。つながりあいが誰にも見えて楽しめる作品が必要です。つながりあそび・うたの具体的な作品を通して、自分の思いや願いを語らせていくことが大事なのです。
 
(*注1)
サマー・カレッジは、1993年に東京で始まったつながりあそび・うたの実技研修会です。昨年(2016年)は全国12か所で開かれています。すべて学ぶ主体の保育園・幼稚園・特別支援学校・小学校などの先生方の組織する実行委員会で開かれています。年によって違いますが、約1800人から3000人を越える参加者です。
 
 
 
2019年サマー・カレッジスケジュール(乳幼児保育・教育・療育障害児教育等の先生のための内容です)。ご参加をお待ちしています。
 
5月19日(日)ぽかぽかカレッジin関東(今年は名称が変わりました)
         会場;まつど市民活動サポートセンター 講師:二本松はじめ・中山讓
6月22~23日 福岡サマー・カレッジ 会場:博多港国際ターミナルホール
 講師:二本松はじめ・中山讓・町田浩志
6月29-30日(日) わくわく保育セミナーつながりあそび・うた実技講習会in大阪(サマカレとは少し変わります)
         会場:千里金蘭大学 講師:二本松はじめ・町田浩志
7月14~15日 京都サマー・カレッジ 会場:ガレリアかめおか
         講師:二本松はじめ・中山讓・町田浩志
7月20~21日 愛知サマーカレッジ 会場:一宮スポーツ文化センター
         講師:二本松はじめ・中山讓・町田浩志・長尾高明
7月27~28日 福井サマーカレッジ 会場:福井市きらら館
         講師:二本松はじめ・中山讓・町田浩志
8月 6日(火) 京都サマーカレッジ教員バージョン 会場:ガレリアかめおか
         講師:中山讓
8月16日(金) サマー・カレッジ教育バージョン 会場:松戸市民活動サポートセンター
         講師:中山讓
8月17~18日 埼玉サマーカレッジ 会場:成増アクトホール
         講師:二本松はじめ・中山讓・町田浩志・長尾高明
 
8月(24)~25日 全国サマー・カレッジ総括会議(来年度からに向けて)

1995年第1回福井サマー・カレッジ

1996年第4回東京サマー・カレッジ

1995年第1回愛知サマー・カレッジ

第1回サマー・カレッジの手づくりチラシ






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